2019年10月21日 更新

せむし男の意味とは?差別用語のせむし男は実在する?

あの有名な「ノートルダムの鐘」に差別用語が使用されていたことを、ご存知でしょうか。「せむし」という、実在の病気を差別する言葉が使用されています。「せむし」とはどういった意味なのか、病気の様子などと合わせて、ご紹介していきましょう。

せむし男の意味とは

Depression Loneliness Man · Free photo on Pixabay (63512)

ディズニー映画として有名な「ノートルダムの鐘」に、別名があることをご存知でしょうか。実は日本でのみ「ノートルダムの鐘」というタイトルが使われています。海外では「The Hunchbake Of NotreDame(ノートルダムのせむし男)」というタイトルが使用されているのです。

タイトルにある「せむし男」という文言は、日本では差別用語に該当するため、タイトルを変更したと言われています。映画の元は、ヴィクトル・ユーゴという作家の「ノートルダム・ド・パリ」という小説です。

今回POUCHSは、このせむし男という言葉の意味や特徴について解説していきます。

原作は映画の「ノートルダムの鐘」と同じように、醜い容姿を持った男性が主人公として描かれた作品となっていますが、ストーリーや結末は、少々異なっています。
Bell Tower Bells Church · Free photo on Pixabay (63513)

映画「ノートルダムの鐘」では、醜い容姿を持った主人公「カジモド」と、美しい踊り子のヒロイン「エスメラルダ」との触れ合いが描かれているのです。美しい心があれば容姿など関係なく、人と交流することもでき、外の世界から拒絶されることもないといったハッピーエンドとなっています。

しかし小説では、ヒロインの「エスメラルダ」を助けた「カジモド」ですが、その容姿を受け入れてもらうことができません。火炙りにされる「エスメラルダ」を見下ろすといった、バットエンドとなっています。小説の内容からもわかるとおり、「せむし男」というのは、非常に醜い容姿であることが理解できるでしょう。

また、POUCHSは恋愛やライフスタイルを応援する記事を多数取り扱っています。こちらの記事も、ぜひ一緒にご覧ください。

せむし男の意味

Girl English Dictionary · Free photo on Pixabay (63514)

「せむし男」とは、「背中に虫がいるような容姿」を略称した言葉だといわれています。病気が原因で、四肢や背骨などが曲がってしまい、見慣れない外見をしていることから、人々に忌み嫌われる「虫」という言葉を用い「虫のように気持ちが悪い」といった意味を込めたともいわれています。

また、医学の発展が著しくなかった時代、病気といった認識もなく、原因追及や詳細が不明確で、実際に背中に虫がいると考えられていたようです。

せむし男の特徴

Book Old Dictionary · Free photo on Pixabay (63515)

骨格の変形や、皮膚の形成不全により、背中が大きく曲がっていたり、四肢が激しいO脚だったと言われています。骨の形に合わせ、皮膚が盛り上がり、体のあちこちに大きなイボのような形となって表れたともいわれているのです。

一般的な人間の形からは遠く、原作となった小説を書いたヴィクトル・ユーゴも、「伝えることができない」といった記載を残しています。

また、骨格に異常をきたしていることから、動き方にも特徴があったことは想像に難くないでしょう。激しいO脚でバランスを保ち歩く姿や、盛り上がった背中を持って過ごす姿も、一般的な人間とは違い、多くの人々から好奇の目や奇異の目で見られていたと考えられます。

せむし男はどんな病気?

Checklist Clinic Daily Report · Free photo on Pixabay (63516)

日本で「せむし男」と呼ばれる症状が病気であると報告されたのは、17世紀頃だと言われています。17世紀の英国で、初めて「せむし男」と呼ばれる症状を持つ人々が、病気であると発表されました。

この時期は、科学の進歩が目覚ましく、アイザック・ニュートンが万有引力の法則や望遠鏡を発明し、ガリレオ・ガリレイが天体に関する報告をした時期でもあります。

日本では江戸時代初期です。日本でこの病を「せむし男」と呼びだしたのは戦前だと言われており、日本は病気の認知や、医学の発展が著しく遅かったことがわかります。

由来となった病気

Despair Alone Being · Free photo on Pixabay (63517)

「せむし男」の由来となった病気の病名は「くる病」です。くる病になると、骨の石灰障害が起こったり、骨格の異常が発症すると言われています。

足や手が大きく湾曲するのも、骨格異常や石灰障害が発症するからです。石灰障害が発症すると、通常より骨が柔らかく形成されてしまい、激しいO脚やX脚になるといわれています。

また、変形する体の部位は足だけに限らず、頭蓋骨や背骨、手首なども含まれるのです。激しい骨の痛みが生じることもあり、寝たきり状態となるケースも報告されています。現在日本では、難病指定となっている病気の一つです。

病気の原因は?

Pill Capsule Medicine · Free image on Pixabay (63518)

くる病を発症する原因は、ビタミンD不足と言われています。妊娠中にビタミンD摂取量が足りず、胎児が発症するケースが報告されているのです。また、後天的な発症理由として、カルシウム不足やリン不足も原因として報告されています。

必要な栄養素を摂取していても、くる病を発症する場合もあります。その原因として、くる病が発症しやすくなる先天的な疾患を持っていたことが考えられるでしょう。

例えば、腎尿細管障害や代謝異常、低リン酸血症など、先天的に持っていた疾患が原因でカルシウムやリンの吸収やビタミンDへの抵抗性によって、くる病を発症するケースも報告されています。

せむし男が登場するノートルダムの鐘

Micky Mouse Walt Disney · Free photo on Pixabay (63519)

ディズニー映画として有名なノートルダムの鐘について、詳しく知らない人もいるでしょう。「せむし男」という差別用語を理解するためにも、まずはノートルダムの鐘について、詳しくご紹介していきます。

ノートルダムの鐘の概要

Japan Tokyo Architecture · Free photo on Pixabay (63520)

映画「ノートルダムの鐘」に登場する「せむし男」の名前は「カジモド」といいます。ジプシー狩りよって殺害された女性が抱いていた子どもが「カジモド」です。「ジプシー」とは、中東欧に実在した、移動型民族のことです。

母親を殺されたカジモドは、ノートルダム大聖堂の司祭に引き取られ、鐘つきをしながら、優しく純粋な青年として育ちます。しかし、容姿が醜いことから大聖堂から出ることを許されませんでした。

一度だけ言いつけを破り、カジモドは大聖堂から出て、街の祭りに参加します。そこで、ジプシーの踊り子である「エスメラルダ」に一目ぼれするのです。
Disney Sea Night View · Free photo on Pixabay (63521)

ジプシー狩りを行っていた「フロロー」という最高裁判事に求婚されるエスメラルダですが、その申し出を断ったことから火炙りの刑を言い渡されます。カジモドに助けられ難を逃れますが、狂気に取りつかれたフロローは、街全体に火を放ち、エスメラルダを探すのです。

「フィーバス」という美男の護衛隊長と、カジモドが力を合わせ、街とエスメラルダを救う物語となっています。最後は、街の人々にカジモドが受け入れられ、ハッピーエンドとなりますが、主人公カジモドの恋が叶わない展開は、ディズニー映画として異質の終焉といえるでしょう。

ガジモドの名前の由来

1 / 3

関連する記事 こんな記事も人気です♪