2021年5月14日 更新

コスモリサーチ事件とは?事件の判決や死刑制度についても

まるで令和に引きずっていたくないように、とつぜん異例の年末に死刑執行がなされた2人の死刑囚がいました。死刑囚が犯した事件の名前は『コスモリサーチ社殺人事件』です。暴力団らが、ある日突然他人を拉致し金を奪い、首を絞めて殺害しコンクリート詰めにしたのです。

目次

Courtroom Benches Seats - Free photo on Pixabay (682588)

再審とは「裁判で確定した判決について、一定の要件を満たす重大な理由がある場合に再審理を行なうこと」で、日本では、民事訴訟の場合「判決に不服がある側が再審の訴えや不服申立ができる」が、刑事訴訟の場合「有罪判決を受けた者の利益のためにしか行うことができない」そうです。

日本の裁判所で、再審請求が認められる事件は極めて稀です。再審請求中の死刑囚に対する死刑執行を避ける傾向が強くありましたが、2017年から1~複数回目の再審請求中でも死刑を執行され始めるなど変わり始めました。

再審する意味が「卑劣な殺人犯のただの命乞い」であるならば、再審という制度の意味さえ亡くなってしまいます。ここにきて、ようやく再審を請求する死刑囚の意図がわかり始めてきたというのでしょうか。死刑囚に命乞いする権利があることが恐ろしいとは思いませんか?

新天皇即位間際

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2019年には「天皇の生前退位」という一大イベントがあり、恩赦も予定され、2020年には東京五輪が控えており、法務省内に「死刑囚の執行は今年」という暗黙の了解があったそうです。年末には目前に迫った生前退位の祝賀ムードに水を差しかねないし、先延ばすると執行の機会自体を失ってしまうと見たようです。

恩赦とは「立ち直りに向けた励みになり、再犯防止も期待できる」事を期待し「国の刑罰権を消滅させる」「裁判の効力を変更or消滅させる」ことなどです。有罪の効力を失わせる「大赦」「特赦」「減刑」「刑の執行の免除」「有罪判決で失われた資格を回復する」=『復権』などです。

しかし、卑劣な死刑囚に恩赦が下されることを阻止するためだけではなく、新しい日本が出発する時に、無駄な荷物は一つでも持っていかせないという強い意気込みは感じられます。死刑囚は、もう二度と社会に貢献しない人です。いつまでも溜め込んでいても意味などありません。

死刑執行者数の推移は?

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死刑執行については、常に賛否両論あります。では、死刑執行数はどのように推移しているのでしょうか。ここでは、近年の死刑執行数を確認してみましょう。

2020年は0人

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2020年の死刑執行数は0人だったと言われています。これは2011年以降初めてのことで、死刑制度に関する意見に大きな影響を与えました。

しかし、この執行数の少なさは、単に新型コロナウイルスが影響しているとされています。新型コロナウイルスの影響で、様々な保障や法案の変更、世論の不安定さなどが巻き起こっているため、死刑をするべきではないと考えたのではないかと推察している人が多数です。

日本の死刑制度がどうなるかは、2021年以降の動きも注視していく必要があるでしょう。

2019年は3人

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2019年の死刑執行数は3人です。2001年に神奈川県大和市で主婦をターゲットに連続強盗殺人事件を起こした犯人と、2004年の12月から2005年の1月にかけて福岡県内で3名の女性が犠牲になった連続強盗殺人事件の犯人。そして、2003年に福岡県福岡市東区で一家4名を中国人留学生が殺害した事件の犯人です。

特に2003年の事件は、犯行の残虐性から社会に対して与えた影響も大きかったと言われているので、死刑執行のニュースを聞いて当時の事件内容を思い出した人も多かったのではないでしょうか。

2018年は15人

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2018年1月、オウム関連裁判が全て終結。3月、東京拘置所に集められていたオウム関連の死刑囚13人のうち、7人が5カ所の地方拘置所に分散移送されるなど、執行に向けた準備が進められていました。7月6日と26日、松本智津夫死刑囚ら教団幹部13人に対して死刑が執行されました。

2019年には天皇退位と新天皇の即位、2020年の東京五輪開催などを控え、執行がしづらくなるスケジュールになることが考慮されたそうですが、死刑執行には、その時々の法相の考え方や心情も反映されていると考えられています。

法務省では執行対象者を決定する基準など明らかにしておらず、2007年までは氏名と執行場所も公表されていませんでした。第二次安倍政権での死刑執行は計36人で、収容中の確定死刑囚は110人になりました。

2017年は4人

Fence Freedom Prison - Free photo on Pixabay (682593)

2017年に死刑が執行されたのは、1991年12月に、兵庫県・島根県・京都府でスナックを経営する女性4人を殺害した、当時35歳の金田正勝。2011年9月30日、岡山市北区の元勤務先で、元同僚の女性を強姦し刺殺し、バラバラに切断し遺棄した、当時29歳の住田紘一。

1944年2月、群馬県安中市で交際女性とその両親をハンマーで殴って殺害した、当時28歳の松井喜代司。1992年3月5日、千葉県市川市幸二丁目のマンションで、15歳少女の一家の両親・祖母・妹の4人を殺害後、少女を殺害現場で強姦した、当時19歳の関光彦元。

第二次安倍内閣以降で、計21人の死刑が執行され、収容中の確定死刑囚は123人になりました。

2016年は3人

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2016年に死刑が執行されたのは、1987年11月~1994年3月、大阪市で4人の女性と1人の少女が殺害され、少女以外の遺体はバラバラにされた事件で、1995年に盗品容疑で逮捕され、バラバラ事件の犯人として逮捕された当時54歳の鎌田安利。

2004年、熊本県宇土市の家の玄関で、当時49歳の主婦が殴られ、顔を刃物で刺され失血死し、室内が物色された事件。2011年、熊本市渡鹿2丁目の民家で72歳男性が、隣家で65歳女性が刺されて死亡。で、家族に付き添われて熊本東署に出頭した当時39歳の田尻賢一。

2002年に発覚した福岡久留米市の看護師連続保険金殺人事件で、仲間の夫2人を殺害し、死亡保険金計約6700万円をだまし取るなどした当時43歳の看護婦吉田純子。第二次安倍内閣以降で計17人の死刑が執行され、収容中の確定死刑囚は129人になりました。

日本の死刑制度の実際は?

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日本の倫理観では、当たり前のように「命を大切にする」という考えが昔から脈々と受け継がれています。殺人事件が起きれば、被害者の立場になって考えるのが当然ですし、遺族の痛みは他人事とは思えないため、思いを寄せ共感するのが当然です。

日本の社会は、そうやって悲惨な出来事を乗り越えてきたわけですから「大切な人に命を、いわれのない理由で奪った加害者に対して被害者のほうが優しく接するようにとは酷すぎる」「凶悪事件を起こした加害者は命をもって償うのが当然だ」という道徳観を否定するのは理にかないません。

6か月ルールはほぼ守られていない

Gavel Justice Wooden - Free vector graphic on Pixabay (682607)

ようやく逮捕された殺人犯でも、ここから先が長すぎるのが日本の暗黙の了解です。むしろ、ここから被害者の地獄の日々が始まると言っても過言ではないでしょう。何故か被害者より加害者側の方が人権が尊重されているように感じる人も多いと言われています。

待ちに待った死刑判決が下されても、6カ月後にはようやく息ができると思っても、6カ月ルールが守られたことは一度もありません。今までの例を見ても10年以上、遅い人では20年近く待たされるのも珍しくないほどです。遺族の気持ちは加害者側より重視されているとは感じられないまま、中で何が行われているかわからないまま、ただひたすら待たされるという日々が続いていきます。

死刑が執行されない死刑囚も存在した

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