2019年8月4日 更新

メキシコの麻薬王ホアキン・グスマン通称エルチャポの所業と現在は?

メキシコの巨大麻薬カルテルのボス、ホアキン・グスマン。2度の脱獄を経て2019年7月、長い裁判の末ついに判決を下されました。そんなホアキン・グスマンの半生と現在、SNSでの異質な写真で有名なグスマンの息子についてまで、グスマンについて丸ごと紹介します!

SNSの写真だけでなく、アルフレド・グスマンは拉致されたことでも有名です。2016年、メキシコの中西部ハリスコ州はプエルトジャルタという高級エリアのレストランで6人が拉致され、そのうちの1人がアルフレド・グスマンだったのです。

アルフレド・グスマンは当時29歳でした。拉致された6人はシナロア・カルテルのメンバーで、アルフレド・グスマンの他にグスマンの別の息子イバンもいたとされています。この拉致事件は彼らの父親であるホアキン・グスマンが敵対する麻薬組織によるもので、カルテル同士の抗争でしたが、のちに全員解放されています。

そんなアルフレド・グスマンは現在麻薬密輸容疑でアメリカ政府から指名手配されています。

グスマンの性格とその他の事件

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メキシコ麻薬カルテルの凶悪なボスとして有名なホアキン・グスマンには数々の逸話が存在しますが、実際はどんな人物だったのでしょうか。

またグスマンに関連した事件は他にも存在します。グスマンの性格と、彼に関連するその他の事件を紹介します。

グスマンの婚約者の殺害

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グスマンの元婚約者殺害事件は大きなニュースとなりました。ホアキン・グスマンがメキシコのプエンテ・グランデ刑務所に収監されていた頃に知り合った女性、スエマ・エルナンデスの遺体が2008年12月に発見されたのです。享年35歳でした。

スエマ・エルナンデスの遺体には、ホアキン・グスマンが対立する組織Gulf(ガルフ)の系列組織Zetas(セタス)の頭文字『Z』と書かれた傷が全身にわたり何箇所も付いていました。首謀者は依然として不明のままです。

またグスマンは4回結婚していると推定されており、現在の妻はグスマンが53歳の時に18歳の若さで結婚したエマ・コロネルです。

言葉では表せないほど疑り深い

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そんなグスマンの性格ですが、若い頃は血気盛んでカッとなりやすい性格だったと言われています。ギャンブルに狂った父親の暴力から兄弟を守るなど、幼い頃には正義感も強かったことが分かります。

パーティー騒ぎを好んだグスマンですが、年齢とともに無口な男になっていきます。細かいことによく気がつき、そして慎重であると言われていますが、そんなグスマンの気配りや疑り深さ、抜け目なさには人を惹きつける何かがあり、グスマンはカリスマ性を発揮していきます。

一方でグスマンは異常に嫉妬深く、偏執的な人物とも言われています。実際グスマンは妻であるエマ・コロネルや愛人アグスティナ・カバリニャス・アコスタに携帯電話ブラックベリーを持たせることで、彼女たちの行動を監視していました。

影響力が強く、メキシコ内10位の富豪

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悪名高きホアキン・グスマンの影響力はとても大きく、アメリカのフォーブス誌が選ぶ「世界で最も影響力を持つ人物」ランキングに2009年にランクインしました。

総資産額は推定10億ドル(1000億円)という莫大な財産を持ち、メキシコの富豪ランキングでは10位と位置付けられています。莫大な資産と残虐性や話題性、どこを取っても一筋縄ではいかないホアキン・グスマンの影響力がメキシコ国内だけに留まらなかったのも、自然なことと言えます。

人望が厚く、逮捕時にはデモも起きた

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また、ホアキン・グスマンの影響力が大きいのは資産の多さや残虐性だけが理由ではなく、彼自身のカリスマ性や人望の厚さにもあります。

グスマンは所有するマリファナやケシの畑で大量の地域住民を雇い仕事を与えていました。貧しく産業もないメキシコの田舎で労働力を必要とする環境を作ったことは、仕事の内容が何であれ喜ばれることだったのです。

他にもグスマンは自然災害などが起こった際、迅速な援助をすることでも有名です。彼のそうした判断力は人望へとつながり、グスマン逮捕の際は、抗議デモを行う人や3度目の脱獄を応援するTシャツを作成する人もいました。

有名歌手が応援ソングを歌うことも

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貧困層への仕事援助、政府よりも頼りになる災害時での援助などから人望を集めたグスマンは、ミュージシャンからも支持されていて、彼を題材にした音楽も多数存在します。

ナルココリードというギャングスタラップをリリックとしたメキシカンフォーク調の曲では、しばしグスマンの名が登場します。その他にもメキシコの有名歌手がグスマンのことを応援する音楽もあり、彼がメキシコにおいてある種アイコンとして存在し、支持されていることが分かります。

麻薬王エルチャポの半生はNetflixで観れる

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実際の人生が映画顔負けのホアキン・グスマンの半生は、Netflixで観ることができます。その名も「エル・チャポ(EL CHAPO)」というタイトルのこのドラマは栄光から墜落まで、グスマンの人生を忠実に再現しています。

ドラマ「エル・チャポ」の主演はマルコ・デ・ラ・O、原作・制作はシルバナ・アギーレで、2017年から公開されています。また「エル・チャポ」は、以前に放送された麻薬王のドラマ「ナルコス」の大ヒットを受けて制作されたと言われています。

グスマンの人生の映像化はドラマだけでなく、大御所監督であるリドリー・スコットが映画化するという話も挙がっています。ちなみにリドリー・スコットが制作しようとしているグスマンの映画は小説「The Cartel(ザ・カルテル)」が原作で、原作者ウィンズロウは小説のため10年以上グスマンを捜査したと言われています。

クスリと人間の関係は難しい

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グスマンの資金総額が推定1000億円ということから、それだけ麻薬の需要が存在することが分かります。そして、麻薬が絡むところでは殺人・暴行といった他の凶悪犯罪が並行して起こるとされています。

実際メキシコでは麻薬関係の抗争は非常に多く、そのために無関係の人間が命を落とすことも少なくありません。過去7年間で8万人が麻薬戦争で死亡したというデータも存在します。

必ず利益を得る人が存在する麻薬ビジネス。商品とされる麻薬の依存性は強く、一度手を出してしまった人は簡単に足を洗えないことがほとんどです。違法薬物と人間の関係は、関わらないということが唯一の上手な付き合い方なのです。

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