2019年11月6日 更新

祟り神の祟りは本当にある?日本の祟り神一覧と祟り神になった理由

もののけ姫に登場した「祟り神」は、日本に実在する神であることをご存知でしょうか。日本には、祟り神と呼ばれる荒れ狂った神はもちろん、人々や土地に力を貸す神々も多数存在します。この記事では、神の種類や祟り神の正体、それらを祀る神社など一覧でご紹介していきましょう。

菅原道真(すがわらのみちざね)は、平安時代の貴族であり学者、政治など多くの分野で能力を発揮した優秀な人物でした。高い能力をかわれ、第59代天皇である宇多天皇に仕え右大臣という地位まで上りつめます。ところが、優秀過ぎるがあまり、人々の嫉妬をかってしまうのです。

菅原道真の活躍を疎ましく思った左大臣藤原氏の陰謀により、立場を失い北九州へ左遷されました。菅原道真はいつか無実が証明されると信じ、天拝山(てんぱいざん)という山で国家の安泰を願い続けます。しかし、最後まで無実が証明されることはありませんでした。

神々に祈っても無実が証明されない虚しさ、謀った者たちへの恨み、それらが積もり続けたある日、死んだ菅原道真が僧侶の枕元に現れます。自身を陥れた者たちへ復讐すること、そして寺へ助けを求めても決して応じないことなどです。菅原道真が表れてから数日後、京都では不可解な出来事が立て続けに起こります。
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菅原道真を陥れた者たちは、次々に死亡し、首謀者であった藤原時平は蛇の化身となった菅原道真の霊に襲われ続け、狂死します。菅原道真の怒りは収まらず、自身の声を聴かなかった天皇やその周辺人物たちも、次々に殺害していきました。

立て続けに多くの主要人物が死んでいく現状を目の当たりにした朝廷は、菅原道真に関する書類を焼き捨てようと試みます。書類を焼き払うための火は建物へ広がり、その場にいた僧侶や役人たちを次々と飲み込んでいきました。菅原道真の怒りや悲しみがどれほどだったのか想像できるでしょう。

吉備真備

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吉備真備(きびのまきび)も、菅原道真と似た人生を送ります。吉備真備は出生こそ優れていませんでしたが、学問や陰陽道、兵法など高い能力を持ち、それらをいかんなく発揮していました。優れた能力を持っていたものの、当時の最高権力者藤原仲麻呂と相性が悪く、地方へ左遷されます。

菅原道真と同じく、上司に恵まれず左遷され地位を奪われますが、あらぬ罪をきせられたわけではありません。吉備真備が祟り神として祀られている理由は、彼が陰陽道に精通していたからでしょう。不作法に扱えば、陰陽道によって祟りがもたらされると考えられた可能性もあります。

井上皇后

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天皇家やその周辺には、祟り神が多発したと考えられていました。なぜなら、陰謀や権力争い、足の引っ張り合いなど、人間の欲望の多くが渦巻く場所だったからです。近年の穏やかな皇室とは、異なった特徴を持っていたと言えるでしょう。井上皇后も、罪をきせられ家族共々地位を奪われました。

また、井上皇后の死因は毒殺だったのではないかとも言われています。地位を奪われたこと、殺害された恨みによって、井上皇后は祟り神になったと考えられました。実際に、井上皇后が死亡した直後から、日本中で天変地異が発生します。井上皇后の怒りを鎮めるため、奪われた地位が戻され、丁重に埋葬されました。

平将門の霊

Yoko MizutaはInstagramを利用しています:「面白い由緒。岐阜県 御首神社。ちょっと物騒なお名前ですが平将門の首が京から関東に飛んで行く所を射ち落とす。にちなんで首から上を守る神様で帽子が沢山祀られてました。社格は村社なのに訪れる人は後をたたず…。信仰息づく昔ながらの神社の良さですね😃一つ一つの出会いが新発見。  #岐阜県…」 (736803)

日本で最も有名な祟り神として知られている人物は、平将門(たいらのまさかど)です。学問の才能を発揮し、幼少期から神童と称され、大人になると朝廷を相手取り戦を繰り広げました。ところが、即位わずか数カ月で討伐され、打ち取られた首は、京都に晒されます。

この首が、現代でも大きな災いをもたらしていると言われているのです。ここからは、最強の祟り神として知られている平将門と首塚、祟りの全容についてご紹介していきましょう。

関東大震災での首塚の損壊

歴史好きマンはInstagramを利用しています:「平将門 ・ 千葉県出身で、今の佐倉市で生まれる。 関東一円を支配下におさめ、新皇を称した平安時代の人。 ・ 初めは地方領主として紛争の調停人として活躍。しかし、紛争が大規模化し、平将門の乱に発展した。 ・ 当時から今でも、怨霊伝説や首塚は有名。 ・ 演じた俳優は加藤剛 ・…」 (736806)

平将門は首を刎ねられ、その後首は平安京に持ち帰られました。京都で平将門の首が晒された3日後、突然首が光だし空高く舞い上がっていきます。伝承では、首は複数に分かれ、日本各地に落ちたということです。平将門の首が落ちたそれぞれの場所は、いずれも平将門の首塚として祀られています。

東京都千代田区にも、平将門の首塚が存在していました。しかし、東京大震災が発生した際、その首塚が破損してしまったのです。この破損によって、東京や首塚に近づいた者たちに様々な災いが起こりました。

将門の強い祟り

🇯🇵Kzhk FullyはInstagramを利用しています:「関東最強(最恐)の神様にご挨拶。 #平将門 #平将門首塚 #平将門の乱 #荒ぶる神は願い事も叶う #千代田区 #東京都 #パワースポット #守神 #帝都物語 #tairanomasakado #masakado #awe #dread #powerspot #chiyodaku…」 (736809)

例えば、その場に大蔵省仮庁舎を建てようとした時、工事関係者や立案者たちの不審死が立て続けに発生しました。他にもブルドーザーや重機がひっくり返り、こちらも死者を出しています。

さらに、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が駐車場を作ろうと試みましたが、こちらもトラブルが頻発し未遂に終わっているのです。こうした事件の発生によって、首塚は現在も丁重に扱われていますし、平将門の胴体を埋葬していると言われている胴塚も破壊されることなく静かに弔われ続けています。

将門のご利益

Takaji SekiはInstagramを利用しています:「30分近くかけて熱心に祈願するビジネスマンの姿を見た。#平将門 さんに会いに。#将門塚#千代田区#東京都」 (736815)

関東大震災で破損し、その後祟りが続いたため、日本政府は首塚の修復と慰霊祭を実施し、現在も大切に取り扱っています。平将門の首塚では、祟り事が多数語られていますが、それは同時に大きなご利益も示しているのです。祟り神は、大きな祟りをもたらす代わりに、それらと同等の富や利益ももたらすとされています。

平将門の利益として知られているのは、勝負運や仕事運の上昇です。正しい作法で詣り、誠心誠意祈れば、大きな利益を得られると言われています。しかし、平将門の首塚の祟りは、他祟り神と異なり名誉を傷つける全てのものが対象になると言われているのです。

つまり、平将門の首塚で1つでも間違いを犯したり、不作法な振る舞いを行うと、否応なく祟られる可能性があるため、注意しておきましょう。

祟り神の怨霊を鎮める御霊神社

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祟り神は、祀り方を間違えたり粗末に扱った場合、大きな災いをもたらすと考えられてきました。そのため、天皇や政府、朝廷など権力を持った人々は、祟り神の怒りを鎮めるために、あらゆる方法を試します。はく奪した地位を、死後に戻したり、専用の弔い場所を作るのも、祟り神の怒りを鎮めるためです。

祟り神や悲惨な死をとげた人々の魂を鎮める場所として作られたのが、御霊神社と呼ばれる神社となります。有名な神社は、京都市にある上御霊神社や下御霊神社などです。

全国の御霊神社

Japan Aso Shrine - Free photo on Pixabay (736833)

悲しみを背負いこの世に未練を残した魂、人に恨みを持った魂などを鎮め、祟り神の祀り場所として設立された御霊神社。御霊神社は、日本各地に大小さまざま存在しています。

つまり、それだけ無念の死をとげた人が多かったこと、そして自然災害や病気がそれらの祟りに関連していると強く信じられていたという事なのです。ここからは、日本全国に存在する御霊神社を、地域別にご紹介していきます。どういった存在を祀っているのか、訪問する際の注意点など、詳しくご紹介していきましょう。

関東地方

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御霊神社は、関東地方の神奈川県に集中しています。東京都新宿区には、天皇を祀った御霊神社も存在していますが、それ以外は川崎市や藤沢市など、神奈川県が中心です。祀っている存在は、祟り神だけではありません。その場の土地神や、関東平氏五家の祖先を祀っているものもあります。

五家を祀っていることから、御霊という呼び方になったとも言われているのです。祀っている存在によって、ご利益もさまざまですが、眼病や学業などがあります。

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