2019年7月12日 更新

9歳の壁とは?心理学でも注目される9歳の壁の特徴や乗り越え方

「9歳の壁」という言葉を知っていますか?もとは聴覚障害教育で使用している言葉ですが、現在は健常の子供の発達にも使用されています。「9歳の壁」に直面しているお子さんをお持ちのあなたに、発達障害との見分け方、心理学的な視点からの対処法などを紹介します。

9歳の子供たちがどのような「壁」につまづき、どんな問題を抱えているのかを紹介してきました。これは正常な発達過程ですので、つまづくこと自体は悪いことではありません。ただ現代の子供たちは暗記やスピードに重きを置いた反復学習法や、指示に従う形でのコミュニケーションが多くなった影響で「考える力」が育っていないと言われています。

「考える力」が育っていない子供たちは、「9歳の壁」を乗り越えることが難しく、勉強に関しても抽象的な問題に対して考えるということができないのです。

ではどうすれば「9歳の壁」をスムーズに乗り越えることができるのでしょうか。親の接し方の面から考えてみましょう。

成長と思ってポジティブに考える

 (474649)

「9歳の壁」に直面してもがいている様子を目の当たりにすると、親としてはどうしても可哀想になったり戸惑ったりしてしまいます。また反抗されると今までうまくいっていた親子関係が崩れてしまうようで、ネガティブな気持ちになってしまいがちです。

しかし何度も言うように「9歳の壁」は発達過程の一つに過ぎず、大人になるためには必要な成長の段階なのです。決してこのつまづきで人生が大転換してしまうわけではありません。むしろ将来社会に出ていくために得るものがたくさんある時期だと考えましょう。

親が「9歳の壁」をどうとらえているのか、自分のことが手に余っているいるのかどうかは、例え直接悩みなどの相談をしなくても子供には伝わります。子供が落ち込みすぎないように、親もポジティブにとらえましょう。

しっかりと愛情を注ぐ

 (474685)

例え反抗的な態度を取り、友達を優先していても、子供の親に甘えたい気持ちや頼りたい気持ちがなくん待ったわけではありません。むしろ壁にぶつかってつまづいている真っただ中のときは、幼少期よりもその気持ちが強くなっていることでしょう。

頭にくる言い方や態度をされて叱ったとしても、子供に対して愛情があることをきちんと伝えておくことが大切です。反抗期の子供を突き放しすぎると、いざ自分だけでは乗り越えられない問題に直面したとき子供は親に相談できなくなります。

子供が甘えたい、頼りたいと思った時に、全力で親に甘えてこられるように日頃からしっかり愛情を注いでおくと良いでしょう。

話を同じ目線で聞いてあげる

 (474719)

子供が何かを相談してきたときに、上から目線で解決策を与えたり、子供の短所を挙げ連ねて叱ったりすることはやめましょう。そもそも「9歳の壁」を乗り越えられない子供は「考える力」が弱いために、つまづきが長期化していしまっているのです。親が乗り越えさせようと「与えて」しまうと、考える力」を身に付けるチャンスを逃してしまいます。

子供の話をよく聞いて、どう考えているのか、どうしたいと思っているのかをうまく引き出しましょう。同じ目線で会話をし、なるべくたくさん話してもらい、子供のことを理解してください。その上で、子供が気が付いていない視点を教えるなどして、解決策を一緒に導き出すのが最適です。

具体性を持った教え方をする

 (474746)

9歳はそれ以前に比べて抽象的なことを理解する能力が身についてはいますが、大人に比べるとまだその理解力は未熟です。なにか質問をされたとき、叱らなければならないときは、なるべく具体的な言葉で教えてあげましょう。

「しっかりしなさい」「頑張って」「優しくするのよ」などは日常的に使いがちな言葉で、大人にとっては理解が及ぶ表現ですが、子供にとってはかなり抽象的な表現になります。より具体的に「問題を前から順番に読んで、わからないところに線をひきなさい」「失敗してもできるようになるまで繰り返せばいいのよ」など、子供にも理解しやすい表現を心がけましょう。

経験を増やす(※遊びなどの体験を入れる)

 (474857)

「9歳の壁」の時期は自己肯定感、つまり「自分は大切な存在である」という感覚が養われる時期です。しかし一方で自分を客観的に評価し、他人と比較して劣等感を持つ不安定な時期でもあります。

親としては自己肯定感をより高めるためのサポートをしてあげたいものです。そのためにはさまざまな経験を通して、自分に自信をつけさせてあげましょう。特に自然体験が多い子供は自己肯定感が強くなるといわれていますので、家族でキャンプや野外でのアクティビティなどを積極的に経験するのがおすすめです。

応援してあげる

 (474932)

「9歳の壁」を親の努力だけで突破することはできません。あくまで子供本人が努力し、乗り越えていかなければならないものです。

しかし9歳は、自分一人で頑張るということがまだ難しい年齢です。親が応援して、子供の長所を褒めることで自尊心を強く持てるようにしてあげましょう。親が子供のケアをすることで、努力を継続することができます。直接手助けをすることができないからこそ、親はできる限り子供のが力を発揮できるように応援しましょう。

一緒に努力する

 (474976)

子供が苦しい時期は、親も苦しい時期です。先述した通り、壁を突破しなければならないのは子供であって親にできることは限られています。ただ一人で苦しんでいるよりも、親も苦しんでいるとわかった方が子供も心細くないでしょう。

勉強に関していえば、「遅れているんだから勉強しなさい」「授業についていけなくなるよ」と声掛けするのではなく、隣に座ってどの部分がわからないのか聞いてあげると良いです。わからない部分は、子供が理解できるまで時間をかけて説明してあげてください。親が自分のために頑張っているとわかれば、子供もなんとか頑張ろうと努力するでしょう。

人のアドバイスも参考にする

 (475012)

「9歳の壁」に直面している真っただ中のときは、子供も親も悩んだり苦しんだりを繰り返しています。なかなか壁を突破できず、期間が長くなればなるほど気持ちは沈み、殻に閉じこもりがちになってしまうでしょう。

そんな時は閉鎖的にならず、誰かに相談してアドバイスをもらうのも一つの手です。もちろん専門家であるカウンセラーや、学校の先生などに相談するのも良いですが、少し上の年齢の子供を持つ先輩ママに「9歳の壁」の時期はどうしていたかを聞くのも参考になります。

親子だけで問題を解決しようとすると、考え方が偏ったり、間違っている方向に進んでも修正するチャンスを逃したりします。なるべく客観的な視点を忘れないように、人のアドバイスを参考にしながら乗り越えていきましょう。

9歳の壁を恐れずにしっかりサポートしよう

 (475015)

「9歳の壁」は急に勉強ができなくなったように見えたり、子供が離れていくように感じたりと一見不安になる出来事ばかりが起こります。それまでの子育てが順調であった人ほど、その不安は大きいことと思います。子供も自分のことが自分で制御できず、ストレスを溜めてしまうこともあるでしょう。

しかし「9歳の壁」は適切に対処すれば恐ろしいものではありません。勉強の面が特に目立って見えるかもしれませんが、大切なのはこの時期に親子の信頼関係を崩さずに、健全な心を育むことです。子供が安心してスクスクと成長できるよう、しっかりサポートしていきましょう。

3 / 3

関連する記事 こんな記事も人気です♪