2019年9月6日 更新

アヨツィナパの43人とは?イグアラ市学生集団失踪事件の発端とその後も

メキシコである日突然、普通の学生6人が殺害され43人が集団失踪するという意味のわからない事件が起きたのですが、その犯人が...なんと!この43人は「アヨツィナパの43人」と呼ばれ「イグアラ市学生集団失踪事件」とも呼ばれ、今でも捜索されてています。

目次

イグアラ市学生集団失踪事件を操作したとされ「アヨツィナパ教員養成大学生43人を殺害した」という疑惑で、イグアラ市長ホセ・ルイス・アバルカの妻マリア・デ・ロス・アンヘレス・ピネダの両容疑者に逮捕状が請求されると、夫妻はメキシコ市内に逃亡しました。

元市長夫妻は、メキシコ市内の薄汚れた1軒家に潜んでいるところを当局に拘束されたそうです。たんまり犯罪をして栄えてきた2人への取り調べで、メキシコが抱える「未だ解決されていない事件」の解明作業が続いています。

組織犯罪関与などで起訴

Lincoln Statue Historic Courthouse - Free photo on Pixabay (590294)

メキシコ警察が逮捕した、メキシコ南部ゲレロ州イグアラ元市長の妻のことをメディアは「自治体トップ市長の妻でありながら、犯罪組織『女帝』として君臨しメキシコを揺るがしている」と表現しました。

イグアラ元市長ホセ・ルイス・アバルカと妻マリア・デ・ロス・アンヘレス・ピネダは、麻薬犯罪組織を取り仕切るだけでなく、麻薬犯罪組織と対峙するはずの警察や政府まで組織に引き込んでいたのです。腐りきった政情に、いまなお国民の抗議活動が続いています。

警察官は殺人や強制失踪の容疑で拘束

Policewoman Police Car - Free photo on Pixabay (590298)

ロイター通信などでは「メキシコでは2007年以降、汚職や麻薬組織の抗争などによる死者や行方不明者の累計は10万人を超えている」と伝えられています。なぜ犯罪組織がなくならないのかというと、取り締まる側の捜査当局と犯罪組織で「winwinの関係」が出来上がっているからでした。

イグアラ市学生集団失踪事件でも、組織の構成員でもある町の元警察署長など50人以上の警察関係者が殺人、強制失踪容疑で取り調べられていました。

麻薬組織『ゲレロス・ウニドス』の犯行に警察官の果たす役割は欠かせないものだったです。

ピネダ容疑者は「血まみれのファーストレディー」と呼ばれる

Background Blood Stain - Free image on Pixabay (590307)

英デイリー・メールや米ワシントン・ポストの電子版は、ピネダ容疑者を「血まみれのファーストレディー」「麻薬のファーストレディー」「43人もの大虐殺を命じたのは『ボスの中のボス』だった」と伝えています。

口答えした者は許さない。政敵は殺害しバラバラにと「メロドラマに出てくる悪党のように美しく邪悪」「人々に自分が恐れられていることを愛していた」と、まさに女帝と呼ぶにふさわしいその性格は「短気で怒るとより攻撃性が増した」と指摘。少額の請求書を持ち込むと「それはゴミか」と言ったそうです。

政敵のエルナンデス・カルドナ氏殺害にかかわる事件では、殺害の1カ月前のある集会で、学生運動とのつながりもあり、行方不明の43人の出身大学とも関係があったカルドナ氏は、ピネダ容疑者と口論になり拉致され殺され、遺体は路上にバラバラにされて撒かれました。

市長夫婦が関与した事件は200件以上とも言われている

Hand Blood Smeared - Free image on Pixabay (590308)

デイリー・メール紙電子版によると「組織に関わる警察官は、標的となった人物の自宅に真夜中に侵入し拉致し組織に引き渡す。拷問された被害者はそのまま殺されるか、自宅に戻れても再起できないほどのけがを負う」そうです。

イグアラの事件を受け、アバルカ、ピネダ両容疑者は逮捕されましたが、その後の捜査当局の調べによると「学生が埋められたとされる山中には、死体を埋めたとされる穴が40以上も見つかり、元アバルカ市長夫妻が関与したとみられる行方不明事案は200件に及ぶ」そうです。

判決は下っていない

Judge Hammer Auction - Free photo on Pixabay (590311)

元イグアラ市長夫妻は、イグアラ市学生集団失踪事件を操作したとされ、アヨツィナパ教員養成大学生43人を殺害した容疑で逮捕されましたが、事件自体がまだ謎のままであることが多く、この事件に元市長夫妻が何らかの関わりがあるとしても、それが何に容疑であるのかが状況により変わるのです。

事件の首謀者として逮捕されたのですが、知らされないまま違うルートが絡んでいたようで、事件の首謀者や、目的がはっきりとされていないので、判決がくだされることがないのです。

アヨツィナパの現在

Danzon Dance Mexican - Free photo on Pixabay (590312)

youtubeで『アヨツィナパ』と検索すると、驚くほどたくさんの行方不明事件の被害者の家族たちや、死ぬ思いで逃れてきたラッキーなメキシコ人などが紹介されています。

『アヨツィナパ』という言葉自体を聞いたことがなくても、異常な危険さが伝えられます。アヨツィナパのあるイグアラ市では、今でも毎週5、6人が殺されたり行方不明になっており、市内のタクシーのほとんどはマフィアの情報屋でもあるそうです。

広場の角でたむろしている人たちや、平日の昼間から暇そうに立っている人は「マフィアの見張りかもしれない」と言われるほど物騒な街です。

近くで「43」と書かれた衣服が販売されている

Singer Mexicans Sing - Free photo on Pixabay (590314)

イグアラ市は、スペインからの独立戦争で重要なイベントの舞台となった史跡の地でもあるり、街には歴史を記念した立派なモニュメントや博物館があり、巨木が心地よい影を落とす公園のベンチでは、お年寄りや子ども連れが昼下がりのひと時をのんびり過ごしているのが見えるような街です。

中央広場の脇に市庁舎があり外壁は白く塗られていましたが、2014年、イグアラ市学生集団失踪事件で、43人のアヨツィナパ教員養成大学生が行方不明になった後、怒った市民から焼き討ちにあい、内側は真っ黒に焼け焦げたままです。

43人の学生行方不明事件の解決を訴える横断幕が庁舎の正面に掲げられており、その向かいにあるテントや近所では「43」と書かれた衣服が販売されています。

教室内には行方不明者の写真が飾られている

Photo Lens Lenses - Free photo on Pixabay (590317)

アヨツィナパ教員養成大学の小ぢんまりとした構内の建物の壁や教室内には、イグアラ市学生集団失踪事件で、行方不明になった43人の学生の顔の絵や写真が飾られており、過激な社会運動家を輩出した左翼系大学らしく『チェ・ゲバラ』をはじめとする内外の革命家の肖像などが描かれています。

『アヨツィナパ』といえば「左翼の街」「ゲリラの温床となっている街」として有名です。亡くなったからといって、英雄視され続けることに変わりはないのです。

学校は通常通り

Books Door Entrance - Free photo on Pixabay (590320)

メキシコという国から、ゲリラ活動が必要とされ許され続ける限りは『アヨツィナパ』=ゲリラ、左翼の街であり、アヨツィナパ教員養成大学がなくなることはないのでしょう。

しかし、ゲリラが必要とされる国ということは、同時に「異常に治安が悪い国」であることを指し示します。アヨツィナパ教員養成大学が通常どうり運営されるということは、悲しいことですが「メキシコがどうしようもなく異常に治安が悪い国である」ことと意味が同じにされるのです。

バスやトラック強奪もこれまで通り行われている

Weapon Pistol Access - Free photo on Pixabay (590327)

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