2019年8月4日 更新

メキシコの麻薬王ホアキン・グスマン通称エルチャポの所業と現在は?

メキシコの巨大麻薬カルテルのボス、ホアキン・グスマン。2度の脱獄を経て2019年7月、長い裁判の末ついに判決を下されました。そんなホアキン・グスマンの半生と現在、SNSでの異質な写真で有名なグスマンの息子についてまで、グスマンについて丸ごと紹介します!

グスマンは逮捕され刑務所に収監されている時も、麻薬関係の活動をしていました。看守や刑務所所長への賄賂は黙認されていたため、グスマンは刑務所内にいながらにして自由な生活を手に入れていたのです。

グスマンは自身の親族を通して刑務所内から麻薬密売ビジネスを継続させ、看守買収により手に入れた自由から、刑務所内でパーティーを開いたり女性と交流を持つといった刑務所生活を送ります。厳戒態勢が敷かれているといったプエンテ・グランデ刑務所でも、このように賄賂がまかり通っていたのです。

慎重なグスマンはこういった状況がメキシコだから通用することを分かっていました。グスマンは自分の罪を踏まえ、いずれアメリカ移送されることを想定します。そしてそのことを恐れ脱獄を試み、成功させたのです。

身柄を拘束される

Handcuffs Trouble Police - Free photo on Pixabay (527010)

いとも簡単にプエンテ・グランデ刑務所から脱獄を成功させたグスマンでしたが、2014年2月22日の早朝、メキシコのシナロア州にある高層マンションで、数人の手下と潜伏しているところを発見され身柄を拘束されました。脱獄から13年が経過していました。

これはアメリカ麻薬取締局、アメリカ国土安全保障省とメキシコ海兵隊による共同戦線による成果でした。2014年以前に、シナロア州の州都ククリアカンの民家に潜伏するグスマンを取り逃がした汚点があることから、アメリカとメキシコのグスマン捕獲への共同捜査は真剣なものでした。

「(有名マフィア)アル・カポネ以来最大の社会の敵」とされた逃亡中のホアキン・グスマンへの懸賞金をメキシコ当局は500万ドル、アメリカ当局は380万ドルと提示しました。このことからも、両国のグスマン拘束への意気込みが分かります。

地下トンネルから2度目の脱獄

Tunnel Subway Metro - Free photo on Pixabay (527013)

13年の逃亡生活の後再び収監されたホアキン・グスマンですが、驚くことに収監からわずか2年後の2015年7月11日、メキシコのエル・アルティプラーノ刑務所からの脱獄を成功させます。この刑務所は警戒レベルは最高とされていました。

脱獄には地下トンネルが使われ、驚くことにこの地下トンネルはグスマンの脱獄のために作られたものだったのです。長さ1.6Km、高さ1.7km、幅76cmの地下トンネルには照明や換気装置、トンネルを走行するための専用のバイクも完備されており、グスマンの監房のシャワーエリアから梯子を降りて繋がるように作られていました。

刑務所が最高の警戒レベルだったこと、そして収監からわずか2年で脱獄を成功させてしまったこともあり、このグスマンの脱獄劇はメキシコ政府に大きなダメージを与えました。

銃撃戦後に再び捕まる

Hand Pistol Weapon - Free photo on Pixabay (527017)

2度目の大々的な脱獄を成功させたグスマンですが、今回の逃亡生活は長くは続きませんでした。脱獄成功の翌年2016年、故郷のメキシコ、シナロア州で銃撃戦の末グスマンは身柄を拘束されます。この銃撃戦でシナロア・カルテルのメンバー5人が死亡し、拘束されたグスマンはその後2017年1月19日にアメリカに飛行機で移送されました。

また、今回の逮捕の大きなきっかけとなったのは、ショーン・ペンとグスマンの対談でした。ショーン・ペンとグスマンを仲介したメキシコ人女優ケイト・デル・カスティーリョにGPSをつけたことがグスマンの居場所を知るヒントとなったとされています。

グスマンが脱獄に使用した費用の説

Bank Note Dollar Usd - Free photo on Pixabay (527019)

麻薬の密売で荒稼ぎしていたホアキン・グスマンですが、彼が脱獄に費やしたお金も莫大なものでした。その額は、2001年のプエンテ・グランデ刑務所からの脱獄で3億円、2015年のエル・アルティプラーノ刑務所からの脱獄で60億円と推測されています。

また逮捕されアメリカへ移送されたグスマンですが、彼の公判にかかる費用も莫大で、その額5000万ドル(55億円)と言われています。これはアメリカの法廷でかかる費用の最高額です。

費用が高額な理由の一つ目に公判に4ヶ月かかることが挙げられます。また、グスマンが収監されている連邦刑務所メトロポリタン矯正センターから裁判所までの間に存在するブルックリン橋を、公判中何度も閉鎖しなければならないことも大きな理由です。

裁判の行方とエルチャポの現在

Trace Sand Beach Tire - Free photo on Pixabay (527034)

莫大な費用をかけて脱獄するも最終的には逮捕されたホアキン・グスマンですが、2019年2月、ついに裁判で判決が下されました。

現在の妻のエマ・コロネルが毎回傍聴に訪れていたという裁判の行方と、グスマンの現在について紹介します。

10の罪全てに有罪判決

Jail Cells Penitentiary - Free photo on Pixabay (527044)

2019年2月22日、ニューヨーク連邦地裁はホアキン・グスマンに10の罪全ての有罪判決を下しました。10の罪とは、コカイン・ヘロイン・乾燥大麻・メタンフェタミンなど、計数百トンにも及ぶ違法薬物のアメリカへの密輸、資金洗浄、武器の不法所持などです。

判決を受けた時のグスマンの年齢は62歳でした。3ヶ月に渡る公判により下された、全ての罪に対する有罪判決という結果に対しグスマンは「ここに正義はなかった」という言葉を用い、判決に対する不満を表しました。

罰金と終身刑

Abstract Action Activity - Free photo on Pixabay (527048)

有罪判決を受けたグスマンには2019年7月17日、仮釈放なしの終身刑と126億ドル(1兆3600億円)の罰金刑が言い渡されました。そしてその身柄は二日後の7月19日に、コロラド州のフローレンスに位置するADXフローレンス刑務所に移送、収監されました。

ADXフローレンス刑務所はアメリカで最も警戒レベルが高い刑務所の一つで、ロッキー山脈のアルカトラズ島並みの厳重警備が整っており、1994年以降誰も脱獄に成功していません。

収監されたグスマンの体調は良好、本を貪るように読み、女性と面会禁止なことを一番憂いていると言われています。

グスマンの(エルチャポ)の息子の行動

Silhouette Father And Son Sundown - Free photo on Pixabay (527051)

終身刑となったホアキン・グスマンですが、彼には複数の妻や愛人との間に推定10人の子供がいるとされています。貧しく、教育もろくに受けられなかった自身の生活環境とは全く異なる恵まれた生活を、グスマンは子供たちに与えました。

子供たちは大学も出て洗練された生活を送りますが、そんな子供たちの1人である息子、アルフレド・グスマンは何かと世間から注目を浴びることとなります。

グスマンの息子の1人であるアルフレド・グスマンのどういった行動が世間の注目を集めるのでしょうか。

異質な写真をSNSに投稿

Phone Cell - Free photo on Pixabay (527074)

現在は凍結されているため閲覧できませんが、アルフレド・グスマンはSNSのInstagramで「Narco King」というユーザーネームで数々の写真を公開していました。そしてそれらの写真が、Instagrram上であまりに異質であることから話題を呼びました。

アルフレド・グスマンが投稿するのは、虎のペットに高級ブランドグッチの靴を齧らせている様子、大量の銃やマシンガンといった武器、大量の携帯電話、一目で大金とわかるほどの札束のジェンガ、大量の車の鍵、所有するクルーザー、何台もの高級車、明らかにそれとわかる麻薬などの写真でした。

犯罪および犯罪組織を簡単に想像させるそれらの写真は、異質を通り越して見る人に恐怖を与えるようなものも多数ありました。

拉致されたグスマンの息子

Chains Feet Sand - Free photo on Pixabay (527087)

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