2019年6月8日 更新

上申書殺人事件の詳細!犯人三上静男と後藤良次の生い立ちとその後

2013年に山田孝之が主演し数々の賞を受賞した映画「凶悪」。この事件のモデルとなった上申書殺人事件。死刑が確定していた男が告発し明るみになった3つの事件を総じて上申書殺人事件と呼びます。巧妙に隠されていたこの事件には『先生』と呼ばれる男が暗躍していたのです。

一審・二審共に死刑が確定し上告していた後藤良次は上告しても判決が変わらない事を悟り、それならばこれまでの罪を洗いざらい打ち明け、きれいな身になって死んでいきたいという心境になったと話します。

そうした心境に至った理由に、明らかにされていない事件の被害者への食材の念もあったそうですが、それよりも『先生』の存在が大きく関わっていたようです。

先生こと三上静男とは?

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一見すると人の良さそうなおじさんに見える三上静男。新潮45の記者が三上静男について周囲に取材をしても、当初は良い人だという証言が多く、後藤良次の証言とは大きくかけ離れていたそうです。

しかし記者が粘り強く調査を続けていくうちに、三上静男の『良い人』という仮面が剥がれ、後藤良次の証言の方が正しかったということに行き着くのでした。

ここからは三上静男という人物についてお伝えしていきます。

不動産ブローカー

House Property Hand - Free photo on Pixabay (317544)

アメリカでは、医師や弁護士と並ぶステータスの高い職業として認知されており、不動産ブローカーの資格試験を受けるだけでも相当の苦労を要するそうです。

しかし日本では宅地建物取引業者の免許を持たずに不動産取引をして収入を得ている者のことを不動産ブローカーと言います。

不動産ブローカー自体は違法ではなく、契約などが必要な場合には資格を持った不動産業者が間に入り、紹介料をもらうという方法で収入を得るのです。

後藤良次は三上静男から不動産ブローカーのノウハウを教わって不動産ブローカーとして成功し、三上のことを『先生』と呼び慕うようになりました。

人格者を装ったサイコパス

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三上静男は嘘をつくことを何とも思わない、平気で約束を破る、良心の呵責がない、自分の目的を果たすためなら邪魔な物は排除する等、サイコパスの特徴をいくつも持ち合わせていました。

後藤良次の凶悪性をサイコパスだと断定する見方があるようですが、後藤良次は義理堅く、女・子供のようなか弱い者を狙ったりすることを嫌い、相手の人生を考えて内縁の妻を突き放したりしているのです。

これらの行動はサイコパスには決して見られない行動であり、後藤良次に何かしらの人格障害があるにせよサイコパスではないと推測されます。

三上が首謀者だった

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後藤良次が告発した3つの事件は三上静男が発端で起こっており、いずれも金銭絡みの犯行でした。当初話を持ちかけられた後藤は三上に金を借りており、依頼を受けてくれれば借金を帳消しにした上、更に報酬を与えるという甘言に釣られて殺人に加担してしまったのです。

後藤は過去に敵対する暴力団組長を射殺し不起訴になっており、その運の良さと、悪いことをすることにためらいがない人物だったことが、三上には利用しやすかったのでしょう。

後藤と三上が起こした事件

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後藤良次と三上静男が起こした事件は、万一警察に発覚しても事件性がないものとして処理されるように巧妙に慎重に行われたものでした。

後藤が上申書を提出していなければ、発覚することがなかったのです。そして実際に後藤が関与していないものの、三上から持ちかけられた数件の殺害依頼もあったというのです…。

ここからは上申書殺人事件である3つの事件と、更に事件を企てていた三上の提案、そして三上に関わった人物の謎の死についてお伝えしていきます。

石岡市焼却事件

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三上静男は金を貸していた60代くらいの男性を、返済をめぐるトラブルから殺害してしまいます。処理に困った三上は後藤良次にそのことを打ち明け、助けを求めました。

後藤と三上の共通の知り合いであり、三上と同じく被害男性に金を貸していた山田(仮名)にも電話をかけて助けを求め、後藤と三上と山田の3人は、遺体を山田の会社のゴミ焼却炉で燃やしつくしたのでした。

この後、後藤は三上から借りていた借金400万円を棒引きにしてもらった上、更に200万円の報酬を得ました。この事件を皮切りに三上と後藤は事件を起こしていくことになるのです。
Us-Dollar Dollar Bill - Free photo on Pixabay (317572)

三上は知人で不動産ブローカーの岡田(仮名)から魅力的な土地の情報を入手する。その土地の所有者である80代の男性は、身寄りもなく気にかけてくれる人もいないことから、殺害しても誰も気が付かない…と、三上は殺害計画を持ちかけ後藤もその計画に乗ります。

岡田に捕まった土地の所有者に3人で暴行を加えて弱らせてから身動きが出来ないように縛り上げ、山中に移動したのち、三上が掘った穴の中に土地の所有者を投げ込んで生き埋めにしてしまうのでした。

その後、三上は持ち前の悪知恵をフル活動させて被害者の所有地を自分の物にして売却しました。売却額は軽く見積もって7000万円以上だと推察されています。

功労者である岡田に2100万円、後藤に1200万円、知らずに加担させられた協力者2人に700万円を渡し、残る金は三上の物になりました。

日立市ウォッカ事件

Beverage Cold Drink - Free photo on Pixabay (317581)

知り合いであるカーテン屋が倒産寸前で、貸していた4000万円を回収できないことに困った山田(仮名)と、連日押しかける借金取りに疲弊し解放されたかった家族は、カーテン屋が8000万円の生命保険に加入している事から家族公認で、計画的な殺害を三上に依頼します。

三上から話を請けた後藤は、酒好きで糖尿病を患っていたカーテン屋に、毎日酒を飲ませて徐々に体を弱らせていった。カーテン屋が「家に帰りたい」と泣き言を漏らせばスタンガンや加工した電気コードを当て、通電の虐待もしたといいます。

その虐待に三上も参加し、最終的には三上の自宅でアルコール度数98度を飲ませて殺害しようとします。後藤の舎弟の一人がカーテン屋の体を押さえ込み、三上が無理矢理ビンごと口に突っ込み飲ませるとカーテン屋は意識を失いました。

三上の自宅から車で移動中にカーテン屋は事切れ、その遺体を山中に遺棄したのでした。しかしこの事件で後藤と舎弟2人に2000万円の報酬を出すという三上との約束は、後藤が別の事件で逮捕されたことで支払われることはありませんでした。

第4の殺害計画

Rupees Bank Note India - Free image on Pixabay (329322)

北茨城生き埋め事件の共犯者である岡田(仮名)の殺害計画があったようです。理由は事件後の分配金のことで揉めたのが始まりでした。

そのことをきっかけに関係に亀裂が入った岡田と三上は、別の土地の話で更に溝を深め、関係は修復不可能なところにまでいっていそうです。

そこで三上は後藤に岡田の殺害を1000万円で依頼し、後藤はそれを承諾しました。決行当日、後藤が岡田の自宅に押しかけますが、岡田が不在だったことからこの計画は未遂に終わりました。

第5の殺害計画

Poor Black Poverty - Free photo on Pixabay (329333)

マイホーム購入後にリストラされ、数年後には首が回らず借金漬けになってしまった男がいた。その男はパチンコ好きで働かず、友人知人の間を駆けずり回って金を工面していた妻は愛想を尽かしました。

三上静男にその男の殺害依頼をされ、家族が「1日も早くお願いします」と言っていることを聞いた後藤良次は、警察にバレる心配がないということでこれを承諾しました。

しかしその当時の後藤は日立市ウォッカ事件の犯行を行っている最中で、このことは後回しにされ、直後に逮捕されたことから後藤が関与することはありませんでした。

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