2019年5月16日 更新

許嫁制度などの結婚の歴史とは?現代の法制度で許嫁は効力を持つ?

現代では、許嫁と言うと結婚の約束をした者同士という程度の意味ですが、かつては違う意味を持つ言葉でした。日本ではほとんど見られなくなった許嫁とは、どのような制度だったのでしょうか?今回は、許嫁の歴史や現在の法制度との関係、各国の許嫁の事情などについて解説します。

目次

Sunset Shrine Sea - Free photo on Pixabay (276676)

明治時代になると、許嫁制度は庶民の間にも広まりました。明治以前は、家父長制的な価値観は主に支配者層のものであり、庶民の家族観は比較的自由なものでした。

しかし、明治になると家を重視する法律制度が整えられ、人は個人である前に家の一員であるという考えが広く国民の間に浸透していきました。結婚も家制度の元で行われるようになり、当人の意志よりも家の統率者である父親の意志が重視されるようになりました。

一方で、西洋的な価値観が流入して自由恋愛という概念が生まれたのもこの時代です。許嫁のような旧態依然とした価値観と自由恋愛のような進歩的な価値観がせめぎ合っていた時代と言えます。

許嫁制度への疑問

Bride Marry Wedding Red - Free photo on Pixabay (276680)

許嫁制度は現代の結婚制度とは大きく異なる点が多くあります。以下で主に明治時代に確立された許嫁制度に対する疑問点を見ていきましょう。

絶対に結婚しなければならなかったの?

Fantasy Monument Woman - Free photo on Pixabay (276684)

かつての許嫁制度では、親同士が決めた許嫁との結婚は絶対であり、当人に拒否権はありませんでした。先に解説した通り、結婚は個人の問題である以前に個人が所属する家の問題でした。家の支配者である家長(ほとんどは父親)の意志が家の意志であり、家の意志に逆らうことはできなかったのです。

戦後になると、日本にも個人主義がある程度浸透し、徐々に父親の権力が弱まっていきました。同時に許嫁制度も廃れていき、当人の意志に関係なく結婚させられるということは少なくなりました。

しかし、家の意志を重視するという保守的な価値観は、現在も日本社会に根強く残っています。

他に好きな人がいた場合は?

Young Couple Kissing Kiss - Free photo on Pixabay (276688)

他に好きな人がいたとしても親が決めた許嫁がいれば、許嫁との結婚が優先されました。現代では、結婚は恋愛の延長線上にあるという考え方が一般的ですが、当時は恋愛結婚は非常に珍しいものでした。

そもそも恋愛という概念自体が、庶民にとってなじみのあるものではありませんでした。現代のような恋愛は、近代になって西洋文化の影響を受けて徐々に構築されていったものです。
Hands Love Couple - Free photo on Pixabay (276691)

近代的な恋愛の始まりは、家父長制が強化された明治時代に詩人の北村透谷が恋愛至上主義を唱えたことから始まったと言われています。

しかし、家制度を重視する国の政策との矛盾に苦しんだ透谷は、後に自殺しています。恋愛は庶民の間には十分に広がらず、許嫁制度は存続しました。

男性側と女性側、どちらが強かったの?

Man And Woman Portrait - Free photo on Pixabay (276694)

許嫁制度に限らず当時の結婚は、女性が男性の家に入るという形がほとんどであり、女性は男性と比べて弱い存在でした。家父長制では父親、すなわち男性が家の権力者であるため、女性は男性に付き従うものであるという価値観に支配されていたのです。

許嫁制度にはこのような男尊女卑的な価値観があり、女性は男性以上に個人として認められていない存在でした。ただし、当時から女性の権利向上を求める運動はありました。

大正時代には、女性差別の解消を目指す思想であるフェミニズムが生まれていますが、男性がはるかに強い存在であったことは間違いありません。

親同士が決めた相手と結婚して幸せになれるの?

Worried Girl Woman Waiting - Free photo on Pixabay (276698)

親同士が結婚を決める許嫁制度は、現代から見ると異様で幸せとは程遠そうですが、当時の社会制度ではむしろ自分の意志で結婚することの方が珍しく、ある意味異様でした。

家が何よりも重視される社会制度になっているため、結婚においても個人より家柄が重要でした。特に女性にとっては裕福な家に嫁ぐことがステータスであり、親同士が決めた結婚であっても家柄が良ければ幸せになれると考えられていたのです。

現在では、このような考えは通用しなくなっていますが、家柄や財産を重視する考えは、恋愛結婚が当たり前になった現在でも根強く残っています。

許嫁制度があった理由

Bride Groom Matrimony - Free photo on Pixabay (276701)

許嫁制度が近代まで存続していたことには、さまざまな理由があります。以下で許嫁制度があった理由について詳しく解説します。

良家には良家という価値観

Three Women Fashion - Free photo on Pixabay (276706)

許嫁制度は良家と良家が関係を持つべきという価値観に支えられていた側面があります。許嫁制度が一般的になった明治時代は、天皇の元で全ての民は平等であるとする一君万民思想が社会の基本にあり、表向き身分制度は撤廃されました。

しかし、現実には明治以降の日本もれっきとした身分社会でした。大日本帝国憲法によって法の元の平等が定められましが、その効力は限定的なものでした。かつての特権階級だった大名や公家は、華族と名前を変えて特権階級として扱われていたのです。
Romantic Hug Togetherness - Free photo on Pixabay (276710)

このような身分社会において結婚を個人の意志に任せてしまうと、身分の違う者同士が交流を深めて結婚に至る可能性があります。身分が高い良家の人間は、身分が低い家の人間と関係を持つことを良しとしませんでした。

許嫁制度であらかじめ同じ身分同士で結婚するようにしておけば、身分を固定することができるので、自分たちの既得権益を守ることができたのです。

双方の家の絆・関係を強めるため

Bonding Casual College - Free photo on Pixabay (276719)

許嫁制度は双方の家の絆・関係を強めるためにも行われていました。明治以前の許嫁制度による結婚は、主に政略のために支配者層で行われていました。明治になって制度が一般化してもそのような面が残っており、家同士の関係が重視されていたのです。

特に身分が低い家の場合は、自分たちの家よりも身分が高い家と関係を持つことができれば自分の家の身分を高めることができるため、許嫁制度を利用して身分が高い家と関係を持とうとしました。

ただし、大多数の一般庶民のようにもともと身分が低い家が身分が高い家と関係を持つことは、非常に難しいのが現実でした。あくまである程度の身分である家が、さらに高い身分の家と関係を持つために許嫁制度が行われていたと考えられます。

2 / 5

関連する記事 こんな記事も人気です♪

好きだけど別れたい?その恋愛が辛い理由と不条理な恋愛の打開方法

好きだけど別れたい?その恋愛が辛い理由と不条理な恋愛の打開方法

好きだけど別れたい。こんな不条理な恋愛をしている人は意外と多いのではないでしょうか。好きだけど別れなければならない理由がある、不倫をしているけどやめたい、結婚への迷いがある人のために、不条理な恋愛を打開する方法についてご紹介します。
年下の彼氏の恋愛心理と付き合い方!年下彼氏の結婚観と年の差の悩み

年下の彼氏の恋愛心理と付き合い方!年下彼氏の結婚観と年の差の悩み

年下の彼氏が欲しい方や年下彼氏がいる方の悩みや付き合い方、その先の結婚まで年下彼氏の心理についても紹介していきます。年下彼氏は浮気をするのか、またどういったときに別れを感じるのかについても詳しくみていきます。ぜひこの記事を参考に年下彼氏の魅力を知ってください。
本当に好きな人にとる態度とは?あなたの本当に好きな人を診断!

本当に好きな人にとる態度とは?あなたの本当に好きな人を診断!

あなたには、「本当に好き」と心から思う人はいますか?今回は、本当に好きな人に対する態度を診断する心理テスト、本当に好きな人の特徴、いつも付き合えない理由、結婚するために頑張りたいことなど、本当に好きな人がいることについて、紹介します。
ストーカー女の特徴と心理!付き合う時や結婚の注意点と対策は?

ストーカー女の特徴と心理!付き合う時や結婚の注意点と対策は?

ストーカー女と付き合うと、地獄しか待っていない!?今回は、ストーカー女の特徴や心理を捉え、対策方法を見ていきましょう。ストーカーと付き合うとどんなリスクがあるのか?ストーカー女との付き合い・結婚に関する実体験も交えながら、紹介していきます。
彼氏が重いから別れたい?重い彼氏との結婚や遠距離の本音と対処法

彼氏が重いから別れたい?重い彼氏との結婚や遠距離の本音と対処法

彼氏との温度差を感じて別れたい…と悩む女性も多いのではないでしょうか。このまま結婚しても幸せになれる?遠距離だと関係を修復出来るの?別れは手紙で告げるべき?など、答えが出ずに迷っている点も多いはずです。重い彼氏と本当に別れるべきなのか、一緒に考えてみましょう。

この記事のキーワード