2019年10月15日 更新

ゴイアニア被曝事故とは?発生した場所や犯人のその後についても

ブラジルのゴイアニアという場所で、1987年に被曝事故が発生しました。どこにでもあるごく普通の街で、その悲劇は起きてしまったのです。今回はゴイアニア被曝事故について、その詳しい経緯を時系列で紹介し、事故の原因や犯人たちのその後についても紹介します。

目次

ゴイアニア被曝事故が発生した場所「ブラジル国ゴイアニア」

Waterfall Water Waterfalls - Free photo on Pixabay (709328)

ゴイアニア被曝事故が起きたのは、南米のブラジルにあるゴイアニアという都市です。ここは1933年に農産物の集積地として建てられた計画都市であり、首都ブラジリアから南西に約210kmのところに位置しています。

今ではブラジルを代表する経済都市として発展しており、泉が多いことから「スプリングキャピタル」と呼ばれることも多いです。このような自然豊かで経済的にも発展している都市で悲劇は起こりました。

では、どのようにしてこの被曝事故が起きてしまったのでしょうか。

ゴイアニア被曝事故の経緯

Railway Landscape Transportation - Free photo on Pixabay (709329)

ゴイアニア被曝事故は原子力事故であり、その事故のレベルは国際原子力事象評価尺度(INES)によると、レベル5と判定されました。これはスリーマイル島原子力発電所事故と同じレベルであり、いかに悲惨な事故であったかが感じられるでしょう。

日本でも報道されましたが、事故の詳細を知らないと言う人も多いのではないでしょうか。まずはゴイアニア被曝事故について、時系列に沿って解説します。

A・Bが廃病院に侵入、線源容器がはめ込まれている回転遮蔽装置を盗難

Doctor Medical Medicine - Free photo on Pixabay (709330)

1987年9月10〜13日、このゴイアニア被曝事故は、若者AとBが廃病院で盗みを働いたことから始まります。この廃病院はかつて放射線治療が行われていたため、放射線を発生させる装置が多くありました。

しかし事故のきっかけとなった照射装置は、地元側と病院側で所有権を争っていたために放置されていたのです。そして、廃病院に高価なものが残されているという噂を聞きつけたAとBは、これが放射装置であることを知らないまま盗んでしまったのです。

線源は直径36.3mm、高さ47.5mmの円柱形をしており、それが大型の回転遮蔽装置に入れられているものです。遮蔽物の窓に線源が面した時のみ放射する仕組みになっていました。

Aの自宅に持ち帰る

Hacker Computer Spirit - Free image on Pixabay (709332)

若者AとBが廃病院からその放射装置を盗み出すことに成功したのち、Aの自宅へと持って帰りました。盗もうと病院に侵入してから実際に運び出すまでには3日間ほどかかっており、これは線源が入っていた大型の回転遮蔽装置があまりにも大きく、そのままでは2人で運び出すことはできなかったからです。

何とか解体し、重要な部分である照射体を含んだ持ち運べる大きさにすることに成功しました。この時、密閉容器がまだ破れていなかったため、廃病院内で放射線が漏れることはありませんでした。

13日2人に嘔吐の症状が見られる

Pumpkin Halloween Nausea - Free photo on Pixabay (709333)

持ち運びに成功した当日の13日、すでにAとBには嘔吐の症状が出始めていました。しかし2人はそれが放射装置から漏れ出した放射線とは一切思わず、ただの食あたりと考えて放置していました。

この時点で病院に行き、正しい処置が行われていれば、ただちに放射装置が回収され、この後に何百人もの罪なき人が被曝することはなかったでしょう。しかしそんなこと夢にも思っていなかったため、病院に行くという選択肢はありませんでした。

14日Bに多くの症状が見られる

Forest Trees Sky - Free photo on Pixabay (709337)

翌日の14日になると、Aには変わらず嘔吐の症状はありましたが悪化はしていませんでした。持ち帰ったAではなく、なぜかBのほうが重い症状がすぐに見られ始めました。

Bは嘔吐以外にも、めまい、下痢、左手の浮腫など多くの症状が見られ始めていました。左手のみに浮腫が見られてのは、作業をしている時に左手が放射線が漏れ出ている部分に近く、濃度の高い放射線を多く浴びたからだと見られています。

しかし、この時点でも運び出した物質が原因の体調不良とは考えず、ただの体調不良であると自己判断したのです。

15日Bが病院を受診する

Medic Hospital Laboratory - Free photo on Pixabay (709338)

体調不良の症状が出始めてから3日目、回復に向かうどころか症状は悪化するばかりでした。そのため、Bはここで病院を受診することに決めました。

しかし病院側もまさか被ばくしている患者であるとは思ってもいないため、現れた症状から食物アレルギーであるとの診断をしました。Bもその診断に納得し、帰路につきました。

この日は病院から帰った足で仕事場へ行き、体調不良を理由に軽い仕事のみにして帰宅しました。この日になってもAには嘔吐以外の特別な症状は見られず、いたって普通の生活を送っていたようです。

18日Aが線源容器に穴を開け解体やCに売却

Motorcycle Motor Exhaust - Free photo on Pixabay (709342)

特に体調も悪くないAは、一刻も早く高価なものが見たい、早く売りたいと待ちきれず1人で解体作業に取り掛かっていました。そして18日になって、ついに照射体を分解することに成功しました。

この分解作業によって中にある線源容器に穴が開き、辺りに放射線が漏れだすこととなりました。しかし、それは目に見える大きさではないため、全く気付かず、廃品買取業者であるCに穴の開いた線源容器を回転遮蔽装置ごと売却しました。

また、Cに物体を受け渡す間に街中を移動したため、街中には放射線がばらまかれていました。

18日夜、青白く光っていることを目撃

Northern Lights Aurora Light - Free photo on Pixabay (709343)

Cは線源容器を買い取って仕事場へと持ち帰りました。しかし、夜にそれが青白く光っていることを目撃し、そのようなものを目にした事は無かったため、とても高価で貴重なものであると判断しました。

これはセシウム137の放射線が、一緒に混ぜられていた樹脂とたまたま反応して蛍光色を発していたのだと考えられています。今までは容器に密閉されて入っていた放射線が、Aが分解して穴をあけてしまったことによって周りに漏れ出ている証拠です。

Cは自宅に線源容器を運び数人の知人に見せる

Friends Phone Bed - Free photo on Pixabay (709345)

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