2019年8月19日 更新

集団心理は危険?集団心理が引き起こした事件や実験とは

「日本人は集団的主義だ」「女性は集団行動が好きだ」など集団についての通説は多々あります。集団において特別な心理が働くことを集団心理・群集心理と呼び、時として大きな力を発揮します。その怖さをメリットとともに例と実験を挙げてご紹介いたします。

Ipad Tablet Technology - Free photo on Pixabay (370746)

インターネットでのショッピングが増えている現在、商品が手でとって見られないことから重要視されているのがレビュー。レビューとは実際に買った人たちによる評価です。

見ず知らずの多くの人が良いと言っている商品は自分が本当に必要なものでなくても買いたくなります。これは「こんな多くの人が良いと言っているなら良いものだ」という集団心理が働くからです。

街で行列ができていると並びたくなるのも同じ現象です。自分ひとりの評価ではなく、大勢の人が良いとしているものは良いものに違いないと思い、興味がそれほどなくても並びたくなってしまうのです。

事件や事故(傍観者効果)

Gulls Fun Photo Composing - Free photo on Pixabay (370740)

人通りの多い場所で事故が起きても、自分以外の誰かが通報してくれるだろうと誰もが思い、結果誰も通報しないということが度々起こっています。

通報することは通報した人に多少なりとも責任や煩わしさがあるので、他の人が通報してくれた方が助かる、と考える人がほとんどです。

人が多ければ多いほどこの傾向にあると言えます。もし自分ひとりしかいなければ、自分が通報しなくてはいけない、という意識が働きますが、大勢いると自分には責任がないと思い行動しなくなるのです。

趣味共通の仲間意識

One Against All - Free photo on Pixabay (370741)

共通点があると途端に仲間意識が芽生え仲良くなれるとは思いませんか。初対面の人と話をするとき、何を話題にして良いのか困ってしまいます。

そこでよく聞かれるのが、共通点を探す会話です。「どこに住んでいるのか」「職業は何か」「趣味はあるのか」と、どこかで相手との共通点がないかを探すのです。
Audience Band Celebration - Free photo on Pixabay (370633)

なかなか共通点が見つからない場合は自分の知り合いの話まで発展することも良くあること。会話から話題を見つけて、「私のおばあちゃんがそこに住んでいた」など、小さくても共通点が見つけられれば即座に打ち解けられるのです。

これは仲間には良くする、という集団心理が働く結果であり、共通点を見つけることで「自分はあなたの味方ですよ」というアピールをして自分の身を守っているのです。

カップルの多い場所での告白

Couple Romance Love - Free photo on Pixabay (370782)

カップルが多い場所での告白は成功しやすいと言われています。カップルが多いということは雰囲気の良い場所だということもありますが、ここにも集団心理が見え隠れしています。

独り身からするとカップルは幸せそうでとても羨ましいものです。カップルがたくさんいる空間に身を置いていることで、自分も恋人が欲しいな、という欲望が湧いてきます。

その気になったところで告白をすれば成功率もあがります。そのためカップルの多い場所で告白すると成功する可能性があがるのです。

株式投資やFXなどでも応用

Digital Marketing Seo Google - Free photo on Pixabay (370797)

株式投資やFXはまさに集団心理による市場変化を読み取る投資方法です。そもそも株式にも外貨にも正確な価値などありません。価値はすべて市場によって作り出されているものです。

市場とは人々の集まりのこと。社会の動きや経済の動きをみて株や外貨を買うことにより、需要と供給のバランスをもとにして価値が決められます。株式を保有している会社の悪い評判が流れると、株の所有をやめようとする人が多いため価値が下がります。

ある国で経済が劇的に成長すれば、その国の外貨を欲しがる人が増え、貨幣の価値があがります。この相場心理を上手に使いこなすことにより、株式投資やFXで利益を出すことができます。

日本は集団主義的なのか

Japan Travel Nature - Free photo on Pixabay (370809)

日本人にどんな印象を持っているのか聞けば、多くの人が「集団主義的」だと答えるのではないでしょうか。外国と比べて日本人は自分の意見を言わずに組織の一部として黙々と働く、というイメージが浸透しています。

しかし日本人が集団主義的はない、という研究が東京大学により発表されました。研究の結果として「他国と比べて日本人が集団主義的であるとは言えない」ということが証明されています。

ではなぜ日本は集団主義的であるという通説が、日本だけでなく世界共通の印象として広まってしまったのでしょうか。それは戦後まもなくの頃、戦時中の日本をもとに出版された本の影響なのです。

ベネディクトの「菊と刀」

Chrysanthemum Blossom Flower - Free photo on Pixabay (370812)

日本が集団主義的だという通説が広まったのは、戦後に出版されたアメリカ人の人類学者ルース・ベネディクトによって書かれた「菊と刀」によるのもだと言われています。

日本は戦時中、天皇の名のもと理不尽な政策や強制も受け入れ、一丸となって戦っていました。それは他国が驚くほど強靭な力となり、明らかに力の差があった戦いにも勝ったという歴史があります。

ベネディクトによる「菊と刀」は戦時中の日本の行動を目の当たりにしたすぐ後に出版されたため、誰しも「日本は集団主義的である」と信じ込み、疑うことがなかったのです。

しかし、この考えは否定された

Statue Of Liberty Landmark - Free photo on Pixabay (370814)

戦後間もなくから通説とされてきた「日本は集団主義的である」という考えについてメスを入れたのが東京大学での研究です。

主要な研究分野から信頼のおける研究結果に焦点をあて、通説が正しいのかどうかを検証した結果、日本人は集団主義的ではいという研究結果が多いことが分かりました。

さらに研究によっては最も個人主義的であると言われているアメリカ人と比較し、日本人よりもアメリカ人の方が集団主義的である、という研究があることまで明らかになっています。
Lemon Citrus Fruit - Free photo on Pixabay (370815)

戦時中の日本は他国の強靭な力に脅威を感じていました。共通の敵に対して脅威を感じていると、団結して大きな力を生み出すのは他国の歴史でも見られる人間の普遍的な行動であるはずです。

それにも関わらず、戦後すぐという状況において戦時中の行動のみを切り取り「日本は集団主義的」だと主張され、そのまま受け入れてしまい、現代まで続く通説となってしまったのです。

集団心理の実験

University Student Graduation - Free photo on Pixabay (370839)

集団心理という目に見えない力は本当に存在しているのかどうかを実証した実験があります。実際に人を使い、集団を作り出し、そこでどんな心理が働くのかを観察した実験です。

この実験は、実験を行った本人まで正確な判断ができなくなってしまうほどの集団心理が働き、危険を伴うと第三者から指摘を受けて中断されました。

中断したとは言え、中断するまでの間でもかなり興味深い観察ができたといえ、今でもこの研究に対して本が出版されるなど世界で注目されています。

3 / 6

関連する記事 こんな記事も人気です♪