2019年9月12日 更新

アカマタクロマタとは?タブーや過去に起こった事件についても

『アカマタクロマタ』と聞いて「お祭りだ!」とわかる人は少ないのではないでしょうか?一見かわいらしく聞こえるこのお祭りは、とてもシリアスなお祭りで、行方不明者や暴行事件などまで起きてしまうという沖縄の『秘祭』と言われるお祭りなのです。

目次

Horror Face Forest - Free image on Pixabay (614020)

祭りとは、もともと「よそ者」のためにあるものではなく、真に連帯できる人間のためにあるものだそうです。つまり、島の豊穣を授けるために毎年島に現れてくれる『アカマタ・クロマタ』という異界の男女の神からの『活力』『豊穣』などは、島民以外の人がいては力が薄くなると考えているそうです。

そこで「命の危険がある」などという恐ろしい噂を流しておくことで、邪心をもって祭りに参加する人々を牽制しておけることになるのでしょう。

島民からの批判

Tracks Sea Blue Sky - Free photo on Pixabay (621366)

アカマタ・クロマタ祭りが開催されるのは、わずか数十名の島民が暮らしている島で、定期便もなく、一般観光客は島に行くことすら難しい島です。

そのような島に暮らしている島民は、私たちが想像する以上に「地元愛」を強く持ち「自分たちがここを守らなければならない」「島民以外に島を汚させない」と思っているようです。

そのような島の中で、王の命令に背いてまでも200年以上も貫き通してきた豊年祭でルールを守らないとなると、もちろん島民からの批判を浴びることになります。

豊年祭と関わりがある「人魚神社」

Torii Kyoto Japan - Free photo on Pixabay (614021)

沖縄県八重山郡竹富町にある『神の島』とも呼ばれる『新城島』は、上地島と下地島の2つを総称した島の名前です。定期便や空港はなく、島の旅行会社に5名以上で予約しないと島に行くことすらできない神秘の島です。

上地島には、琉球信仰における祭祀を行う施設『御嶽(うたき)』が点在し、ここへの立ち入りは禁じられています。住民がいない下地島には、比較的新しい遺跡群が数多くの点在しています。

ここでは、アカマタ・クロマタ豊年祭と関わりがある、上地島に存在する神社『人魚神社』をご紹介していきます。

人魚神社とは

Torii Gate Japan Sea - Free photo on Pixabay (614022)

鳥居には神社の名前が掲げられているのが一般的ですが、人魚神社の鳥居には名前が書かれおらず「ここに無縁の者は参拝するべからず」と、無言で拒絶しているかのような佇まいです。

鳥居から数十メートル先へ進むと、白塗りでアーチ型の門のようなものが存在しており、その門のようなものには、真っ赤な月と太陽が描かれています。

この門のようなものをくぐりぬけると、戸ももない屋根を乗せただけの拝殿があり、そこには黒くなったサンゴが高さ1m20cmくらいまで塚のように積まれています。

ジュゴンを祀っている

Manatee Marine Animals - Free photo on Pixabay (614024)

その昔、上地島の近海では海の男たちによってジュゴンが捕獲され、ジュゴンの肉を干して乾燥させ、琉球王府への献上品としていました。ジュゴンを捕獲する海の男たちは『人魚神社』にお参りをしてから出漁していたそうです。

島民にとって「人魚神社」は聖地であり、地元の人々は人魚神社を「イショー御嶽」=「海の聖地」と呼んでいます。

人魚神社の拝殿に、黒くなったサンゴが高さ1m20cmくらいまで塚のように積まれており、その頂上には、ジュゴンの骨が数本置かれています。その光景はとても不気味だそうです。

立ち入り禁止である

Stop Sign Road - Free photo on Pixabay (614026)

鳥居の手前には「島の住民以外立ち入り禁止および写真撮影禁止」と書かれた看板がかけられ、いかなる理由があっても鳥居の先へは立ち入ることができません。噂では「この神社に足を踏み入れた者は体調不良に苦しみ、死に至る者もいる」と言われています。

神聖な場所であるとされている『人魚神社』や、琉球信仰における祭祀を行う施設『御獄』近辺には 「この道は『神の道』につき一般の人の通行を禁止する」 と書かれた看板がたくさん見受けられるそうです。

ということで、観光客などはもってのほかで、部外者はもちろん、祭司以外の住人さえも立ち入ることは許されておらず「鳥居の奥に何があるのか?」「中で何が行われているのか?」などは決して語ってはならないそうです。

アカマタクロマタで発生した事件

Internet Crime Cyber - Free image on Pixabay (618844)

アカマタ・クロマタは、部外者は撮影どころか、見ることもできない『秘祭』です。しかし「見てはいけない」と言われるほど見たくなるのが人間です。

どうしても!無理やり!ルールを無視して『アカマタ・クロマタ』に関わりたい島民以外の人はいます。しかし、沖縄のしかも島民が十数人というかなり「地元愛」を持つ文化には、そう簡単に関わらせてくれないものです。

ここではアカマタクロマタで発生した事件についてご紹介していきます。

1968年に部外者を島民が集団暴行

Killer Horror Jimmy - Free photo on Pixabay (618845)

昭和43年7月、西表島の離島『新城島』のアカマタ・クロマタを『波照間島』の青年が覗き見に来たことで新城島民から暴行を受け、親族が「殴られたショックで精神障害になった」と訴え出て、八重山署が集団暴行の疑いで捜査したという記事が、昭和43年8月17日付の八重山毎日新聞に出ました。

この集団暴行事件と新城島に伝わる秘祭「アカマタクロマタの伝承」をモデルにし、石原慎太郎氏が『秘祭』という作品を執筆したそうです。

アカマタ・クロマタ祭りの時期は住民がピリピリしており、治外法権状態になるので、ルールを無視すると危険だそうです。

大昔には行方不明者も出ていた?

Forest Hack Blade - Free photo on Pixabay (618846)

1972年、映画監督『北村皆雄』さんが、西表島・古見でアカマタ・クロマタのドキュメンタリー映画を撮影しようとしたそうです。祭り初日の夜に、借りている小学校の教室で寝ていると、突然、外から青年5、6名に呼び出され、ぐるりと取り囲まれました。

腰に鎌をさしていたり、島の外から帰ってきた青年もおり、監督たちが村に進呈した酒を突っ返すと「アカマタはお前らに撮らせない。勝手な真似をしたらぶっ殺す!」「この祭りにおいては自分たちが何をしても罪にならない」と凄んだそうです。

その時に「研究者や新聞記者やカメラマンが、海にたたき込まれたり、行方不明になる者もいたという噂話が脳裏によぎり、撮影を断念することにしたのです。

日本の奇祭は他にもある

Japan Flag National - Free vector graphic on Pixabay (614030)

日本人の両親のもとに生まれたり、日本で生まれ育った人は、ごく自然に自分を『日本人』だと考えますが、歴史を遡っていくと、日本人はいくつかの異なった民族に分かれます。何万年もの間に、北から南から、西から東から、それぞれの民族集団が順次やってきては根を下ろしました。

やって来た者は、先に来た民族に戦いをしかけ、征服したり婚姻したりしながら日本という土地に根付き、数万年の間に数え切れないほど繰り返された結果が今の日本人で、いくつかの異なる民族集団が複雑にからみ合い混じり合っているのです。

日本文化の中には、渡来してきたきた民族が持ち込んだものが混じり合っているので、とうぜん「祭り」も様々な民族が持ち込んだものであるため、日本の奇祭は他にもあるというわけです。

ケベス祭

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