2019年10月19日 更新

忌み子の意味と特徴は?双子が忌み子として扱われた歴史背景も

「忌み子」の読み方や意味を知っていますか?現代では、ほとんど使われることはありません。しかし、数十年前までは、当たり前に使われ、それにまつわる風習も存在していました。この記事では、双子を蔑む「忌み子」という言葉の正しい意味や特徴について解説していきます。

忌み子は差別用語

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特定の人物を否定したり、特定の人物にたいして、不利益をもたらす発言や、侮辱する発言を「差別用語」と表現します。差別用語には、多くの言葉が存在し、その意味を理解せず発言してしまい、世間で話題となる様子も度々見かけられるでしょう。

差別用語の発言は、「知らなかった」という、無知で許される行為ではありません。差別用語を知ることは、不要な争いを避けることにもなりますし、他人をむやみに傷つけないためにも必要なことなのです。

人に使うのはNG

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特に、年配層に多くみられる状態ですが、悪気もなく差別用語を使用する姿を度々見かけます。双子やハーフの子供にたいして「忌み子」と発言してしまうのも、情報が乏しい時代に生きた後遺症と言えるでしょう。「忌み子」という言葉は、現代ではもちろん、過去においても人に対して発言していい言葉ではありません。

何ら害のない産まれたばかりの子供にたいし、「望まれない子供」という表現は、非常に不適切で不快な表現なのです。風習や習慣など、偏ったものの見方が絶対だと考える恐ろしさや狂気的な一面を、自覚する必要があります。

忌み子に関する作品

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現代の日本では、「忌み子」という言葉を聞く機会はほとんどありません。しかし、それらを題材にした作品は、数多く出回っています。「忌み子」を蔑むような内容ではなく、「忌み子」の特徴やそれらが抱えてきた背景を上手く紹介する作品や、上手く物語と絡めた作品が多いのが特徴です。

最後に、忌み子に関する作品をご紹介していきます。映画や漫画、携帯ゲームなど、比較的触れやすい作品に採用されているため、忌み子の歴史や時代背景に触れたいと考えた人は、是非体験してみるといいでしょう。

曇天に笑う 外伝 宿命、双頭の風魔

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現代より約300年程遡った、世間が混沌としていた江戸時代後期から明治動乱期を描いた漫画が、「曇天に笑う(どんてんにわらう)」という作品です。月刊コミックアヴァルスで2011~2013年まで連載されていました。登場人物は「曇 天火(くもう てんか)」と呼ばれる24歳、長男男性です。

天火は三兄弟の長男であり、次男の「曇 空丸(くもう そらまる)」三男の「曇 宙太郎(くもう ちゅうたろう)」が登場します。物語のストーリーについて、ご紹介しましょう。明治11年、琵琶湖のそばに「曇神社」と呼ばれる長い歴史を持った神社があります。それらの当主を務めていたのが「曇 天火」です。

「曇 天火」の仕事は、街の平和を守ることの他に、琵琶湖の中に建っている監獄「獄門処」への橋渡しという仕事も担っていました。この「獄門処」は脱獄不可能と呼ばれる、現代でいう刑務所のような場所です。
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そんな仕事を続けているさなか、天火たちが住む町では300年に一度の長期的な曇天に見舞われます。この曇天が示すのは、300年に一度蘇えりすべてを滅ぼすとされた「大蛇(だいじゃ)」の復活でした。大蛇は人々の負の感情に入り込み、身体を侵食しやがて完全な形として復活します。

「曇天に笑う」は、三兄弟と300年に一度復活するとされる大蛇との攻防、そして忍びや大蛇討伐部隊との激しい戦いを描いた漫画です。さて、この漫画で「忌み子」が登場するシーンについて、ご紹介していきましょう。忌み子が登場するのは、漫画本編ではありません。

劇場版アニメ「曇天に笑う<外伝>」の中編である「宿命、双頭の風魔」です。2018年6月9日から、2週間だけ限定公開されました。この劇場版アニメでは、主人公「天火」の過去が描かれ中編で風魔一族の頭の心情を描いています。風魔一族とは忍びであり、大蛇を復活させようと暗躍していました。つまり、主人公の敵です。
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「曇天に笑う<外伝>宿命、双頭の風魔」の主人公は、壱助(いすけ)と呼ばれる双子の兄と、壱雨(いさめ)と呼ばれる双子の弟になります。兄の壱助は風魔一族の長であり、才能あふれ仲間にも慕われていました。しかし、弟の壱雨は忌み子ということから、殺されてしまう定めでした。

本来殺されてしまう忌み子ですが、この劇場版アニメでは、弟は生かされ、それぞれに抱える葛藤を描いていきます。この劇場版アニメが優れているのは、忌み子が存在した時代背景が鮮明に描かれている点です。「忌み子」という概念が存在した時代、村や街、集落にはそれぞれの伝統がありました。

つまり、何ら科学的根拠もない「伝統」「言い伝え」が伝承され、それらが絶対的に正しいと信じられ実行されていた時代だったのです。「忌み子」という概念も、こういった伝統や言い伝えに関係しています。
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同じ顔を持つ人間が、同時に存在しているという状態は、医学も化学も進歩していない時代、一種の不気味さを感じさせていました。そういった異質さと、日常で起こる天災や不運を関連付かせ、双子=災い、忌み子としての概念が広がっていったのです。

劇場版アニメ「曇天に笑う<外伝>宿命、双頭の風魔」では、時代背景を感じさせる掟や儀式が、数多く描かれています。情報も乏しく、人同士の絆が固すぎた時代の様子を、リアルに知ることができる作品です。アニメ実写版として、俳優の福士蒼汰が演じて劇場化もされました。

漫画を読んだことがない人は、是非漫画を読み、ある程度の時代背景を頭に入れてから劇場版を見ることによって、感情移入もしやすくなりますし、物語をより正確に読み解けるでしょう。

忌み子と呼ばれた召喚士

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「忌み子」という文言がタイトルに使用された小説といえば「忌み子と呼ばれた召喚士」という小説です。こちらの作品は、「小説家になろう」というサイトに投稿されていた一般人の作品が、書籍化されたものになります。作者は「緑黄色野菜(リョクオウショクヤサイ)」です。

この小説では、主人公「ヴィルム」が忌み子そのものの生い立ちとなっています。忌み子は、出生時に殺されてしまう場合も多いのですが、捨てられてしまう場合も多いのです。ヴィルムは後者で、実の両親に捨てられてしまうのですが、精霊に拾われ、召喚士として成長する物語となっています。

小説タイトルに「忌み子」と使われていますが、内容としては忌み子に注目したシーンはそれほど多くなく、主人公ヴィルムが召喚士として成長し力をつけ世界を変えるバトルファンタジー要素が強い作品です。
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忌み子という要素が見られるシーンといえば、主人公ヴィルムが敵を問答無用に殺してしまうシーンや、「困っている人を助ける」といった一般的な良心がかけている部分でしょう。忌み子は、両親に愛情深く育てられることは少なく、生かされたとしても、外界と隔離して育てられます。

こういった愛情不足や外界や人との接触が少ないことから、忌み子には優しさや良心が欠けることが多々発生するのです。通常通り、愛情深く育てれば、優しさを持てなかったり良心が欠落して成長することもありません。

育て方の問題であるにも関わらず、忌み子として育てた我が子が優しさや良心を持たなかったことにたいして「やはり忌み子だから」と結論付けてしまったのが、忌み子の時代背景です。こうして忌み子は、長い間忌み嫌われ、排除される時代が続きました。

スプライス

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「忌み子」とは、双子にたいする言葉ではありません。大きな意味合いとして「望まれない子供」という意味を持っています。つまり、両親が望んで産んだとしても、周囲がその存在を否定した場合も、忌み子と表現するのです。「スプライス」という作品は、その両者に望まれなかった忌み子を表現しています。

2011年1月、日本で公開された映画「スプライス」という作品は、一見するとサイエンスミステリーのように感じられるでしょう。主人公は、科学者のクライヴという男性とエルサという女性です。どちらも、科学者であり、新種の生命体を生み出すことに注力しています。

そして、2人が務める研究所で誕生した新種の生命体が「フレッド」です。フレッドは人間の形をしていますが、DNA結合実験の末誕生した、新生命体になります。研究所は、倫理観を持ちだし、フレッドの研究や2人が行っている実験全てを停止することを決定するのです。
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この物語の序章では、「忌み子」という存在があまり顕著に表れていません。しかし、研究所から実験停止させられてしまうことから考えると、フレッドは研究所からみて忌み子ということになります。2人は研究が中止となった後、「H-50」という生命体を誕生させます。

「H-50」は急速に成長しました。人間らしく微笑む姿に、エルサは「ドレン」と名付けるのです。この生命体も、世間では許されない存在であり、隠れて育てられたことから「忌み子」の要素を持っているといえるでしょう。この物語の「忌み子」の要素は、中盤から後半にかけて、大きく表現されていきます。

はじめに父親的存在である「クライヴ」が、ドレンを手にかけようとするのです。倫理観やエルサへの影響を考えてのことでしょう。しかし、これを母親的存在のエルサが止めます。この時点で、ドレンはクライヴにとっての忌み子になったといえるでしょう。
Forest Hack Blade - Free photo on Pixabay (97781)

物語は、続きます。父親的存在に忌み子として見られていたドレンですが、母親的存在のエルサからも忌み子として見られる事件が発生するのです。ドレンは、クライヴと性的関係を持ってしまいます。そして、その様子を、パートナーであるエルサに見られてしまうのです。

ドレンがクライヴと性的関係を持ってしまった理由は、エルサの幼少期が関係しています。エルサは実の母親に虐待されていました。その影響によって、ドレンに虐待してしまうのです。ドレンは、その助けをクライヴに求めてしまい、2人は性的関係を持ってしまいます。

この後、父親的存在のクライヴと母親的存在のエルサは、ドレンを処分することを決めるのです。つまり、どちらにとってもドレンが忌み子になってしまったということになります。しかし、物語はここから急展開を見せるのです。忌み子の特徴や、それらが周囲に与える影響や心情を鮮明に描いた作品となっています。

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