2019年9月6日 更新

アヨツィナパの43人とは?イグアラ市学生集団失踪事件の発端とその後も

メキシコである日突然、普通の学生6人が殺害され43人が集団失踪するという意味のわからない事件が起きたのですが、その犯人が...なんと!この43人は「アヨツィナパの43人」と呼ばれ「イグアラ市学生集団失踪事件」とも呼ばれ、今でも捜索されてています。

目次

2014年9月26日メキシコのゲレロ州イグアラ市で、アヨツィナパ教員養成大学の学生43人が拉致され、行方不明になる『イグアラ市学生集団失踪事件』が起きたことで、日本語でもいろいろなメディアに出ていますが、事件発生当時から謎が多く、公式見解が何度も変わるという異常な事態が続きました。

誰も、麻薬犯罪組織が牛耳るメキシコの政府や警察関係者の言うことは信じていませんでしたが、さらに信じられなくさせてしむ事態が続きました。

さらに2015年1月、イグアラ市学生集団失踪事件が起こった当時の検事長官が発表した公式見解からさらに再調査された結果では「事件の調査がとんでもないでっち上げであった」と判明するなど、いまだ解決に至っていません。

犯人として数名逮捕するも政府の拷問が発覚

Mexico Flag Grunge North - Free image on Pixabay (590195)

メキシコ政府は、イグアラ市で適当に数人を捕まえて、彼らが犯人だったと発表しましたが、あるジャーナリストによれば「もちろんこれも嘘」とのことです。メキシコ政府は、イグアラ市で適当に捕まえた数人を拷問し自白させ「自白したから犯人」とし歴史的事実をでっちあげるのが当たり前でした。

凶悪犯罪がはびこるメキシコで、政府が適当に犯人と似たような者を捕まえることなどは朝飯前で「冤罪だろうが、犯人同士の証言が矛盾しようが関係ない」というわけです。

犯人とされた者たちは、収監中に怪我が悪化したり、違法な拷問を受けた証拠があるそうですが「だから何?」とでもいうのでしょう。捜査が進むにつれ「学生たちは学生寮を出発した当初から陸軍に監視されていた」という事実も明らかになりますが、具体的な実行犯や真相がわからないままでした。

第三者委員会が創設されるも

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2014年11月、イグアラ市学生集団失踪事件について、メキシコ検察による『調査結果』がムリリョ検事総長より出されましたが、その信憑性には多くの疑問の声が出ていました。

そのため、米州機構(OAS)米州人権委員会(IACHR)は、事件を解明する目的で第三者委員会(GIEI)を招集し、5名の専門家が任命されましたが、メキシコ政府は「同第三者委員会に全面的に協力する」と約束しただけで、イグアラ市の軍人への面接を許可しないなど、妨害行為と思われる行動を取りました。

イグアラ市学生集団失踪事件の学生たちの家族会は「メキシコ検察の報告を信頼できない」とし、2015年9月6日、第三者委員会の調査結果は発表されましたが、予測された通り「メキシコ検察の発表はでっち上げ」だと証明されてしまいました。

身元不明の遺体は学生たちなのか

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メキシコは、昔から行方不明者が多い国で、絶望的に治安が悪くなっていく国です。メキシコの多くの若者がメキシコを見限り捨てて、アメリカに夢を持ち逃亡することがメディアで報道されることを見かけることが多いように、メキシコ国民は国をどうしたいのかが見えません。

イグアラ市学生集団失踪事件の後に、発見された大量の身元不明の遺体は、アヨツィナパ教員養成大学生たちなのかもわかっていません。どこからも、誰からも説明されないまま、まるで月日だけが過ぎていくのを「仕方ないよ」とボーッと見ているしかないようです。

学生たちは警察に拉致され犯罪組織に引き渡されていた

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2014年9月26日21時30分、イグアラ市警察が、3台のバスに乗って移動中のアヨツィナパ教員養成大学生らに向かって銃撃を始め、この最初の銃撃について学生達が抗議の記者会見を行っていた時、警察と見知らぬ人物が学生らに対して2回目の銃撃を行いました。

その頃、チルパンシンゴ市とイグアラ市間の高速道路では、別の武装グループが、メキシコサッカー第3リーグのチーム、チルパンシンゴ市の「アビスポネス」の選手たちが乗車していた1台のバスを銃撃し、1人のサッカー選手、バスの運転手、タクシーの女性乗客1人が死亡しました。

そして深夜、イグアラ市警の公安部幹部『フランシスコ・サルガド・バジャダレス』の指示で、アヨツィナパ教員養成大学生43人は警察車両に載せられ、いったん隣町のコクラ警察署に勾留され、コクラ警察署の副署長が麻薬犯罪組織『ゲレーロス・ウニドス』に後始末するよう依頼したとされました。

犯罪組織ゲレーロス・ウニドス

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警察の公安部幹部『フランシスコ・サルガド・バジャダレス』の指示で、イグアラ市の隣町のコクラ警察署に勾留され、コクラ警察署の副署長から麻薬犯罪組織『ゲレーロス・ウニドス』に後始末するよう依頼されたアヨツィナパ教員養成大学生43人は殺害されて山奥に埋められたとみられています。

この麻薬犯罪組織『ゲレーロス・ウニドス』のリーダーが、イグアラ市の市長だったルイス・アバルカ容疑者の妻マリア・デ・ロス・アンヘレス・ピネダ容疑者の実兄でした。一連の犯罪行為を警察と麻薬組織に指示したとされたのが元イグアラ市長夫妻で、とくにピネダ容疑者は「陰の支配者」とみられていました。

学生たちを焼き殺し灰を袋詰めにし川に流した

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2014年11月7日「アヨツィナパ教員養成大学生43人は、地方警察の手から、市長の妻の実兄がリーダーの麻薬犯罪組織『ゲレーロス・ウニドス』に引き渡され、組織は43人をトラックに乗せゴミ集積所に運び、焼き殺した後にその灰を袋詰めにして、川に投棄した」とムリリョカラム検事総長から発表されました。

ムリリョ検事総長は、さらに「骨は灰化し、触っただけで塵となるため、身元確認のためのDNA鑑定が難しい」と説明しました。

家族や市民は説明に納得していない

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ムリリョ検事総長により「骨は灰化し、触っただけで塵となるため身元確認のためのDNA鑑定が難しい」と説明されましたが、家族もメキシコ社会も、そんな説明だけで納得できるはずもなく、Twitterで「#NoLoAceptamos (ハッシュタグ私達は納得しない)」が生まれました。

ムリリョ検事総長が「もう疲れた(Ya me cansé)」とこの記者会見を終えたことに国民は反発し「#YaMeCanse(ハッシュタグもう疲れた)」は、逆に国民の方が「政府の腐敗や弾圧に、もう疲れた」という意味で使われ始め、メキシコ内外で学生たちの帰還を求める抗議活動が続いています。

米国でも「#UStired2(ハッシュタグアメリカももう疲れた)」運動が盛り上がりました。

オーストリアのDNA検査によって遺体は学生の1人だと判明

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2014年12月7日、ムリリョ検事総長により「骨は灰化し、触っただけで塵となるため身元確認のためのDNA鑑定が難しい」と説明された遺灰は、オーストリアの『インスブルック大学』にDNA検査に委託されており、遺灰の中から、行方不明の学生のうちの1人『アレクサンデル・モラ=ベナンシオ』が確認されました。

しかし、同時に分析を委託されていた法医人類学の『アルゼンチン・チーム』は、メキシコ検察から「川から出た遺灰の袋」を渡されただけで、その遺灰の出所は明確にはされていないと発表しました。

覆った真実

Censorship Limitations Freedom Of - Free photo on Pixabay (590232)

イグアラ市学生集団失踪事件で、シンプルに事件の『核』だと思っていたものが、次々と変わっていき、結局「誰が?いつ?何のために?どんな方法で?」などという重要な情報が、アメーバーのように形を変えていき、事件の『核』はどんどん複雑化してきました。

43人のアヨツィナパ教員養成大学生が行方不明になったまま未解決事件のまま月日だけが過ぎていくのは、公式見解やその他の情報には覆った部分があるからでもあります。ここでは、当初の発表から覆った真実についてご紹介していきます。

学生43人を住民たちに見つからず燃やすのは不可能

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