2019年10月21日 更新

せむし男の意味とは?差別用語のせむし男は実在する?

あの有名な「ノートルダムの鐘」に差別用語が使用されていたことを、ご存知でしょうか。「せむし」という、実在の病気を差別する言葉が使用されています。「せむし」とはどういった意味なのか、病気の様子などと合わせて、ご紹介していきましょう。

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「カジモド」という名前は、母親を殺した最高裁判事フロローが付けたと言われています。経緯から考えても、「カジモド」という名前が良い意味ではないことが分かります。

「カジモド」とは「できそこない」という意味を持っているのです。英語版では「Half Formed(不完全)」という名前となっています。また、「カジモド」は「ほぼ」「だいたい」といった意味も持っています。醜い容姿を持った赤子の姿を見て「ほぼ人間」「人間に近い」といった意味を込めたとも言われているのです。
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「カジモド」という名前が、ネガティブな意味ばかりではないという説もあります。カジモドという言葉は「白衣の主日(びゃくいのしゅじつ)」という意味を持っているというものです。

「白衣の主日」とはカトリック教会の祝日にあたり、神の慈しみの主日と定められています。つまり「カジモド」とは、神の愛や恵みといった意味を持っているという説もあるのです。

映画やミュージカルでのガジモドの見た目

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映画やミュージカルで描かれている、カジモドの容姿についてご紹介していきましょう。映画でもミュージカルでも、カジモドの背中は大きく盛り上がっています。古ぼけた薄い衣服をまとっていますが、背中の盛り上がりが目立ち、くる病の特徴を表現しているのです。

また、映画で描かれているカジモドは、大きな顔と大きな鼻を持っています。片方の目の上が盛り上がり、左右非対称な顔をしているのです。このことからも、くる病の症状が外見的に大きな影響を与えることが理解できるでしょう。

邦題が変更されていた

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前項でもお伝えしたように、「ノートルダムの鐘」と呼ばれているのは、日本だけです。他の国では「ノートルダムのせむし男」といったタイトルが使われています。

原作の「ノートルダム・ド・パリ」からタイトルが「ノートルダムのせむし男」に替えられたのは、小説の内容から大きく変更されたからだともいわれているのです。

宗教的な要素や神話的な要素を多く含む小説の内容は、時代背景から万人受けが難しいと想定され、内容を大きく変更し、ハッピーエンドの作品として作り直されたといわれています。そして、日本では「せむし男」という名称が差別用語にあたるとして、再度放題が変更されたのです。

原作は悲劇的な結末だった

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原作の「ノートルダム・ド・パリ」は、「ノートルダムのせむし男」や「ノートルダムの鐘」と内容が異なります。映画やミュージカルで描かれている登場人物の設定も異なりますし、エンディングも違うのです。

例えば映画やミュージカルで最高裁判事として描かれる「フロロー」は、原作では、カジモドを育てる司祭として記載されています。また、美男で勇敢な護衛隊長の「フィーバス」は、恋敵であることは変わりませんが、原作では婚約者がおり不誠実な男性として描かれています。
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そして、何より大きな違いは、原作では踊り子「エスメラルダ」は死んでしまうというものです。エスメラルダは処刑され、カジモドもフロロを殺害するという非常にショッキングなエンドとなっています。

原作では、エスメラルダの墓を掘り返した際、白い衣装を身に着けた白骨した彼女の遺体のそばに、異質な骨格をした男性の白骨死体が寄り添っていたという最後です。異質な形をした白骨死体を、彼女から引きはがそうとした際、骨が砕け粉々に砕けた描写で、小説は終わりとなっています。

「せむし」という言葉は差別用語

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「せむし」とは、背中の一部が吐出していたり、大きく曲がっている状態を意味し、差別用語として放送禁止用語にも指定されています。

くる病が一般的に周知されていなかった時代、「背中に虫がいるような気持ちの悪い人」という差別的な意味を込め、多くの人が腰の曲がった人や体が変形した人々を「せむし」と呼び差別していました。

また、背中が曲がったり変形する原因が解明された後も、「佝僂病(くるびょう)」といった漢字表記を使用しており、こちらも差別用語として、現在はひらがなの「くる病」となっています。「佝僂」とは「僂佝(ろうく)」という名称が由来であり、背中が曲がって、前かがみになっている人を指す言葉です。

せむし男は実在する?

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映画やミュージカルで描かれている「せむし男」と呼ばれるような外見を持った人物は、実在するのでしょうか。17世紀に発症したくる病がその由来だと考えると、現代では根絶された病のような印象を持つ人もいるでしょう。ここからは、せむし男の詳細や現状について、お話していきます。

せむし男は実在する?

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せむし男と呼ばれる「くる病」によって骨格が変形したり吐出した状態を持つ人たちは実在します。「くる病」は根絶された病気ではなく、現代でもさまざまな状況や環境によって、発症する病気のため、症例数は少なくなりましたが、発症数が0の病気ではありません。

くる病は治る病気?

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医学の進歩により、くる病は幼少期に発見されることが多くなりました。そのため、的確な処置や、早い段階での対処が可能となり、体を変形させにくくする器具などの開発も行われています。

しかし、くる病の原因や併発する病、障害も多種多様なため、正確な「完治」とは言いにくい病気の一つです。症状を和らげる方法や、手術などはありますが、現在は病気と上手く付き合い、日常生活を送れるようにった段階と言えます。

人間だけじゃなく犬にも同じ病気があった

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くる病を発症するのは、人間に限ったことではありません。犬や猫なども、くる病を発症するといわれています。室内犬が多くなったことにより、日光浴不足によって、くる病を発症するケースが増えたという報告もあるのです。

間接が膨らんだり、手足の変形といった症状が見られます。歩行障害や、骨の痛みによって散歩やジャンプを嫌がったり、度々骨折するなどの症状も見られるようです。

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