2019年4月4日 更新

フランスは黒人の割合が多い?差別の歴史とサッカーフランス代表の実情

2018年のサッカーワールドカップで優勝したフランス代表に黒人選手が多かったことが話題を集めました。確かにフランスは移民国家という印象が強いですが、実際に黒人の割合が多いのでしょうか?今回はフランスにおける黒人を含む移民の実態や差別の歴史について解説します。

目次

イアルバン・ヌガペト(バレー選手)

Volleyball Player Hitting - Free vector graphic on Pixabay (145187)

バレーボールフランス代表のイアルバン・ヌガペト選手は、カメルーンにルーツを持っています。父親がカメルーン出身で息子と同じく、フランス代表のバレーボール選手でした。

身長194cmと世界的に見て決して高い方ではありませんが、スパイクの最高到達点は358cmと高く、強烈なスパイクを放ちます。ワールドリーグでMVPを4回獲得しており、名実共にフランスを代表するバレーボール選手です。

私生活では問題行動が多く、乱闘騒ぎを起こすなど、良くも悪くもメディアに話題を提供しています。

フランスの黒人差別

People Three Portrait - Free photo on Pixabay (145190)

多くの黒人スポーツ選手が活躍しているフランスですが、黒人差別がなくなったわけではありません。現在も差別が根強く残っています。

フランスにおける黒人差別の実態を見ていきましょう。

黒人が水泳選手にいないわけ

Water Swimming Pool Bathing - Free photo on Pixabay (145192)

黒人の水泳選手が少ないと感じている人は、フランスに限らず多いでしょう。統計があるわけではないので、正確なところは分かりませんが、確かにそのような印象があります。

黒人の水泳選手がいない理由としてよく挙げられるのが、体の構造の違いです。黒人は筋肉質で水に浮かないためと言われています。ただし、科学的な根拠があるわけではないので、注意が必要です。
Head Swimming Man - Free photo on Pixabay (145198)

体の構造ではなく、経済的な理由が大きいという意見もあります。水泳を続けるにはある程度の経済的な余裕が必要ですが、黒人の多くは低所得であるため、水泳が続けられないという理由です。しかし、この理由も確かな根拠あるわけではありません。

黒人の水泳選手が全くいないわけではないので、今後優秀な黒人水泳選手が出てくることに期待しましょう。

黒人労働者にたいする差別

Axe Wood Hack - Free photo on Pixabay (145200)

黒人やその他の移民は、経済成長の時代から低賃金で働かされており、それは現在も変わっていません。ある調査によると、フランスで労働者を採用する際に学歴や職歴などの一般的な判断材料だけでなく、人種が判断材料にされていることが分かっています。

調査によると、労働者の採用では白人が優遇されるケースが圧倒的に多く、黒人が最も差別されているという結果が出ています。黒人だけでなく、アラブ系も差別されることが多くあります。黒人労働者は結果的に低賃金労働に従事せざるをえず、フランス社会で大きな問題になっています。

国家技術局「クォーター制」

Olympic Stadium Sport - Free photo on Pixabay (145204)

2010年にフランスで行われた国家技術局のミーティングの内容が流出し、その内容が差別的だとして問題になったことがあります。このミーティングには当時のサッカーフランス代表監督を始め、サッカー関係者が多く出席していました。

ミーティングではフランスの選手育成制度について話し合われており、二重国籍を持つアフリカ系やアラブ系選手の育成を制限する「クォーター制」の導入が提案されたと言われています。

二重国籍を持つ選手が他国の国籍を選ぶ可能性を懸念していたということですが、フランス社会から強い非難を浴び、フランス代表監督が辞任を表明する事態となりました。

白人至上主義

Protest Demonstration Communism - Free vector graphic on Pixabay (145206)

白人至上主義とは、白人は他の人種よりもさまざまな面で優れているので、それを政策や社会制度にも反映させるべきだという人種差別的な思想のことです。ヨーロッパに古くからある考えですが、近年活発化しています。

フランスではジャン=マリー・ルペンが創設した右翼政党「国民連合(旧国民戦線)」による移民反対の主張が代表的です。現在は娘のマリーヌ・ル・ペンが党首を務めており、かつてほど過激な主張はしていませんが、移民政策に対しては以前として反対を貫いています。

近年ヨーロッパ全体で移民問題がクローズアップされており、各国で反移民を掲げる政党が支持を集めています。ヨーロッパ中で、黒人だけでなく、移民全体に対する批判が高まっています。

フランス語が話せるか

France Flag National - Free vector graphic on Pixabay (145209)

フランス人は自国語であるフランス語に誇りを持っている人が多いと言われています。フランス人は概して相手がフランス語を話せるかどうかを重視しており、国内で満足にフランス語を話せないと相手にされず、生活する上でさまざまな苦労を強いられます。

フランス語は国連で英語と共に公用語として採用されており、旧フランス植民地では、今でもフランスが公用語であるという国も珍しくありません。フランス人が自国語に誇りを持つ理由も分からなくはありませんが、その意識が結果的に差別につながってしまっています。

黒人だけじゃない!フランスの差別事件

African Descent Afro Asian - Free photo on Pixabay (145285)

フランスにおける差別は黒人だけが対象ではありません。黒人以外の移民やアジア人、ムスリムに対する差別も報告されています。

フランスで実際にあった差別事件からフランスにおける差別の実態を探っていきましょう。

GACKTの実体験!フランスで露骨なアジア人差別

Umbrella Asia Myanmar - Free photo on Pixabay (145214)

日本の人気ミュージシャン、GACKTが2015年にフランスで露骨なアジア人差別にあったことを明かし、大きな話題となりまました。本人が語ったところによると、フランスの空港近くのビュッフェで入り口の席に座ろうとしたところ、店員から奥の席に移動するように指示されました。

最初は特に疑問に思わず指示に従いましたが、よく観察してみると白人の客は入り口の席に座っても何も言われていないのに対し、アジア系の客は奥の席に案内されていたことに気付き、自分が差別されていたと気付いたとのことです。

このようなアジア人差別は一般的な観光客からもしばしば報告されています。全ての人がそのような差別をするわけではありませんが、一部でアジア人に対する差別があることも事実です。

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