2019年9月9日 更新

体に人の顔のある人面瘡は実在する?妖怪人面瘡の伝説についても

「人面瘡」という言葉をご存知でしょうか?体に人間の顔のような瘡ができ、突然喋り出したり、食べたり飲んだりすると言われています。ブラックジャックにも取り上げられている「人面瘡」は、妖怪や怨念、架空の病気と言われていますが本当に実在するのでしょうか?

奇談集と言われる奇妙な話をあつめた「絵本百物語」にも「人面瘡」について書かれています。「百物語」と銘打ってあるように、江戸時代に流行した百物語怪談本の一種です。

その話ごとに物語の題名ではなく妖怪の名称を掲げた上に妖怪の挿絵をつけており、怪談集と画集とを融合させた作品なので、現代から見てもおどろおどろしい感じが伝わってきます。

人面瘡の登場も挿絵とともに登場し、江戸に住むある男が父と口論になり、父を追いかけて転んで膝を怪我し、その傷が人面瘡になったという話が記載されています。

「諸国百物語」

Narrative History Dream - Free image on Pixabay (612413)

「諸国百物語」は、延宝時代の怪談集です。こちらの文献も人間の業による人面瘡の話として書かれているようです。話の内容は、平六左衛門という男の父が下女に手をだし、妻は嫉妬のあまり下女を殺害してしまいます。

下女が殺された後、父の右肩にできものができ妻が急死してしまいます。さらに左肩にもできものができると、左右のできものがしつこく話しかけ、無視すると死ぬほど呼吸に苦しみました。そんなとき事情を聞いた旅の僧が、父の両肩のできものにお経を唱え供養すると、できものはなくなっていったのです。

この話の右肩のできものは殺された下女、左肩は妻の怨念ではないでしょうか?

平田銕胤の日記

Writing Write Person - Free photo on Pixabay (612418)

平田銕胤の日記にも「人面瘡」の事が書かれていました。文政11年、平田篤胤の婿養子平田銕胤の日記には、上総国で聞かされた「腫れ物の口に食い物を与えると痛みが収まる」奇怪な人面瘡を持った男の話が記されています。

聞いた話を日記に記しているのですから、「人面瘡」話によほどインパクトがあったのでしょう。昔の人は現代の人よりも霊や妖怪を信じていたと言います。今の時代では信じていない人も多いかもしれませんが、文政11年に聞いた話であればとても恐ろしく感じたのでしょう。

明治時代には新聞記事で報じられる

Old Newspaper Retro - Free photo on Pixabay (612420)

なんと明治時代にも「人面瘡」の話が新聞記事で報じられています。「人面瘡」の記事がでたのは、京都滋賀新報という京都新聞の前身のが明治15年8月25日に新聞にのせています。

その掲載された記事によると、三重県南牟婁郡で、ある農夫の股のあたりに人間の顔のような腫物ができたと書かれています。さらに驚く事に、口を開いて食べ物を求める様子だったので、試しに米を与えたというのです。すると、一升の米を平らげてしまったと記事になっています。

新聞の記事になってしまうという事は「人面瘡」は実在するという事なのでしょうか?

ブラックジャックにも人面瘡が登場【カルテ9】

Doctor Surgeon Operation - Free photo on Pixabay (614487)

「ブラックジャック」といえば手塚治先生の代表作で、その内容から学校の図書館にも置かれているので漫画を読んだことがあるという人も多いのではないでしょうか?

ブラックジャックは医者の免許はもっていないのですが、凄腕の天才外科医で神業ともいえるテクニックにより世界中に名を知られています。治療には違法な金額を提示したり、患者に対して冷たいことを言ったりしますが、心は優しく命を大切に思っている人なのです。

そんな人気漫画の「ブラックジャック」にも「人面瘡」を治療する話があります。「人面瘡」が取り上げられている話は「カルテ9」と「カルテ49」の二話です。それぞれどんな内容なのか解説していきます。

腹部の人面瘡

Belly Heart Love - Free photo on Pixabay (614489)

ブラックジャック”カルテ9”は、腹部にできた人面瘡の話です。人面瘡ができてしまった男性は、世界でも有数の財閥である都築グループ当主の座を、30代の若さで引き継いだ「都築耕一郎」という男性です。

腹部にできた腫瘍は、彼が幼い頃からありそれによって悩まされていました。腫瘍は誰が見ても人の顔のように見え気味が悪く、ブラックジャックも「人面瘡」と診断しています。

治療依頼を受けたブラックジャックは、助手のピノコと「人面瘡」を切り取る手術を行いました。しかし、すぐに再発し、人面瘡は醜悪なその顔でブラックジャックをにらみ返してくるのです。ブラックジャックはそれをみてなんとか完全に治療したいと思い、「人面瘡」の研究を開始するのです。

人面瘡の原因は心の傷?

Puzzle Heart Love Two - Free image on Pixabay (614490)

「都築耕一郎」という男性にできた「人面瘡」はしぶとく、ブラックジャックが完璧に手術をしても何度も再発しました。ブラックジャックは闇雲に治療をしても意味がないと考え、患者である「都築耕一郎」の話を聞くことにしました。

すると、耕一郎には悲劇的な過去があるということが判明しました。その悲劇的な過去が腫瘍の原因となっているのではないか、とブラックジャックは悟り、心の治療をする必要があるのではないかと気づくのです。

外科医学と心理学を駆使して治療

Brain Mind Psychology - Free image on Pixabay (614491)

ブラックジャックが睨んだ通り、耕一郎の「人面瘡」には悲劇的な過去が腫瘍の原因となっていたのです。これではいくら手術をして人面瘡を取り除いても、根本的な改善にはなりません。

そのためブラックジャックは心の治療をする必要があると考え、外科医学と心理学を駆使して治療をします。その治療の甲斐あって、見事に耕一郎の「人面瘡」は完治するのです。

ブラックジャックといえば、天才的な外科手術を行うことで毎回患者を救っているイメージですが、この「人面瘡」の話では心の治療も行っています。ブラックジャックの治療としては比較的珍しい話でしょう。

ブラックジャックにも人面瘡が登場【カルテ49】

Doctor Dentist Dental - Free photo on Pixabay (614493)

ブラックジャックでは”カルテ49”でも人面瘡についての話があります。先ほどの”カルテ9”とは違った展開になりますが「人面瘡」の話は、人の心にも病が感じられることが多いです。”カルテ49”の内容についてご紹介していきましょう。

顔にできた人面瘡

Fantasy Surreal Mask - Free photo on Pixabay (616580)

この話の始まりは、顔に包帯を巻いた男がブラックジャックの家へにやってきて治療の依頼をします。男が包帯を外すと、なんと顔に「人面瘡」ができています。

男は「人面瘡」を取って欲しいとブラックジャックに依頼しますが、この「人面瘡」は男の意思に関係なく勝手に喋り、突然男の表情と声が一変し、「手を出すな」とブラック・ジャックに命令するのです。すぐに表情も声も元に戻りますが、男は人面瘡が現れた時の事は覚えていないといいます。

ブラックジャックは治療をすることを約束し、早速治療に取り掛かります。

整形手術をするも…

Syringe Pill Capsule - Free image on Pixabay (616583)

2 / 4

関連する記事 こんな記事も人気です♪