2019年7月12日 更新

9歳の壁とは?心理学でも注目される9歳の壁の特徴や乗り越え方

「9歳の壁」という言葉を知っていますか?もとは聴覚障害教育で使用している言葉ですが、現在は健常の子供の発達にも使用されています。「9歳の壁」に直面しているお子さんをお持ちのあなたに、発達障害との見分け方、心理学的な視点からの対処法などを紹介します。

9歳の壁について知りたい

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「9歳の壁」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。これは子供の発達段階を表す言葉で、小学校3~4年生の子供たちが直面する問題、立ちはだかる「壁」のことをいいます。

小学校3年生というと、算数が小数点や分数、理科では電気など目には見えないもの、つまり「抽象的なもの」を学習するようになります。低学年の時は、算数では目に見えるものを足す、理科では生き物の観察など視覚的に理解を促す内容が主ですので、急に難易度が上がるのです。

また、抽象的な概念に理解が深まると想像力も発達するので、恐怖感や不安抱きやすくなり、精神的に不安定になります。自分のことを客観視できるようになるため、友達と自分を比較してしまうことも多くなるでしょう。

このような理由から、小学校3~4年生の子供たちは「9歳の壁」にぶち当たってしまうのです。

聴覚障害教育では早くから注目

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もともと「9歳の壁」というのは聴覚障害教育で使用されている言葉でした。聴覚障害教育では4年生以降勉強が進まない現象があり、脳には異常がないはずなのに耳が聞こえないというだけでなぜそのような現象が起こるのかという点が問題となっていたのです。

この現象の原因は、手話は日本語とは違う言語であり、聴覚障害児が日本語そのものを耳で聞くことができないため教科書などの文章に対する理解が不十分であること、またそのことで抽象的な分野の勉強についていけないことではないかと言われています。

近年、健常者である子供たちの中でも聴覚障害者の「9歳の壁」と同様に、抽象的な分野の学習が始まるととたんに学習の遅れが目立つ子供がいることがわかってきたのです。

9歳の壁の特徴

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「9歳の壁」の概念を紹介しましたが、具体的にどのような問題が子供たちに起こるのか親としては気になるところでしょう。齢9歳の少年少女が、おそらく人生で初めてぶつかるのがこの「9歳の壁」です。できるだけ早く問題に気が付いてあげたいと思うのが親心というものです。

問題の早期発見には「9歳の壁」の特徴を知っておく必要があります。ここからはその特徴と、気が付くべきポイントを紹介します。ただの反抗期と見分けがつかないものもありますのが、複数当てはまるようであれば乗り越え中ればならない壁に直面しているのかもしれません。

急に勉強についていけなくなる

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算数で説明するならば、低学年は「リンゴが1個あって、それにリンゴを2個足したらリンゴは何個になるでしょう」という問題であったのに対して、3年生以降は「リンゴが50.6gあって、それに100.8gのリンゴを足したらなんgになるでしょう」、5年生に至っては「50.6gのリンゴがあって、その0.6倍のリンゴがあります。それはなんgのリンゴでしょう」という複雑で抽象的な問題になっていきます。

低学年の時には特に問題なく勉強についていけていたのに、3年生に上がったとたん授業内容が理解できないことが増えた、テストの点数が劇的に下がったということがあれば「9歳の壁」にぶつかっている可能性が高いでしょう。

劣等感を抱く

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9歳くらいになると、自分を客観的に見ることができるようになります。自分は人より足が速い、背が高いなど、人と比較することも増えてくるでしょう。自分の存在が大切であると感じる「自己肯定感」が育まれるのもこの時期だといわれています。

一方、発達速度は個人差が大きく、学習面や身体面で人より劣っていると感じることも多くなります。特にあからさまに勉強についていけていない場合などは、強い劣等感を抱くこともあるでしょう。低学年の時は対等だったお友達との差が開いてしまうと、思いつめてしまうこともあるかもしれません。

感情のコントロールができない

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発達過程からすると9歳は、相手の感情を察したり自分の気持ちを言葉や態度で人に伝えることができるようになる年齢です。しかしまだその行動は始まったばかりで未熟であり、大人のように上手にできるわけではありません。

自分を客観視できるようになると自分の感情を制御できるようになるわけですが、「9歳の壁」に直面しているときは自己肯定感が低い状態にありますので、理不尽なことやわがままを思い切りぶつけてくることもあるでしょう。親から見ると、感情のコントロールができていないように見えることもしばしばあります。

周りを見すぎる

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自分を客観的に見て劣等感を感じていた場合、まわりの評価を過剰に気にしてしまう状態に陥ることがあります。先生が自分を嫌っているのではないか、友達は自分を馬鹿にしているのではないかと疑心暗鬼になってしまうのです。

また相手の感情を読み取る際に、深読みしすぎたり反応を気にしすぎたりして消極的な態度になることもあります。これらはすべて周りを見すぎているために起こっていることです。子供が周囲に気を使いすぎていると感じた時は、注意して様子を見てあげて方がいいでしょう。

親と距離を置く

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小学校低学年のうちは、親がいないと不安がったり、好んで親と触れ合ったりしますが、9歳くらいになると親からは距離を取り始めるのが正常な発達です。

距離を取り始めるのと同時期にいわゆる「反抗期」が始まりますので、自分と友達との関係に関わってほしくない、知られたくないという感情も芽生えます。親の目の届かないところで、友達と独自のルールを作る、特定の友達と遊ぶなど閉鎖性が高まるのもこの時期です。反抗期とはいえ、ある程度の友達関係は把握しておくと良いでしょう。

子供っぽい一面もまだまだ残る

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親に干渉されるのを嫌がり、親よりも友達を優先するようになっているとはいえ、親を必要としていないわけではありません。時には甘えてきたり、同じ空間にいたがることもあるでしょう。

自分で解決することができないような悩みや劣等感を、相談するまでは至らなくとも親のそばにいることで解消しようとするのです。普段反抗的であるとはいえまだ9歳ですので、子供らしい一面もまだまだ残っています。「9歳の壁」にぶつかっていないかこちらから様子を伺えるタイミングともいえるでしょう。

9歳の壁は発達障害の可能性がある

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