2019年8月30日 更新

男色とは?男色の歴史や男色だったと言われている戦国武将も!

BL(ボーイズラブ)という言葉ご存知の方は多いでしょう。主に男性同士の同性愛をあらわす漫画や小説といった作品のジャンルのことを言います。そんなBLと同じ様な意味合いで更にBLという言葉よりも歴史の深い言葉であ“男色”についてこの記事ではご紹介します。

若衆歌舞伎

Kabuki Theater Theatre Japan - Free photo on Pixabay (588337)

歌舞伎とは元々女性が始めたものでした。出雲阿国が歌舞伎踊りと呼ばれる踊りで人気を集めると共に遊女達の間でも流行っていきます。それによって風紀の乱れを齎すとし幕府が女歌舞伎を禁止します。

そこで女歌舞伎に代わる人気のものとして、美少年を中心とした『若衆歌舞伎』が流行します。女装した美少年達が踊る姿に魅了された男性の多くが役者達を“男色”の対象として見られる様になり、やがて裏で売春が行われる様になって行きました。

結果として『若衆歌舞伎』も風紀を乱すものとして幕府によって禁止され現在の様な歌舞伎の形(野郎歌舞伎)と変化していきます。

女形

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若衆歌舞伎が禁止になっても“男色”の文化は根強く残り続けます。歌舞伎役者を目指す少年たち、特に女形を目指す少年の売春はその後も行われました。

女形をするからには女性らしさを学ばねばなりません。よって女形を目指す少年は男性に抱かれて始めて女性らしさを学ぶことが出来るという様に修行の一環として考えられ、売春行為が行われました。

また役者同士での“男色”関係というのもあり、その中でも三代目坂東三津五郎と女形の五代目瀬川菊之丞は特に注目を集めました。というのも、その関係だけでなく菊之丞が三津五郎の妻に手を出したという噂もあったからだそうです。

陰間

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前半でもご紹介した陰間(かげま)。これも前述していたように美少年を使った仕事として流行っておりました。元々は女形を目指す少年が修行を兼ねて芝居小屋に併設された陰間茶屋で売春も兼業しておりました。

やがて陰間茶屋が独立していき専業とする者が増え、そこで色を売る男娼の事を陰間と呼ぶ様になっていきました。また、その頃になると女装をしない陰間も増えていきました。

陰間茶屋で働く陰間は基本的に13~20歳までの少年が多く働いていたそうです。

陰間の仕事内容

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陰間は元々役者候補生の少年達ですから舞台の芸は勿論、歩き方から床での技法までを徹底的に仕込まれております。そこから更に外見に磨きをかける事も怠らない様に心がけなければなりませんでした。

毎日丁寧に身体を磨き、体臭になる食べ物やオナラが出やすくなる芋などの食べ物も御法度でした。また陰間の多くは客の相手で肛門が傷つき痔になる者が多かったと言われております。

その為、手当に使用されるネギが陰間茶屋には常備されていたそうです。

陰子

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陰子(かげご)も陰間同様に女形を目指す少年が修行の一環として売春も兼業するというものです。陰間茶屋が“男色”の目的に特化した独立した形になって以降‘陰間’は売春を専業とする若い男娼の呼び名となり、陰子とは違う意味合いになっていきました。

結果、陰子という言葉は女形の修行中の少年が、修行中で且つ売春も行なっているという意味の少年の呼び名となります。そして役者としてのレベルが上がると又違う呼び名に変わっていくので引き続きご紹介していきましょう。

舞台子と飛子

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売春を専業とする陰間、女形の修行中で修行の一環として売春も行うのが陰子、そしれ役者として晴れて舞台に上がれるようになった後も売春を続ける女形を舞台子(ぶたいご)と呼びます。

その他の売春を行う少年の仕事では、地方巡業に同行しその先で売春を行う修行中の少年の事を飛子(とびこ)と呼びます。または何処にも所属はしておらず出張売春をしている少年も飛子と呼ばれる事があります。

この様に歌舞伎と“男色”の文化というのはとても深い関係にあった事がわかってきます。

男色を学べるおすすめの本

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言葉の意味や歴史を通して“男色”についてこれまでご紹介してきました。昔の日本は現代よりずっと同性愛というものに大らかな時代であったという事が分かります。ここまで稀有な迄に“男色”の文化が花開いらのには様々な要因が絡んでいるということもわかった事でしょう。

“男色”について興味が湧いた方も少なくないのではないでしょうか。それでは、更に“男色”の知識を深めたいという方におすすめの“男色”を学べる本について次はご紹介していきましょう。

日本男色物語:奈良時代の貴族から明治の文豪まで

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“男色”をテーマに奈良時代に始まり、明治時代に至るまでの「男同士の恋愛」について史料に残された歴史上の人物の“男色”のエピソードを抽出し紹介している本です。

“男色”に大らかだった時代からタブーとなってしまうまでの歴史の流れを歴史上の人物の“男色”エピソードと共に追っていく事が出来るので、“男色”の歴史について更に追求したい方におすすめの著書となっております。

有名な戦国武将から当時陰間として働いていた庶民まで色んな視点から“男色”を見る事が出来るでしょう。

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男色の日本史

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“男色”の文化を通史としてまとめ上げられた本です。日本史を研究しているゲイリー・P・リュープの著書であり、海外の人の視点で日本の“男色”文化が解説されています。

世界基準で見ると日本のこの“男色”文化がいかに特異であったか、又なぜここまで栄えたのかなどを分析し書かれた研究書的一冊です。図版も多く掲載されており、分かりやすくまとめ上げられているのでおすすめです。

日本人の多くが知らない日本の歴史を海外の研究者が真剣に読み解いた珍しい本です。

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