豊田商事会長刺殺事件の概要と判決！犯人の情報と現在も

豊田商事会長刺殺事件とは

豊田商事会長刺殺事件が起こったきっかけから解説していきましょう。1980年代に起こった豊田商事事件という、金の地金を用いた悪徳商法（現物まがい商法といいます）を手口とした組織的な詐欺事件がありました。高齢者を中心に全国で数万人が被害に遭いました。
この事件の詐欺の被害総額は2,000億円近くと言われています。2019年現在において詐欺事件としては最大の被害額です。強引な勧誘によって契約させられた挙句に老後の蓄えを失った被害者も多いです。

この詐欺事件は社会問題になり、国民生活センターに豊田商事の専用の窓口ができたほどです。そして、1985年の4月に、豊田商事の関連会社の鹿島商事の外務員が逮捕されたのをきっかけに、詐欺事件の捜査が本格的に始まりました。その最中で豊田商事会長刺殺事件が起こりました。

そして、豊田商事の元会長の永野一男の生い立ちをここで説明をいたしましょう。永野一男は、1952年に岐阜県恵那市で生まれました。父親が障がい者であったため、祖父が農業をして家計を支えていました。15才のときに、島根県にすんでいる母親の弟の家に預けられ、島根県の中学を卒業しました。
中学を卒業後に、集団就職で現在のデンソーに就職しましたが2年でやめ、様々な職を転々としました。1982年には、競輪場でスリをして警察に逮捕されています。1981年に、豊田商事の前身となる大阪豊田商事を設立します。翌年には豊田商事と社名変更しました。そこで、金の延べ棒を用いた、ペーパー商法という、現物まがい商法を始め、いくつかのグループ会社を立ち上げています。

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豊田商事のグループ会社は鹿島商事、ベルギーダイヤモンド、海外タイムス、公共施設地図航空、公営競技施設株式会社があります。また、インドネシア海軍の機材納入企業やハイチ共和国の国軍向け被服工場の建設や大洋商事（オーストラリアや沖縄にレジャー施設を作る予定でした）といったような会社を設立する計画を立てていましたが、現地側の都合により実現には至りませんでした。

豊田商事の親会社あるいは親会社に準ずる会社が二つ存在し、白道（びゃくどう）と銀河計画という会社です。白道に関しては、宗教団体を目指いしていたという説もありますが、真相は分かっていません。銀河計画は、豊田商事の親会社ということになっていますが、名前の由来は、銀河にある星の数ほどグループ会社を作りたいからとのことです。

豊田商事会長刺殺事件の概要

豊田商事会長刺殺事件はどのような内容の事件でしょうか。事件の概要を詳しく解説していきましょう。ここでは永野元会長といたします。

被害総額2000億円の巨大詐欺事件

豊田商事会長刺殺事件が起こったきっかけになったのが、最初にあげた豊田商事事件という詐欺事件です。詐欺の手口は、独居老人が多く狙われました。電話セールスで無差別に勧誘し、脈ありと判断すると相手の家を訪問して、家に上がると線香をあげたり身辺の世話をしたり、「息子だと思ってくれ」と言って人情に訴えるなど相手につけ込み契約を結ばせました。

そして、相手とは金の地金を購入する契約を結びますが、実際は、金の地金は相手に引き渡さずに会社が預かり、「純金ファミリー契約証券」という証券を代金と引き替えに渡す形式でした。このため、相手は現物を購入するのか確認ができず、実態は証券という名目の紙切れしか手元に残らないという現物まがい商法（この場合はペーパー商法といいます）と言われるものでした。

相手を信用させるために、有名企業とブランド名を悪用したり、テレビCMを多数放映したほか、主催イベントでは芸能人を起用していました。そして、「豊田商事」という社名自体は、世界のトヨタでおなじみの自動車メーカーのトヨタ自動車の系列と錯覚させるためにつけられたものでした。このことから、被害総額が2000億円に膨れ上がりました。

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その頃に、豊田商事のグループ会社の鹿島商事の幹部が詐欺の疑いで逮捕されました。詐欺の内容は、金の代わりにゴルフ会員権を使ったペーパー商法でした。客が購入した会員権は自分ではゴルフのプレーはせずに、このゴルフ会員権を「豊田ゴルフクラブ」という別会社に貸して、その賃したお金で収入を得ると謳っていました。
しかし、豊田ゴルフクラブのゴルフ場は、申し訳程度に営業しているだけであり、実際は、ゴルフ会員権に資産価値はありませんでした。鹿島商事の詐欺のターゲットは主に母子家庭だという情報がありますが、母子家庭でない人もターゲットになっています。

蛇足ですが、同じグループ会社のベルギーダイヤモンドも、資産価値がほとんどない屑のダイヤモンドを恒久資産になるといってマルチまがい商法の手法で販売するという手口で運営していました。さらに、催眠商法の手口も悪用するなどして、豊田商事本体と並んで多くの被害者が出ました。

1985年6月18日に豊田商事会長に逮捕予告が出る

豊田商事の被害にあった人は次々と国民生活センターに相談をし、相談件数が想像を絶するほど沢山あったので、国民生活センターに豊田商事の専用窓口が設けられるほどになりました。「豊田商事会長刺殺事件とは」であげたように、豊田商事の関連会社の鹿島商事の外務員が逮捕され、捜査を進めていくうちに豊田商事が詐欺をしているということが分かり、1985年6月に永野元会長が逮捕予告という情報が出ました。

永野元会長の逮捕予告の情報を得たマスコミ各社の取材班は、その日のうちに永野元会長の自宅マンションの前に集結し、逮捕の瞬間を待っていました。

被害者男性2人が豊田商事会長の元に来る

永野元会長の自宅マンションやその周辺をマスコミ各社の取材班が取り囲んでいるところへ突然、二人組の男がやってきました。二人組の男は、自称右翼で詐欺事件の被害者の元上司だと名乗り、張り込んでいたガードマンに対し、「永野に会わせろ」と叫んだとのことです。

連絡を取るためにガードマンが階下へ降りた後に、二人組の男は報道陣に対して、「（豊田商事の被害にあった）自分の元部下の被害者6人から『もう金はええ、永野をぶっ殺してくれ』と頼まれた」と語ったそうです。その後、永野元会長の自宅マンションの玄関脇にある窓格子を破りガラスを割った後、自宅の中に侵入しました。

豊田商事会長永野一男が銃剣で刺される

二人組の男は永野元会長の自宅マンションの部屋に入った後、持っていた刃渡り40センチくらいの銃剣で永野元会長の頭部など13か所をめった刺しにしました。ちょうどその時には犯行の様子が生放送で放映されましたが、マスコミ各社の報道陣は誰も止めようとはしませんでした。

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