2019年9月9日 更新

体に人の顔のある人面瘡は実在する?妖怪人面瘡の伝説についても

「人面瘡」という言葉をご存知でしょうか?体に人間の顔のような瘡ができ、突然喋り出したり、食べたり飲んだりすると言われています。ブラックジャックにも取り上げられている「人面瘡」は、妖怪や怨念、架空の病気と言われていますが本当に実在するのでしょうか?

男の顔の人面瘡を治療すべく、ブラック・ジャックは手塚医師に連絡をとります。ブラックジャックは男を解離性同一性障害、つまり二重人格ではないかと診断し、友人の手塚医師に手伝ってもらうことにしたのです。

この友人の手塚医師とは、手塚治虫本人です。手塚治虫は自分自身をキャラクター化してマンガの中に出すことが好きだったのでよく登場していました。

患者の顔を元に戻す手術を行うと、手塚医師とピノコは術後の男の顔を見たことがあるといいうのです。その後、治療を終えた男の包帯をとると、男の顔にはまた人面瘡が現れていたのです。

ピストルで処置

Colt Revolver Pistol Hand - Free image on Pixabay (616589)

男の人面瘡が治っていないことを確認すると、ブラックジャックは突然男に飛び掛ってパンチを喰らわせ、ピストルを突きつけます。ブラックジャックが引き金を引くと男は打たれたと思って気絶してしまいます。

ブラックジャックは病気の原因は精神的なものと判断していたため、ショック療法に切り替え、再び男の顔の整形手術を開始しました。ショック療法とはいえ、突然胸をさされて麻酔なしで施術されるなんて恐ろしいですね。その甲斐あってか手術から数日たっても男の顔に人面瘡が戻ることはなく、元の顔に治っていました。

ちなみにアニメではピストルではなく肺にメスを突き刺しています。どちらにせよ恐ろしいです。


物語の結末

Hopelessness Despair Not - Free photo on Pixabay (616590)

後日、男から治療代が用意できたと連絡があり、ブラックジャックは男の自宅へ行く事にしました。なぜか嫌な予感がしたピノコはこっそり車のトランクに隠れ、窓から中の様子を窺う事にしました。

そしてピノコは男をみて連続殺人鬼として新聞記事にのっていた顔だと気づきます。ブラックジャックにそれを伝えると男が襲いかかり、殺そうとします。ブラックジャックはなんとか逃げ、その途中男は崖から落ちて死んでしまいます。きっと男に天罰が下ったのでしょう。

人面瘡は実在する?

Halloween And Ghost - Free image on Pixabay (616592)

さてこれまで様々な文献などに取り上げられてきた「人面瘡」ですが、本当に傷口や腫瘍が人間のように喋ったり、ご飯を食べたりするのでしょうか?気になる「人面瘡」の実態に迫りましょう。

妖怪ではなくあくまでも腫物

Buddha India Spirit - Free photo on Pixabay (616596)

「人面瘡」は妖怪や奇病中の奇病などといわれていますが、あくまでも腫物の一種です。実際に実在する病気である、足などが象の皮膚のようになり巨大化する「象皮病」や腫瘍の腫物や傷が人の顔のようにみえることから、妖怪などと言われるようになりました。

また、その腫物が意志を持ってしゃべったり食べ物を食べたりするとされていますが、鼻や口のように見える患部の動きが呼吸しているように見てたのでしょう。つまり「人面瘡」と呼ばれるものは妖怪ではなく顔によく似た腫物ということです。

現代の象皮病を示している?!

Elephant Animal Africa - Free photo on Pixabay (616616)

「人面瘡」は体の一部に顔ができ、意志を持ってしゃべったりするものとされていますが、それは現代の「象皮病」を示しているのではないか?というのです。

「象皮病」とは、文字通り足が象の足のように大きく腫れる病気です。昔はその原因がわからなかったので、原因不明という恐怖から、腫れてくる足がまるで意識をもっているかのようにみえたり、人の顔に見えたのでしょう。

「人面瘡」は奇病中の奇病とされていますが、そういった人間の恐怖心から生まれた病気なのかもしれません。

象皮病の原因

Elephant Young Watering Hole - Free photo on Pixabay (616597)

では、「象皮病」の原因とは一体なんなのでしょうか?「象皮病」の原因は、”フェラリア”という寄生虫が病原体と言われています。これは蚊にさされると媒介されると言われていて、感染するとリンパ系フェラリア症を発症し、リンパ浮腫などを起こすと言われています。

リンパ浮腫を起こすとリンパ機能が低下し、やがて象皮病へと進行するのです。象皮病は痛みが強く、熱や悪寒があり、足が象のように大きく腫れる病気です。

蚊を媒体にしていることから、身近な病気のように感じますが、日本では根絶しているのでかかることはありません。しかし、熱帯や亜熱帯地方に海外旅行に行った際に蚊に刺されると、感染してしまう可能性があるので注意が必要です。

江戸時代に象皮病が蔓延していた

Samurai Silhouette Art Lone - Free photo on Pixabay (616600)

現在の日本ではすでに根絶している「象皮病」ですが、まだ日本が江戸時代の頃は全国的に象皮病が蔓延していました。江戸時代といえば、徳川家康ら徳川家が日本を統治していた時代です。

1603〜1868年と長く続いた江戸時代に「象皮病」が日本に蔓延していたことは、葛飾北斎の画に象皮病だと思われる人が描かれていることや十返舎一九の東海道中膝栗毛に象皮病の症状のことを詠んだ歌があることなどからわかります。

当時でも画や歌にするほどインパクトのある見た目だったのでしょう。

西郷隆盛も象皮病だった?!

Statue Equestrian Bronze - Free photo on Pixabay (616605)

幕末の維新の志士で有名な、あの西郷隆盛も象皮病を患っていたとされています。西郷隆盛といえば、肖像画や銅像でもお馴染みのあの体格のよさですが、身長も高く体重は120キロほどありかなりの巨体だったといいます。その肥満体がゆえ患ったとされる病も多かったようですが、その中でも西郷隆盛を苦しめていたのが象皮病だったというのです。

西郷隆盛は徳之島や沖永良部島へ島流しにあった際、原因となるフィラリア症に感染したようです。西郷隆盛は象皮病によって陰嚢が巨大化し、その大きさは赤ちゃんの頭ほどありました。これが原因で馬にも乗れず、駕籠で移動していたとの記録が残っています。

そのため西郷隆盛の銅像などは馬に乗っているものがないということがうなずけました。西南戦争で自害した首のない死体を西郷本人と特定させたのは、この巨大な陰嚢があったからです。西郷隆盛までもを苦しめた象皮病ですが、その後「ジエチルカルバマジン」という薬が登場し、治療が可能になりました。

カナダで話題!男の睾丸に人面瘡?!

Soap Bubble Frost Snow - Free photo on Pixabay (614277)

なんと、睾丸に人面瘡が現れたとして話題になった出来事があります。2009年のカナダで男性の患者が、睾丸に激痛を訴え病院に運び込まれました。

原因究明のため医師が患部の超音波検査を行ったところ、驚くことにモニターに映し出されたのは、患者のように悲痛な表情をした人の顔の映像だったのです。

最終的にその映像は偶然映し出されたものとされ腫瘍も良性、睾丸摘出手術も無事成功しました。睾丸そのものではなく超音波検査の映像でしたが、睾丸に人面瘡とはなんとも不気味な話です。

ラッキー人面瘡とは?

Luck Klee Lucky Clover - Free photo on Pixabay (614279)

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