2019年9月9日 更新

ヨーゼフメンゲレの生涯とその功績とは?数々の人体実験を行った理由は?

ナチスの非道さを語るうえで欠かせない人物、ヨーゼフメンゲレ。双子に固執し、過激な人体実験を行った人物として知られていますが功績や、息子との関係はあまり知られていません。この記事では、知られざる功績や息子とのやり取りについても、詳しくご紹介していきましょう。

目次

臓器や四肢・生殖器の転換及び接合

Surgery Instruments Surgeons - Free photo on Pixabay (613342)

ヨーゼフメンゲレは、戦地でも活用できる四肢や臓器の結合という人体実験も行います。何ら異常がない被験者同士の四肢または臓器を切断し、それを結合する手術を繰り返しました。この時、女性器と男性器を入れ替えるという人体実験も行ったと言われています。

また、積極的に双子を被験者として選びました。四肢を結合するだけではなく、双子同士を結合するといった人体実験も行います。つまり、人工的にシャム双生児を作り出そうとしたのです。

ヨーゼフメンゲレが双子に固執した理由

Twins Child Family For - Free photo on Pixabay (613349)

ヨーゼフメンゲレは、老若男女問わず人体実験を行い続けました。その中でも特に、双子を積極的に被験者として活用していたと言われています。双子にたいして、実験前は特別な生活を与えたり、ある程度の希望を叶えたとも言われているのです。

双子の子供たちは、ヨーゼフメンゲレを「おじさん」と呼び、慕っていたという描写も残されています。つまり、ヨーゼフメンゲレは双子にたいして、特に強い興味を持っていたのです。ここからは、ヨーゼフメンゲレがなぜそこまで双子にこだわったのか、その理由について解説していきましょう。

アーリア人を量産するため

Baby Shoes Birth Greeting - Free photo on Pixabay (613350)

ヨーゼフメンゲレは、戦地で活用する医療とは別に、戦争後の世界で活用する医療も研究していました。ナチ党やヨーゼフメンゲレが求めていた「アーリア人」つまり、特別な遺伝子を持つ人々が支配した世界を作るため、特別な遺伝子を持った人間を量産する方法を探していたのです。

一度に、複数人産まれてくる仕組みを理解し、産まれてくる人間の遺伝子が操作できれば、より効率的に求める世界を作り出すことが可能になります。そのため、双子にたいして強い興味を持ち、積極的に人体実験に活用していました。

双子への純粋な興味・好奇心

Twins Moscow Sisters - Free photo on Pixabay (613352)

双子の誕生に関して、現在の医学でも明らかになっていない事柄が存在します。例えば、双子が多く誕生する地域の存在や、家系の存在など、明確な誕生要因は現在も正確にわかっていないのです。医療者、遺伝子研究者として、ヨーゼフメンゲレもこういった双子の神秘に興味を持ったと考えられます。

つまり、双子の誕生や類似性、習慣への純粋な興味や好奇心から、積極的に人体実験に活用していたと考えられるでしょう。双子の誕生やその他を知るために、双子の親についても積極的に研究していたとも言われています。

比較対象として優れていた

Science Lab Laboratory - Free photo on Pixabay (613356)

人体実験では、一致した実験結果が必要になります。つまり、効果的な薬を発見するために、多くの実験を繰り返し、最終的に一番効果的な薬と、それらを発揮させる状況的研究結果が必要だということです。しかし、人間が持つそれぞれの特徴によって、研究結果にばらつきが生じてしまいます。

そこで、双子を活用したのです。双子は、遺伝子的にも外見的にも同じ状況を持っているため、実験の比較対象として優れていました。双方に違う薬を投与し、その経過を観察することによって、どちらが優れた薬なのか、どちらにどのような症状が見られるのか、より具体的に正確に知ることができたのです。

ヨーゼフメンゲレが残忍な人体実験を行った理由

Virus Microscope Infection - Free image on Pixabay (613359)

ヨーゼフメンゲレは、医者という生命を救う立場でありながら、行った人体実験で多くの犠牲者を生みだしました。しかし、それらの人体実験である程度の懺悔は見せたものの、後悔や反省はそれほど多くありません。

息子との会話からも分かるように、ヨーゼフメンゲレは、自分が行った人体実験は、許されるものだと考えていたのです。ここからは、ヨーゼフメンゲレが残忍な人体実験を行い続けた理由と、それらが許される行為だと思い込んだ理由について、解説していきましょう。

実験対象を人間だとは思っていなかった

Modified Tomato Genetically - Free photo on Pixabay (613361)

ヨーゼフメンゲレは人体実験に使用した人々を、「モルモット」と呼びました。番号や、外見的特徴で呼ぶこともあったようです。こういったことから、実験対象を人間としてカウントしていなかったことが分かります。

自らが行う行為は、人体実験ではなく、純粋な研究であり、殺人行為ではないと考えていたのでしょう。現代でも、植物や昆虫、動物などを使い遺伝子の研究、実験が行われています。それらと近しい感覚を持ち、人体実験を行っていたため、罪の意識はほとんどなかったのです。

生命や人体への興味・関心

Lab Chemical Science - Free photo on Pixabay (613360)

ヨーゼフメンゲレは、人を殺したいという感情や、仕返ししたいという感情から、殺人行為を行っていたわけではありません。生命や人体への興味、関心から人体実験を行っていたのです。

つまり、自分の行為は「悪意から発生したものではない」と考えたことによって、罪の意識を感じることなく大量に人体実験を繰り返したと考えられるでしょう。

現代で殺人または傷害など、他者に被害を与えた際、そこに意図的な感情があったのか、悪意を持って行ったのか裁判で争う場面が見られます。その内容次第では、刑罰が減軽されることもあり、人間は結果と同じように過程、感情を尊重していることがわかるため、ヨーゼフメンゲレが異常だったとは言いづらいでしょう。

人殺しではなく研究課程

Microscope Lab Research - Free photo on Pixabay (613362)

ヨーゼフメンゲレは、自らが行った人体実験によって、多くの犠牲者を生みだしました。どのような理由があったにせよ、これらの行為は、一般的な人々から見ると、殺人行為です。しかし、ヨーゼフメンゲレは殺すために人体実験を行っていたのではなく、研究の結果として人が死んでしまったと考えていました。

つまり、自分は人殺しではなく、研究者であり、研究の過程で死亡したに過ぎないと考えていたのです。この思考は、息子との会話からも読み解くことができます。自身が行った実験によって得た情報は、人類の発展に役立つと、ヨーゼフメンゲレは確信していたのです。

これらが許される環境であった

Lab Experiment Test - Free photo on Pixabay (613363)

ヨーゼフメンゲレが行った人体実験では、人体に関する新たな発見や、これまでの理論をさらに強く肯定する結果も得ることができました。しかし、現代でヨーゼフメンゲレと同じ行為は、到底受け入れられるものではありません。多くの情報を知るために、人命を犠牲にすることは、モラル的に許されないのです。

しかし、当時はそれらが許される環境でした。人体実験に使用した人々は、ナチ党やヨーゼフメンゲレの中で人ではなく、それ以外と認識され、それらを使って多くの情報を得られることから、人体実験が許される環境だったのです。

もし、許されない環境であれば、これほど多くの犠牲者が生み出されることもありませんでしたし、非道な人体実験を行い続けることもできなかったでしょう。

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