2019年7月17日 更新

風の電話とは?会えない人と心で話すこの電話に込められた想い

風の電話を知っていますか?東日本大震災で残された遺族の心のよりどころとなっている電話線の繋がらない電話です。そこにはたくさんの愛があふれていました。今回は、亡くなった人と繋がることができるという不思議な風の電話の物語を詳しくご紹介します。

もう1度話したい人と会話ができる場所がある?

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大切な人を突然亡くしたとき、いいようのない絶望を感じ生きる力を失くしてしまうことでしょう。そして、どうしてもっといろんなことを話しておかなかったのだろうと後悔する人は多いのではないでしょうか?

そんな人のために亡くなった人ともう一度話せる場所があります。それが岩手県上閉伊郡大槌町にある風の電話です。2010年にある男性の意志で設置された風の電話の利用者はのべ3万人以上ともいわれています。今回は、そんな不思議な風の電話について詳しくご紹介します。

風の電話とは

Black And White Old Fashion - Free photo on Pixabay (487480)

「風の電話は心で話します 静かに目を閉じ 耳を澄ましてください 風の音が又は浪の音が 或いは小鳥のさえずりが聞こえたならあなたの想いを伝えてください」

風の電話ボックスには、このような言葉が書かれています。亡くなった人と心で話すことができる風の電話は、数多くの人々の悲しい気持ちを受け止め、また、どれほどの人たちの心を癒してきたことでしょう。風の電話が設置されたのは2010年のこと。元庭師だった男性が、定年後に移住した自宅の庭を整備して設置した物でそこには男性の大切な人を思う純粋な気持ちがあふれていました。

最初は自分のために作った風の電話ですが、その翌年に東日本大震災が起こったことから、男性は震災で突然の別れに戸惑う遺族にも風の電話を利用してもらいたいと思うようになります。そうして、風の電話は今では噂が噂を呼び全国からたくさんの人が訪れる場所となったのです。

風の電話を設置した佐々木さんとは

Sankeien Gardens Japan Yokohama - Free photo on Pixabay (487485)

風の電話を設置したのは佐々木格さんという一人の男性です。佐々木さんは元庭師という経歴を持ち、定年後岩手県に移住したあとでご自分で庭を切り開き、その一角に風の電話を設置しました。その理由は、癌で余命いくばくもない従兄が亡くなったあとでも話すことが出来たならと思ったのが始まりです。

風の電話という名前の由来は、電話線でつながることが出来なくても風にのせればつながるかもしれないから。先ほど電話の横に「風の電話は心で話します 静かに目を閉じ…」は、書道家の従兄が亡くなる前に書いた言葉だそうです。そんな癒しの場である風の電話も2015年には強い風で倒壊します。

しかし、すぐさま今まで風の電話に癒された人々が立ち上がり、ボランティアで改修を繰り返しながら現在に至っています。佐々木さんの意志に賛同した人たちとともに開拓され、今ではベルガーディア鯨山として一般に公開するまでになっています。

風の電話の利用方法

Telephone Number Dial - Free photo on Pixabay (487487)

大切な人とある日突然お別れした人は、伝えたかったことや悲しい気持ち、元気でやっているよなど、話したいことがたくさんあると思います。そんな人はぜひ風の電話で話しかけてみてください。

風の電話は、電話線が繋がっていませんがじっと耳をすませばその人の声が聞こえて会話することができます。あなたの思いや悩みなどをそっと話してみましょう。ここでは、風の電話を利用したい人に向けてその利用方法を詳しく説明していきます。

黒電話で電話をしたい人と電話をする

Phone Communication Call - Free photo on Pixabay (487498)

風の電話ボックスには今では懐かしい黒電話がおいてあります。風の電話ボックスの中に入った人たちは、思い思いに時間を過ごし、たくさん話しかける人、ただ泣く人、黙って聞いている人、中には来てはみたけれどいざとなると躊躇して中に入れない人など様々です。

今では珍しい黒電話を設置した理由はわかりませんが、時を超えてどんな時代の人とも話せるように黒電話を置いたのかもしれませんね。ただ一つだけいえるのは、ここに来ただけで心が救われる人が多いということです。悲しみに更け、何もせず、何も言わない時間を過ごし、やっとこの場所に来ることができたならそれだけで一歩前進なのです。

会話が終わったら傍にあるノートに思いを書く

Phone Dial Old - Free photo on Pixabay (487491)

風の電話の横にはノートが置いてあります。そのノートには、遺族の人たちの感想や思いがつづられています。その思いの数々を読むことで優しい気持ちになれたり、いい意味で悲しい気持ちをシェアすることができます。

その悲しみを、たとえ知らない誰かとでも分かち合えると思えば、一人で悲しみを背負っているよりも前に進む勇気が湧いてきませんか?電話が終わったら、そんな役割を果たしているノートにあなたの思いも書き記してくださいね。

風の電話の電話を利用した人の感想

Sunset Tree Silhouette - Free photo on Pixabay (487500)

風の電話は、本当に亡くなった人と会話できるのではありません。いや、中には声が聞こえてくる人もいるのかもしれませんね。しかし、風の電話を利用した人たちが風の電話を手に取ることで心に何かを感じているのは事実です。それは、これからも生き続けるためには大切なことなのではないでしょうか?

自分の気持ちを上向きにさせたり、諦めない心をもらえた人もいます。そこで、ここでは風の電話を利用した人にどのような変化があらわれたのかを解説していきます。行ってみたいけど勇気が出ない人や、行ったところで何になるの?と消極的な意見の人もぜひ読んでみてください。

別れを告げることができた

Man Rain Snow - Free photo on Pixabay (487502)

東日本大震災で家族を亡くした人たちが大勢今も風の電話にやってきます。どうして死んだのか?と問う人もいれば、みんな元気だよと報告に来る人など様々です。まだまだ悲しみの気持ちが癒えずに辛い気持ちを吐露する人も多くいます。

そんな中で、やっと別れを告げることができたという人も。それは、亡くなった人を忘れるというのではなく、あのときに言えなかった感謝の言葉を告げることで悲しむ自分とお別れできるということです。これからは、悲しむよりも強く生きようという決心がついたということでしょう。

あの人と会話できたような気がした

People Woman Travel - Free photo on Pixabay (487506)

風の電話は一方通行ですが、中には受話器を持って話すことで、亡くなった人と会話できたような気がする人もいるようです。自分が話しかけることで相手のいつもの返事が聞こえたような気がするだけかもしれませんが、それでも声が聞こえたら嬉しい気持ちになるはずです。

亡くなった人の顔は、いつでも写真を見れば思い出せますね。しかし、声はどうでしょう?録音でもしていない限り日々忘れてしまうといいます。風の電話で声が聞こえたなら、そこには大切な人もあなたに会いに来ていたのかもしれません。

今日から前を向いて歩けそう

Walk Path Walking - Free photo on Pixabay (487512)

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