2019年4月20日 更新

「貴様」の元々の意味とは?悪い意味になった経緯と元の使い方も

「貴様」など使用しようものならば、いらぬ騒動を招きかねない昨今でありますが、「貴様」は過去においてはとてもいい言葉でありました。字面からそれは予想できるものの、経緯などはご存じないという方は多いようです。その経緯に関してや「お前」などについてもご紹介します。

目次

「貴様」は戦国時代においては、武家や貴族同士の書簡の中だけに使用されていた言葉でありました。物騒な時代でありますし、相手を敬う構えを持つ言葉は、防衛においても重要な役割を負っていたこととでしょう。

時が流れ、江戸時代においては口語としても徐々に使用がみられるようになりました。このときにはまだ相手を敬う言葉として使用されたようですが、戦国時代に比べると相手への敬意の意味合いは薄れていったようであります。

口頭で使われるようになったのは近世後期あたりから

Fog Girl Flowers - Free photo on Pixabay (200840)

明治時代になると「貴様」は主に軍隊での使用がみられるようになりました。ここでは同僚や目下の者に対し「貴様」と呼称しました。

上官に対しての使用がみられないのは、「将軍」や「隊長」などのそれぞれの肩書きを呼称する為であったのですが、そのことが「貴様」の敬いの意味をより堕とすものとなりました。

そして、昭和時代においての「貴様」は目下の者に使用する言葉というイメージが更に高まり、軍隊だけではなく庶民の間にも口語として拡がっていったのであります。

「貴様」が誤用されるようになってしまった経緯

Pedestrians People Busy - Free photo on Pixabay (200841)

上記で申し上げた通り、時代の移り変わりから少しずつ敬いの意味合いが薄れていったことが大きな要因と言えるのですが、「貴様」を品位のない言葉としてしまったのは、庶民の勘違いによるものであります。

「貴様」が軍隊で使用されるということは、当然のことながら、庶民に「貴様」という言葉が伝わるということであり、軍隊の使用法は庶民が使用する上での根幹となるものであります。それが、大きな誤りとなり、元々の意味合いとは真逆の位置に「貴様」は追いやられたのです。

庶民の勘違いから生じた

Tori Japanese Shrine - Free photo on Pixabay (200842)

昭和時代の軍隊で専ら下位の者に使用される「貴様」は、その敬いの意味などまるで伝わらず、むしろ相手を蔑む意味合いを兵士達に与えました。そのようなイメージが当然ながら庶民に継承されてしまったのです。

そこから、親しき者の間や目下に対しての荒っぽい呼び方としての「貴様」になり、相手を蔑む意味合いでも用いるようになったのであります。以後、目上の者に使用しようものならば、相手の怒りを買うほどの言葉となってしまったのです。

「貴様」の価値が落ちてしまった

Japan Umbrella Red - Free photo on Pixabay (200843)

今でも「貴様」の字面や「きさま」という音には品位を感じる響きがあります。戦国時代などの過去においては、それはとても顕著であったことでしょう。それらの時代を舞台とした作品などでの使用は美しくもあります。

加えて、明治時代を舞台にした作品で、その中の軍隊で使用される様は、身が引き締まるような印象を感じ取ることができます。そう言った意味では「貴様」は時代を写し取った魅力的な言葉であります。

現在でも使用される「貴様」は確かに品位が下がってしまっていますが、庶民に愛されてきたことを考えると貴重な存在であるとも言えます。

貴様の意味が、曲解されてしまった理由

Japan Osaka Night - Free photo on Pixabay (200844)

「貴様」が誤った意味合いで使われるようになった根幹には、やはり、庶民に伝わり、使用される事が多くなったことがあるでしょう。愛されてどの身分でも日常的に使用されるようになると、品位が落ちてしまうのは致し方ないことなのであります。

「貴社」などビジネスシーンにおいての使用が主となる言葉は、今でも品位が落ちることはありませんが、時代の変容に合わせて変わりゆく可能性は十分にあり、それは今現在も進行中であります。言葉とは本当に難しいものであります。

現在の貴様の意味

Japan Tokyo Skyscraper - Free photo on Pixabay (200845)

現代の「貴様」はほぼ使用することがないと言えるほどに、蔑みが強い言葉となっています。その上、「貴様」を使用する者の強気を表すものでもあり、威嚇という行動の一種となっています。

目上や見ず知らずの相手にこちらを使用すると言うことは、一触即発の状態であるということになります。そういった闘争をイメージする言葉は、本能的に男性の好むものの一つであり、よくない意味合いだからといって消え去ることはないという状況が現在であります。

相手を罵るための言葉となってしまった

Mt Fuji Volcano Japan - Free photo on Pixabay (200846)

「貴様」は「罵る」という意味合いが大きいものでありますが、その意味合いが薄いものとしては「お前」などもあり、「貴方」から変化した「アンタ」などもそれに当たります。

「貴様」ほどに品位が落ちてないとは言え、「お前」も「アンタ」も正式な場面においては粗雑としか取られないものであります。

ですが、そのような言葉の数々は、どれも相手を敬う言葉から始まったものであります。それを考慮に入れると、使用してきた人々の想いとしては、敵対する相手にも最低限の敬いを持つことを意識したものであり、日本人の心の表れと言えるものかもしれません。

現代の日本における「貴様」

Beautiful Asian Woman - Free photo on Pixabay (200847)

現代の日本における「貴様」は使用できるシーンが限られており、日常生活での使用はまずありえません。それは、「貴様」が相手を侮辱する意味合いを持つものとなっているからです。

どのような人間関係においても相手を侮辱することは、いいものにはなりません。ビジネスシーンではもちろんのこと、プライベートにおいてもそれは例外ではありません。

「貴様」ほどに強い意味合いを持たない「お前」でさえ、現代の人々からは敬遠されがちであるのです。

相手を罵るような言葉でしか使えない

Japanese Cherry Trees Flowers - Free photo on Pixabay (200848)

相手を罵るという機会は日常生活において、それほど多くはないでしょう。加えて、例えそのような場面に遭遇したとしても、相手に対してある程度の尊重を持たねば、返って自身が批判されかねません。ですから、「貴様」という言葉は使うべきではないのです。

「貴様」という言葉の低迷は今も進んでおり、一昔前ならばそれほどではなかったという印象をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。ですが、それは現代では通じぬものとなりつつあるのです。

怒っていると思わせてしまう

Japan Osaka Night - Free photo on Pixabay (200849)

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