2019年8月19日 更新

集団心理は危険?集団心理が引き起こした事件や実験とは

「日本人は集団的主義だ」「女性は集団行動が好きだ」など集団についての通説は多々あります。集団において特別な心理が働くことを集団心理・群集心理と呼び、時として大きな力を発揮します。その怖さをメリットとともに例と実験を挙げてご紹介いたします。

ホームレスに暴行をする事件は度々起こっています。2000年に入ってからは殺人事件に発展しているものも数件報告されています。

その中のひとつ、図書館で騒いだ少年たちを注意した男性と騒動になり、後に男性がホームレスだと分かり、仲間を引き連れて1時間半にわたり暴行し死亡させたという事件があります。

少年たちのほとんどは「みんながやっていたから、ダメだと思っていたけど殴ってしまった」と供述しているとのこと。まさに集団心理よって我を忘れてしまった結果、ひとりの人を死亡させるほどの行為になってしまいました。

川崎市中1男子生徒殺害事件

Skull Skeleton Crime - Free vector graphic on Pixabay (370937)

2015年に中学1年の男子生徒が友人たちに殺害されるというショッキングな事件が起こりました。主犯格の少年は地元では有名な不良だったそうです。

些細なことから主犯格の少年とトラブルになった男子生徒は、度々暴力を振るわれるようになりました。そして事件当日、主犯格の少年とともに2人の少年も加わり、暴行を行った後、鋭利な刃物で首を刺して男性生徒を殺害しました。
Danube Jew Shoe World - Free photo on Pixabay (370939)

主犯格の少年は裁判で「殺すつもりはなかったけど、友人2人の前で引くに引けずに雰囲気に流された」と供述し、あとの2人も次第にエスカレートしていった旨を供述。

それぞれ1人であれば男子生徒が殺害されることはなかったはずです。3人集まってしまったがために、集団心理が働き最悪の結果を招いてしまいました。

キティ・ジェノヴィーズ事件

Skull Death Fossil - Free photo on Pixabay (370941)

集団心理の例であげた「傍観者心理」が提唱されるきっかけとなった事件がキティ・ジェノヴィーズ事件。1964年アメリカにおいてひとりの女性が殺害されました。

深夜の出来事でしたが、被害女性が襲われた時に大きな叫び声をあげたため周囲の人は気づくことができました。窓を開け注意をした住人もいましたが、一瞬立ち去った犯人は再度戻り女性を刺しています。
Hand Silhouette Shape - Free photo on Pixabay (370984)

気づいた人がすぐに警察に連絡をしていれば殺されることはなかったかもしれません。犯人は周囲の人はどうせ通報しないだろうと思っていたとも言われています。

周囲の人はみな、誰かが通報してくれているだろうと思い、自ら行動することはなかったのです。常習犯だった犯人はこのような人の対応に慣れていたと言えます。

集団心理のメリットとは

Bonfire Camping Fire - Free photo on Pixabay (370635)

今まで、事件に関することやデメリットに関することばかりの紹介となりましたが、集団心理はデメリットばかりではありません。良い方向に作用すれば、メリットにもなることもあります。

目には見えない力が働く集団心理に恐怖を抱くだけではなく、メリット知ることで集団心理を上手に活用することもできます。

良い方向に作用させることが大事

People Friends Couples - Free photo on Pixabay (370638)

スタンフォード監獄実験でも実証されているように、集団心理は悪い方向へ作用すると善人も悪人へと変えてしまう力を持っています。

監獄実験では善人が悪人へと変わることが実証されましたが、もちろん悪人が善人へ変わることも可能です。実際悪人が集団に所属したことで考えが変化する、という話はよく聞く話です。

ただし善人が悪人へ変わるよりも難しいと言えます。集団の善の力がとてつもなく大きくない限り悪を変えることはできません。良い方向へ作用できる集団を作り出すことが大事なのです。

連帯感や団結力が芽生える

Pedestrians Rush Hour Blurred - Free photo on Pixabay (370639)

一緒に立ち向かえる仲間がいることはとても心強いことです。個人の力が弱くても、人数が集まれば立ち向かえることも多くあります。

街灯でのゴミ拾いなども、個人でやれば途方もない作業ですが、人数が増えれば増えるほどひとりの負担が減りますし、一緒に頑張っている仲間がいると途中で放棄することもありません。

部活などでも団結力があるからこそ、厳しい練習にも耐えることができます。仲間の力により自分の怠けたい気持ちを打ち消して頑張ることができるのは、集団心理の最大のメリットです。

安心感を得られる

Dog Herd Canine - Free photo on Pixabay (371020)

人間は孤独を嫌います。それは生きていくには人の力を借りなければ上手くいかないと本能で理解しているからです。集団でいれば困ったときに助けてくれる人がいるはずです。

集団でいることの安心感は集団でいることでしか得ることができません。不安なことがあっても仲間がいれば話すこともできますし、アドバイスをもらうことができます。

集団心理は確かにマイナスイメージが強いですが、個人の不安を打ち消すために集団でいることはとてもメリットだと言えます。

集団心理の別名

London Underground Train Station - Free photo on Pixabay (371021)

集団心理について詳しく説明してきましたが、集団心理について調べていると「群集心理」という言葉をよく見かけます。群集心理とはどんな心理のことでしょうか。集団心理との違いはあるのでしょうか。

群集心理

London City - Free photo on Pixabay (371023)

群集心理とは心理学者が使用する呼び方で、群衆における心理状態の変動のことで、集団心理とほぼ同じ意味で使用することができます。

しかし厳密に言うと少し違っています。それは「集団」と「群集」の違いです。「集団」はある共通の目的を持っているのに対して「群集」はただ集まっているだけです。

集団心理は目的を持っているためある程度の自制がかかりますが、群集心理は他人同士がただ集まっているだけなので、善悪の判断がより簡単に崩れてしまいます。

集団心理は悪い方に作用するのは非常に危険

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