夜鷹の意味とは？夜鷹や花魁などの江戸時代の遊女たちの実情

夜鷹の意味とは

“夜鷹”とは本来鳥の種類の事を意味します。では何故、私娼のひとつを“夜鷹”と呼ぶのか気になる方は少なくないでしょう。それには諸説ありますが、共通して「鳥の夜鷹の生態と私娼の夜鷹の様子が似ている」という理由がありました。

又、そこから私娼の夜鷹を取って夜の蕎麦売りのことを『夜鷹そば』とも呼ばれるようになりました。まずは、そんな“夜鷹”について、意味や由来と共に『夜鷹そば』についても詳しくご紹介していきます。

千と千尋の神隠しに登場する湯女の意味は？江戸時代に栄えた湯女を解説 - POUCHS

大ヒットを記録したスタジオジブリ作品である「千と千尋の神隠し」。宮崎駿監督が『日本は全て風俗産業の様な社会』とも語っているこの作品には、それを象徴とするキャラクターとして“湯女”が登場します。この記事では、そんな“湯女”について意味や歴史と共にご紹介します。

夜鷹の意味

via pixabay.com

“夜鷹”とは、江戸に居た私娼の事を言います。夜になるとゴザを抱え街頭に立ち、客を取って樹木の影や川端に積まれた材木の影など、野外で隠れて色を売っていました。

“夜鷹”の多くは夜鷹屋と呼ばれる店に登録をし、着物や小道具などをレンタルしていました。江戸の中期には多くて4000人近くもの“夜鷹”が存在していたそうです。年齢も様々で15〜40歳が多く、中には70代の“夜鷹”も居たとか。

最も人気を誇ったのが「一年お春(ひととせおしゅん)」と呼ばれる“夜鷹”で、一晩で360人もの男性客を相手にしたと言われております。一晩を12時間で考えても一人当たり2分程度で済ませていたと考えられます。

夜鷹の由来

via pixabay.com

“夜鷹”の由来には諸説あり、「夜に活動する夜鷹(鳥)の習性に転じて、夜に営業をする彼女たちの様子から“夜鷹”と呼ぶようになった」又は「客引きに『ちょっちょっ』と言って呼び止める声が夜鷹(鳥)の鳴き声と似ているから」だと言われています。

いずれにせよ、鳥の夜鷹から由来していると考えて良いでしょう。由来となった夜鷹の生態は、夜行性で「キョキョキョッキョキョキョ」と単調な鳴き声を上げるそうです。こうして比較してみると確かにどこか“夜鷹”と似通っていますね。

夜鷹そばとは

via pixabay.com

“夜鷹”の名前に関連したものと言えば、『夜鷹そば』というのはご存知でしょうか。夜になると江戸の街頭で蕎麦を売り歩く蕎麦屋さんのことを言います。又、『夜鳴(泣)きそば』とも呼ばれていました。

この『夜鷹そば』にも由来が諸説あり「“夜鷹”が好んでよく食べていたから」又は「最下等の“夜鷹”でも買うことが出来る値段であったから」などがあります。

こちらは夜鷹(鳥)では無く、私娼の方の“夜鷹”から由来していることが分かりますね。

江戸時代における夜鷹とは

via pixabay.com

江戸時代において“夜鷹”は最下等の私娼でした。しかし、それでも“夜鷹”として色を売る女性が多かったのには、当時の社会背景における、男尊女卑や貧困などが関係していることが分かります。

次は、最下等にも関わらず“夜鷹”という私娼が存在していたのは何故か？江戸中期には何故4000人もの“夜鷹”が存在していたのか？などについて、当時の江戸を取り巻いていた歴史・社会的背景を踏まえつつ詳しく解説をしていきましょう。

男尊女卑の考えが根付いていた

via pixabay.com

江戸時代は幕府が日本を統治していた為、武士が大きな力を持っていました。又、肉体的な力があることが偉い時代であった事や男性の人口が多かった為、男性中心の社会形勢となり当時は現代と比べて遥かに男尊女卑非常に強い世の中でした。

そして当時は専業主婦という概念が無く共働きが当たり前でしたが、そういった男性中心の社会的背景も重なり職業のバラエティは豊富であれど、江戸を生きる一般女性にとって出来る仕事というのは非常に限られていました。

江戸には深刻な貧困に苦しむ人も多かった

via pixabay.com

現代では貧困する地域では売春が盛んに行われるというのは世界共通の問題となっていますが、これは今も昔も変わらない事実で勿論それは当時の江戸でも同じ事でした。

江戸時代は貧富の差が少なかったとも言われていますが、江戸には深刻な貧困に苦しむ人が多く居たのも事実です。江戸中期には大飢饉や貧富の差が拡大し、同じく江戸中期に“夜鷹”は4000人近くも居たと言われていることから貧困の末に色を売る女性が多かったと考えられます。

商売で成功して大金持ちになる商人もいた

via pixabay.com

しかし、貧富の差が拡大ということですから貧困に苦しむ人も居れば、反対に商売で成功し大金持ちになる商人も居ました。又、その中でも特に稼いだ商人は「豪商」と呼ばれています。

「豪商」と聞くと日本史の授業や江戸時代の文化を取り上げた番組などで耳にした方も多いのでないでしょうか。「三井」や「住友」、「高島屋」など今尚名高い財閥・老舗企業は独自の商いスタイルで商売に特化したことで江戸時代より花開いてきた企業でもあります。

どんなことをしていた？夜鷹の実態

via pixabay.com

“夜鷹”が多い理由について、江戸時代の社会的な背景と共に解説しました。では“夜鷹”って一体1人の客に対して幾ら貰っていたの？どんなお客さんを相手にどういった事をしていたの？“夜鷹”は江戸にしか居なかったの？と興味を持たれた方も居るかもしれません。

そこで、“夜鷹”の居た地域を始め、他地域での呼び名、1回の料金や相手をする時の状況など。次は、そんな“夜鷹”の実態について詳しく解説していきましょう。

夜鷹がいた地域

via pixabay.com

1 / 5

夜鷹の意味とは？夜鷹や花魁などの江戸時代の遊女たちの実情

目次