2019年7月15日 更新

ペプロウの看護理論と事例!看護は人間関係のプロセス?

ナイチンゲール以降の近代看護における看護学に多大な貢献をしたヒルデガード・ペプロウ。彼女は精神看護の母と呼ばれ対人関係理論で知られているアメリカの看護学者です。この記事ではそのヒルデガード・ペプロウについてご紹介していきます。

不安のレベル“パニック”の解説

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不安のレベルが“パニック”になると人格の崩壊をきたします。畏怖や心配、恐怖に伴い思考のつりあいが保てなくなる為、人が人としての機能が出来ない状態となり、抑制力を失ってしまいます。

“パニック”の状態になると次の様な特徴が現れます。①筋肉運動が高まる、②コミュニケーション能力の低下、③知覚の歪みに伴い理性的思考の喪失、です。これによって他人との交流が出来なくなる他、効果的に機能出来なくなってしまう為恐ろしく無力な体験となってしまいます。

このレベルまで上がってしまうと、状態をいつまでも持続させることが出来ません。また、“パニック”と生命は併存することが出来ないので、最悪の場合疲労がピークとなり死に至ります。

対処に効果を得られたその他の例

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前項までにご紹介したものとは別の実例もご紹介いたします。まず、不安のレベルが“軽度”の患者の別の例です。患者は医療器具を使用した化学療法に対する副作用や予後への不安が引き起こされました。

そこで看護者はそれ以上の不安を煽らない為に、常に「大丈夫」だと声掛けを続けたところ、最後には自身の口から「大丈夫、やろう」と前向きな姿勢に変えることが出来ました。次に“中等度”の患者の別の例です。

癌の告知は受けていないが癌の様な症状は自覚しているというもので、受けた説明の内容と自覚症状にギャップを感じた事によって病気への疑問と不安が引き起こされました。そこで、看護者が患者と家族の時間を増やす様介入したところ、不安が和らぐ時間が増え患者の気持ちを前向きな方向へと向けることが出来ました。

対処に効果を得られなかった例

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最後は、逆に対処に効果を得られなかった実例をご紹介しましょう。これは不安のレベルが“強度”の患者の例です。その方は死への不安と恐怖によって周囲に「死への恐怖は誰にも解らない」と八つ当たりをしてしまうという状態でした。

そこで看護者は散歩などに連れ出すなど気分転換をしてなるべく気が逸れる時間を設けました。しかし、気分転換を行なってもその間の一時的な効果しか得られず看護者自身も行き詰ってしまい患者にそれが伝染してしまった為、対処に効果を得られる事が出来ませんでした。

“強度”のレベルになると特に死などに対する不安や恐怖を覚える人が多く、知覚領域の低下していきます。進行していくと最終的に“パニック”に陥る場合があるので、看護者は対処に細心の注意を払う事が大事なのかもしれません。

専門看護師育成の基礎を築いたペプロウについて知ってみよう

Woman Person Desktop - Free photo on Pixabay (422755)

ヒルデガード・ペプロウについてご紹介してきました。専門看護師育成の基礎を築き、精神看護学の母と呼ばれたヒルデガード・ペプロウは現代看護学の黎明期にあたって、看護界を牽引してきました。

その生涯は決して楽なものではありませんでした。同時期に活躍したヴァージニア・ヘンダーソンの様に環境に恵まれず、とても波乱万丈でした。しかし、そんな逆境の中であってもその責任感と一途な思いで道を切り開いていきました。

彼女が提唱した理論は看護に携わる人達だけでなく、全ての人が知っておきたい理論でもあります。この機会に是非知ってみてはいかがでしょうか。

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