2019年7月12日 更新

9歳の壁とは?心理学でも注目される9歳の壁の特徴や乗り越え方

「9歳の壁」という言葉を知っていますか?もとは聴覚障害教育で使用している言葉ですが、現在は健常の子供の発達にも使用されています。「9歳の壁」に直面しているお子さんをお持ちのあなたに、発達障害との見分け方、心理学的な視点からの対処法などを紹介します。

「9歳の壁」は程度の差はあってもほぼすべての子供に起こり得る事象です。誰もが通る道と言っても良いでしょう。そして最終的には、ほとんどの子供はその壁を時間をかけながらも乗り越えていきます。

しかし中にはいくらサポートしても周囲との差が広がるばかりで、なかなか壁を乗り越えられない子がいます。その場合は安易な対処をせずに、特別なサポートをする必要があるかもしれません。「9歳の壁」に直面して初めて、発達障害が見つかることもあります。

授業内容についていけない

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抽象的な内容を含む学習が始まると、今まで学習面に問題がなかった子供でもつまづく場面が見られようになります。これは教師や親のサポートで乗り越えられることが多いでしょう。

しかしサポートがあっても、他の子どもが理解できている授業が全く理解できない、何度も説明して本人も真剣に聞いているのに何がわからないのかわからない、といった状態が長く続くようであれば、発達障害の可能性も視野に入れる必要があるかもしれません。

壁にぶつかったときに乗り越えられない

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「9歳の壁」じゃ学習面だけの問題ではありません。先述した通り、精神面の発達により劣等感を抱きやすかったり、親との距離感が変わったりと心の問題が起こります。この自分中心の世界から抜け出して、他人との関係の変化にだんだん適応できるようになっていくのです。

この人間関係の変化に適応できず、不安定な精神状況が長期間続いて改善する様子がない場合は少し注意した方が良いでしょう。発達障害の中には人と上手に関わることのできない障害もあります。子供の精神状態が落ち着かないのは「9歳の壁」が原因なのか、それ以外の原因があるかの見極めが大切です。

9歳の壁は心理学でも注目

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心理学はさまざまなジャンルに分かれていますが、その中で人間が年を重ねていくとともに現れる変化を研究する心理学を発達心理学と言います。

発達心理学の分野においても、幼児期を離れ著しい発達を遂げる「9歳の壁」は注目されています。9歳の子供の特徴として、「ギャングエイジ」という表現がよく使われるのですが、聞いたことはあるでしょうか。

ここでは発達心理学から見た「ギャングエイジ」について解説します。

ギャングエイジ

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「ギャング」とは、チームやユニット、仲間を意味する言葉です。9~10歳にかけて子供は親や家族よりも、友達を優先するようになります。その時々で遊ぶ相手を変えるのではなく、ある程度固定された仲間で友人関係を作り、友達同士で作ったルールに従って行動します。

これは発達段階としてとても重要で、友達との信頼関係や絆を結ぶ大切な時期です。大人になってからの社会生活にも大きく影響します。

ただ反抗期と同時期に起こるので、子供同士の閉鎖的な関係性は大人の目が届きにくいという一面もあります。子供の状況が全く分からないのも心配ですし、過干渉になるのも問題があるので、親の対応が難しい時期と言えるでしょう。

9歳の壁を目の当たりにした親の心理

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ここまで「9歳の壁」に直面したときの子供の心理状態や、発達の変化を紹介してきました。ではそんな子供の様子を見た親はどんな気持ちになるのでしょうか。

親はいつでも子供のことを心配しています。幼児期は集団活動をしていても、幼稚園の先生や保育士さんから情報を提供してもらえるし、家ではほとんどの時間を一緒に過ごしていますので、それほど干渉しなくても子供の状態を把握することができます。

しかし小学生にもなると、学校の様子は細かくは入ってきませんし、子供も積極的に親に関わってきたり相談してくることも減ってくるでしょう。そんな子供を目の当たりにしたときの親の心理を紹介します。

不安

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幼児期や低学年の頃は特に問題がなく、育てやすいと感じていた我が子が精神的に不安定になったり、勉強の理解力が落ちているように感じると親は不安になります。

これまでの育て方に問題があったのではないか、自分のせいで子供はこの状態になってしまったのではないかと思い詰める人もいるでしょう。まして反抗期でもありますので、子供の気持ちが把握できずない、友達との関係性がわからないなど、不安を解消するきっかけすらつかめないこともあります。

対処法が分からない

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「9歳の壁」に直面している子供を見て何とかしてあげたい、と思っても具体的に何をしてあげれば解決するのか対処法がわからないと戸惑う親は多いでしょう。

まず学習面は、暗記が得意だった子は特につまづきやすいのでこれまでの勉強法が通用しなくなり、本人も何が悪いのかわからない状態になります。親にも何がわからないのか説明できないこともありますので、対処法を見つけるのに苦労します。

そしてどの親も反抗期の対応は手探りの状態ですので、友達同士のことに首を突っ込んでいいのかどうか、何で悩んでいるのか聞いていいのかなど、精神面の対応にも苦慮するのです。

悲しい

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今までは突き放しても、怒ってもすぐにくっついてきていた子供が「9歳の壁」にぶつかったくらいから寄り付かなくなります。休みの日も友達を優先するようになり、家族と過ごす時間は一気に減ることでしょう。

親の感覚としてはまだまだ小さいと思っていてもおかしくない年齢ですから、急に親から離れていくことに対して悲しい気持ちになってしまいます。口答えなども増えますので、反抗期とわかってはいてもなかなか受け入れられない親もいるのです。

自分の子供だけ違うのではないか

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勉強についていけない時期を迎えると、「よそのお子さんはちゃんとできているのにうちの子はできていない」と思ったり反抗的な態度に「他の子と違う」と感じることがあるかもしれません。

隣の芝生は青く見えますので、同級生の子供たちはきちんと勉強もできて、親ともうまくやっているように見えることもあるでしょう。ただ、よその子たちも自分の家では反抗期を迎えて親に今までとは違う態度をとったり、勉強でつまづいたりしているのです。

9歳の壁の乗り越え方

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