2019年5月26日 更新

津山事件の詳細と都井睦雄の生い立ち!犯行の動機になった村の悪習

日本史上最悪の大量殺人事件、津山事件を知っていますか?「津山30人殺し」という言葉の方が有名かもしれません。今回は、たった1人で集落内の村人を30人も殺した犯人、都井睦雄の生い立ちと、「昭和の鬼熊事件」と報じられていた、戦慄の津山事件について紹介します。

70年後の取材で分かったこと

Microphone Reporter Interview - Free photo on Pixabay (330171)

2008年(平成20年)の「週刊朝日」に、津山事件の「70年目の新証言」が掲載されました。取材に訪れた、小宮山記者が偶然にも、事件で犠牲になった女性の夫だという男性に話を聞くことが出来たのです。

そのことによって、当事者しか知らない村の状況や、事件当日の生々しい証言など、事件から70年経って分かった真実が語られていました。ここでは、その取材で分かったことを紹介します。

犯行の引き金となったのは当時の婚約者?!

Love Romantic Relationship - Free image on Pixabay (330184)

4件目に襲撃され、隣の家に逃げ込んで助かったD家の四女。遺書には、「寺本ゆり子が貝塚に来たから」と睦雄は書いています。同じく、もう1人の女性、「西山良子も来たからである。」とも書かれていますが、おそらく取材に答えたのは、この西山良子の夫でしょう。

寺本ゆり子は隣の集落に嫁いでいましたが、取材によれば弟の結婚祝いで里帰りするからと、同郷の西山良子を誘って、共に事件前日実家に戻ったのです。取材を受けた夫も誘われていましたが、結局行かなかったので無事でした。

証言によれば、実は寺本ゆり子は、睦雄の幼馴染でもあり、結婚の約束をしていたというのです。しかし、睦雄が結核になったことにより、親から反対されて別の男と結婚したのです。そのことを恨んでいたのは、「あれを逃した」と遺書に残された言葉からも読み取れます。結果、寺本ゆり子は生き残り、西山良子は殺されてしまいました。

元婚約者は社会から孤立

Sad Depressed Depression - Free photo on Pixabay (330192)

元婚約者と言われる、寺本ゆり子は床下に隠れ、睦雄は執拗に床下目掛けて銃を撃ちましたが、幸いにも銃弾が喉元をかすめただけで、怪我で済みました。

しかし、一人軽傷だったことや、睦雄と結婚の約束をしていたことなどを知っていた村人達は、わざと狙わなかったのではないかと疑われ、最終的には「こいつのせい」扱いされてしまい、恨みも買ってしまいます。

寺本ゆり子も自分だけが助かったことや、村人達の疑惑の目から、自責の念を持つことになり、事件後ずっと社会から孤立して暮らしていたようです。

都井睦雄の姉のうどん屋

Udon Noodles Diet Kansai - Free photo on Pixabay (330212)

たった1人残されてしまった睦雄の姉は、事件後祖母と睦雄の遺体を引き取り、倉見の生家の横に埋葬しました。

姉は隣村に嫁いでいたので、その家族といたのでしょう。姉には1人息子がいたと言われており、睦雄の甥に当たるその人が今はどうしているかは分かりません。

姉はうどん屋を開いていたと言われていますが、現在はすでに閉店しており、姉も96~97年頃に亡くなったようです。

津山事件と類似する事件

Police Crime Scene Blue Light - Free image on Pixabay (330304)

悲しいことに、世界中で数々の残虐な事件がありました。その中でも、津山事件は今でも語り継がれる程の衝撃な事件ですが、この事件と似ている点があると言われている事件もあります。

殺人を犯す時のだいたいの理由は、怒りや恨みなどの感情があるものですが、これから紹介する事件と津山事件の犯人は、少し違う理由もあるのです。ここでは、津山事件と類似していると、よく比較に出される事件を紹介していきます。

ワグナー事件

Silhouette Gangster Gun - Free vector graphic on Pixabay (330303)

津山事件の犯人、都井睦雄が生まれる少し前、ドイツで起きた「ワグナー事件」というものがあります。ワグナー事件とは、1913年(大正2年)9月4日、ドイツにあるミュールハウゼン村で起きた、無差別殺人事件です。

犯人であるワグナーは、貧乏な農家の10人兄妹の9番目として生まれました。父はワグナーが2歳の時に死亡、母は再婚しましたが、ワグナーが7歳の時に離婚し益々貧乏になったのです。津山事件の犯人とワグナーが似ているところは、頭が良くて優秀な子と周囲からも認知されていたことです。

更に、性欲が強く、オナニー癖がコンプレックスだったと言われています。ワグナーは、教師になりましたが、とある日酔って獣姦していたところを村人に知られ、バカにされていると妄想し犯行に及びました。大量の銃など準備し、まずは自分の妻と子供4人を殺害、その後村に放火して9人を殺害し、12名に重軽傷を負わせ、最後は村人にリンチされ捉えられました。

山口連続殺人放火事件

Fire Flame Wood - Free photo on Pixabay (330380)

山口連続殺人事件は、2013年(平成25年)に起きたので、比較的記憶にある人も多いかもしれません。「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者 かつを」という犯人が書き残した言葉が、当時ネットでも話題になりました。

Uターンしてきた犯人が、近隣の住人5人を鈍器のような者で殴り殺害後、各家に放火したというこの事件は、当初田舎の閉鎖的空間で、村八分にされていたのでは?と犯人に同情が向き、集落に住んでいる人達がバッシングを受けていました。しかし、実は犯人の被害妄想が原因だったということが判明したのです。

犯人はボクシングをしており、元々普段から粗暴な性格でした。地元で死にたいと、両親の介護もあって実家に戻ってきた犯人でしたが、母親に暴力を振るったり、近所ともトラブルを起こしていました。村八分になったのではなく、自らが回覧板を拒否したり、自治会の集まりにも出てこなくなったのです。津山事件の犯人と類似する点は、田舎だということと、被害妄想が激しいということが言えるでしょう。

昭和最大級の大量事件

Night Light The Fog - Free photo on Pixabay (330398)

津山事件からすでに80年近く過ぎ、ニュースとしてよりは、オカルトとして語られることが多くなった、昭和最大級の殺人事件。

歴史にもしはありませんが、都井睦雄が中学進学していたり、結核にならなければ、このような事件は起きなかったかもしれません。日本は、協調性のある国と言われますが、その協調性は同調圧力でもあり、良いか悪いかは紙一重な性質を持っています。

近所が希薄になった現代の弊害を考えると、家や集落を守る為、よそ者を警戒し、ルールを守らない人間を忌み嫌った、当時の村の人々をあまり責めることも出来ません。この事件が今も語り継がれる理由は、事件の悲惨さもありますが、同じ日本に住む我々は、この協調性や同調圧力を、未だ嫌というほど感じているからかもしれません。

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