2019年7月15日 更新

レッサーパンダ帽男殺人事件の概要と経緯!山口誠の生い立ちとその後

レッサーパンダの帽子を被った男が、浅草で女子短大生を刺殺したという衝撃の事件。男の異様な姿から、マスコミはセンセーショナルに騒ぎ立てようとしましたが、犯人が知的障害者だと判明すると報道は失速しました。今回は、犯人「山口誠」の生い立ちと、事件の概要を紹介します。

目次

レッサーパンダ帽男殺人事件のオリジナルTシャツ

Blank Tshirt Male - Free photo on Pixabay (409061)

何の目的があるのか、「レッサーパンダ帽男殺人事件Tシャツ」というものがネット販売されています。胸の部分に、アルファベットのIと赤いハートマーク(I loveということでしょう)に、レッサーパンダ帽男殺人事件と書かれ、価格は2000円のようです。

面白オリジナルTシャツのお店のようですが、被害者の女性や、犯人の山口誠が知的障害者だということを考えると、ギャグというには不謹慎さを感じる商品と言えます。サイズやカラーも豊富ではありますが、好んで着たいと思うような商品には見えませんね。

事件の裏の被害者「妹」

Brother Sister Girl - Free photo on Pixabay (409071)

レッサーパンダ帽男殺人事件では、殺されてしまった小川さんは当然の被害者ですが、もう1人の被害者とも呼べる、山口誠の妹の存在があります。

冒頭で少し触れましたが、彼女は山口誠に刺殺された訳ではありませんが、この家に生まれたことや、軽度の知的障害者の父と兄を持ったことによる、障害者の家族としての辛さを一身に浴びて、寿命を縮めたと言えます。

その反面、彼女がここまで頑張り過ぎなければ、兄は自由に放浪して事件を起こすことも無かったかもしれません。ここではそんな、事件の裏の被害者である「妹」について紹介します。

母が亡くなった後、1人で家系を支えていた

Organic Screening Processed Food - Free photo on Pixabay (409109)

山口誠の妹は、4歳年下です。山口誠が17歳の時に母親が亡くなったのですから、妹は当時まだ13歳。その頃、父と兄である山口誠、そしてその2歳年下の弟(妹からすればもう1人の兄)は、塗装屋に働きに出ていました。

妹は中学生でありながら、家事一切を担当します。しかし、先にも述べていますが、父は給料のほとんどをパチンコにつぎ込み、家計はいつも火の車でした。妹は高校進学を諦め、中学卒業後から食品加工会社でバイトをして家計を支えます。

18歳になった時、その会社に正社員として採用され、仕事と家事で朝も昼も休む暇が無かったと言われています。弟は、途中で家を出てしまったことを考えれば、妹も何とか家を捨てることは出来なかったのでしょうか?青春時代を、家に囚われてしまった彼女が不憫でなりません。

稼いだお金を兄・父に取られていた

Eye Manipulation Tears - Free photo on Pixabay (409134)

妹が働いたお金は、全て父と兄に取り上げられていました。この頃始まっていた、山口誠の放浪癖ですが、旅費は妹のお金を当てにしていたのです。給料だけではなく、妹が無い中から買ったわずかな私物でさえ、山口誠は勝手に売り払って旅費に当てて使い込みました。

このことを考えると、山口誠が知的障害者だということすら怪しさを感じてしまいます。何度か述べましたが、公共交通機関に1人で乗れること、換金する術を知っていることなど、自分がこだわったことに関しては知恵が回るのでしょうか?

何れにせよ、妹が必死になって働いても、自分がオシャレに使ったり、友達と遊びに行くことなど不可能だったということは明確です。

腫瘍が多数発見され、手術を受ける

Surgery Hospital Doctor - Free photo on Pixabay (409180)

妹が22歳の頃、右脇腹に痛みを感じるようになり、病院へと向かいました。診察の結果、肺にたくさんの腫瘍が出来ていることが発覚し、摘出手術を受けたのです。

その後も、右大腿部(太もも)にしこりが出来ているのが分かり、それが肺からの転移だということも判明しました。妹は、全身に腫瘍が転移するという難病になってしまったのです。

しかし、自分が働かないと家計が回らなくなるので、妹は病院の診察代や、手術費用、入院費なども自分で働きながら、捻出しなければいけなくなりました。

倒れてしまい、脳へ腫瘍転移が発見され手術を受ける

Woman Desperate Sad - Free photo on Pixabay (409195)

妹が24歳の時、ついに身体が限界にきたのか、激しい頭痛に襲われ意識不明となって倒れてしまいます。診察の結果、脳にも腫瘍が転移していることが分かり、腫瘍摘出手術を受けました。この時初めて、「転移性肺腫瘍」という病名が付きますが、完治の見込みが無い病気です。

妹は、この難病を抱えながらも、誰にも助けを求めることが出来ず、働く必要があったのです。この頃、兄である山口誠は無銭飲食の詐欺罪で、青森刑務所に服役中でしたが、まだ父親はいるので、負担が無くなったのは兄の旅費程度のものでした。

入退院を繰り返しながら働き続ける

Hospital Bed Doctor - Free photo on Pixabay (409392)

妹は結局、入退院を繰り返しながらも、食品加工会社で働き続けました。どれだけ身体も心もきつかったでしょう。まだ、20代で先の見えない闘病と生活費を稼ぐ為だけの生活。

もう1人の兄が家を出て行ってしまったのは、山口誠が函館で事件を起こした後だと言うので、妹はまだ18歳の時です。それから4年後に難病発覚ですので、もう1人の兄も仕事が軌道に乗っていた頃でしょう。

妹は助けを求めることが出来なかったのか?それとも、もう1人の兄と音信不通だったのかは不明です。もう1人の兄が妹も連れて家を出てくれていたなら、病気に掛かることは無かったかもしれません。

医療費・手術費は全て自分で賄う

Euro Seem Money - Free photo on Pixabay (409421)

たいした働き手も務まらない父親は、自分の給料は自分が握っていました。そして、そのほとんどをパチンコにつぎ込んで、生活費と呼べるものはほとんど出さなかったそうです。

妹が働いたとしても、まだ20代の女性が食品加工会社で貰える給料など、たかだかしれているでしょう。そこに自分の医療費や手術費も掛かってくるのです。

生活するだけでもやっとな家庭で、生命保険などは当然掛けていなかったと思われ、妹はどうやって自力で賄っていたのか不思議でなりません。

兄が逮捕された後も働き、家庭を支える

Sad Depressed Depression - Free photo on Pixabay (409467)

これだけ過酷な人生を過ごしていた妹ですが、山口誠に対して怒りの声を上げたのは、浅草で事件を起こす前のたった1回です。青森刑務所から出所して、東京へと行ってしまった先で金の無心をする兄に、「お兄ちゃんなんか、もう帰ってくるな」と答えています。

結果、金を手に入れられなかった山口誠は、その後残金も無くなり、事件を起こす日を迎えてしまうのですが、この妹を責めることは出来ません。

山口誠が事件を起こす少し前、2001年(平成13年)3月、妹はついに在宅酸素療法も開始されていますが、まだ仕事を続けていたようです。そして4月に浅草で山口誠は事件を起こし、5月に逮捕されますが、この後もしばらく家庭を支える為に働いていました。

「これまで生きていて楽しかったことは1つもない」と語る

Hospice Caring Nursing - Free photo on Pixabay (409516)

山口誠が浅草で事件を起こしたことがきっかけで、皮肉にも山口家の家庭内の酷さが判明することになります。父も軽度の知的障害者だったことや、妹の難病などを知ることになったボランティア団体が、支援に動いてくれました。

2001年(平成13年)8月になって、障害者手帳の発行や、年金の手続き、父親と離れる為の世帯分離などの手続きなどをしてもらい、共生舎という支援団体のサービスなどを利用できるようになったのです。

妹のあまりの酷い生活や病状を見たスタッフは、医者と相談しつつ妹を車椅子に乗せて、ディズニーランドなど旅行に連れて行ってあげました。妹はスタッフに「これまで生きていて楽しかったことは1つもない」と話していたようです。

7 / 8

関連する記事 こんな記事も人気です♪

日本や世界の不思議な事件まとめ!中には未解決の事件も?

日本や世界の不思議な事件まとめ!中には未解決の事件も?

日本や世界では不思議な事件が多く起きています。未解決の事件もたくさんあり、発生理由がわからなかったり行方不明のまま見つからなかったりするものもあります。どのような事件が起きているのか日本編と世界編に分けて詳しくご紹介していきます。
光市母子殺害事件の詳細と判決!大月孝行の壮絶な生い立ちと現在は?

光市母子殺害事件の詳細と判決!大月孝行の壮絶な生い立ちと現在は?

1999年に発生した光市母子殺害事件の犯人は大月孝行(旧姓・福田)という男性でした。犯人の男は18歳という若さで主婦・乳幼児を殺害したのです。今回は光市母子殺害事件について詳細を紹介すると共に、死刑に至るまでの経緯、そして大月孝行の生い立ちを紹介して参ります。
ホモフォビアの意味と原因とは?同性愛の歴史と日本で起きた事件

ホモフォビアの意味と原因とは?同性愛の歴史と日本で起きた事件

性について寛容と言われる日本でも多く存在する『ホモフォビア』という思想をご存じでしょうか。同性愛などの性的思考と関係が深いその言葉が生まれた歴史的背景や、原因について、また世界での捉え方も同時に触れて、性的志向への議論に関しても考えて行きます。
アメリカの有名ギャング「アル・カポネ」の生涯!逮捕された理由とその後も

アメリカの有名ギャング「アル・カポネ」の生涯!逮捕された理由とその後も

アル・カポネは、20世紀のアメリカを代表するギャングです。アメリカで禁酒法が施行された時代に犯罪組織の近代化に成功し、絶大な権力を誇りました。その影響は現在まで続いています。今回は、アメリカ史上最も有名なギャング、アル・カポネの生涯に迫ります。
底なし沼は日本にも実在する?沼の仕組みや脱出法と死亡事故も

底なし沼は日本にも実在する?沼の仕組みや脱出法と死亡事故も

底なし沼は国外だけのものではなく、日本にも実在しています。ここでは、底なし沼の深さや仕組みについて解説、脱出方法・救助方法や悲しい死亡事故、また、底なし沼がある場所の特徴や底なし沼がでてくる映画や童話なども紹介していきます。

この記事のキーワード