2019年10月8日 更新

冤罪事件とされている袴田事件の概要と真犯人は?

日本では時々、冤罪事件や誤認逮捕が発生しています。それほど件数は多くないものの、冤罪や誤認逮捕が被害者に与える影響は、計り知れません。この記事では、冤罪事件の中でも大きな苦痛を与えた袴田事件の真相や、真犯人について、詳細にご紹介していきましょう。

目次

死刑執行及び拘置停止の決定がなされた袴田巌でしたが、無罪となったわけではありません。再び裁判を行い、そこで無罪判決を下されるまで、袴田巌は犯罪者というレッテルを貼られていることになるのです。

2014年3月31日、再審再開と刑停止を決定した判決を不服とし、今度は静岡地方検察庁が異議を申し立てました。袴田巌を起訴し、44年という長い年月縛り続けた団体です。無罪を主張する日弁連にたいし、検察庁は徹底的に争う姿勢を見せました。

2014年8月5日、徹底的に争う姿勢を見せていた検察庁にとって、不利な状況が訪れます。それは、検察庁と同じく袴田巌が加害者だと考えている警察が「存在しない」と隠し続けてきた証拠品が存在していたという事実です。

2018年6月さまざまな冤罪の証拠が見つかるも再審請求を棄却

Fingerprint Detective Criminal - Free vector graphic on Pixabay (693871)

静岡県警察は、袴田巌を有罪とした証拠品の衣服を撮影したネガフィルムについて、長い間「存在しない」と主張し続けてきました。それが数十年たって、存在していたことが判明したのです。警察側がなぜ、ネガフィルムを隠し続けたのかというと、それが袴田巌を無罪にする明らかな証拠になり得るからでしょう。

袴田事件では、事件から数十年経ってから多くの証拠が発見されました。これらの証拠は、逮捕時から存在していたものであり、何かしらの意図によって、長い間故意に隠され続けていたのです。

冤罪が考えられるさまざまな証拠品

Technology Police Car Roof Blue - Free photo on Pixabay (693879)

前項でご紹介したように、袴田事件には袴田巌の冤罪を示す様々な証拠品が存在していました。そして、それらの証拠を、何者かが意図的に隠し続けたことによって、袴田巌は非常に長い間留置され、苦痛を与え続けられたのです。

ここからは、袴田巌の冤罪が考えられる証拠品について、解説していきます。これほどの証拠品があったにも関わらず、逮捕した警察、起訴した検察庁、死刑判決を下した裁判所の在り方について、考えてみましょう。

有罪の決め手となった当時のDNA鑑定の誤り

Dna Biology Medicine - Free image on Pixabay (693904)

事件発生から約1年2か月経過していた1967年8月、王こがね味噌橋本藤作商店のタンクから血痕の付着した衣服5点が発見されました。衣服に付着していた血痕は、被害者と袴田巌のものであると、当時のDNA鑑定で証明されます。

しかし、科学技術が進歩した現在、再びDNA鑑定を行ったところ、衣服に付着していた血痕は、袴田巌のものでもなければ、被害者たちのものでもないという事実が判明したのです。DNA鑑定の誤りを認めた静岡地裁は、袴田巌の釈放を決定しました。

ところが東京高裁は、明らかになった事実について、信頼に値しないとし、静岡地裁の決定を取り消す判決を下します。静岡地裁の判決を取り消したため、袴田巌は再び拘置されるはずでした。しかし、2019年現在も、「健康や生活上の理由」という不可解な理由によって拘置されることなく、生活を送っています。

証拠品への捏造が発覚

Crime Fingerprint Magnifying - Free image on Pixabay (694113)

袴田事件では、警察や検察側の証拠品捏造ともとれる行為が、多数発覚しました。検察側は裁判で、事件に関する全ての証拠品を開示する義務はありません。被疑者の有罪判決に必要な、証拠品のみを提出するのは一般的なことです。

しかし、袴田事件では、有罪に必要な証拠品の提出ではなく、有罪に必要な証拠品の捏造を行っていたということが発覚します。また、裁判所は警察や検察側の捏造の事実を認めていながら、袴田巌にたいする判決を覆らせることはありませんでした。

つまり、証拠品の捏造によって有罪に仕立て上げられたことが明白であっても、無罪ではないという不可思議な状況を、警察・検察・司法という正義の団体が作り上げたということなのです。

証拠品の1つであるズボンのサイズ

Jeans Mobile Phone Smartphone - Free photo on Pixabay (694116)

有罪の証拠として強い効力を持っていた衣服に関して、検察庁側の捏造も発覚しました。犯行時に加害者が着用していたと結論付けられたズボンは、明らかにサイズが小さく袴田巌は着用することができなかったのです。

その事実について検察庁は、「味噌タンクに浸かっていたいたため縮んだ」という理由を主張し、さらにそれを裁判官が認めてしまいます。また、検察側はズボンに記載されていた「B」というアルファベットが「B4」というサイズを示しており、袴田巌の着用は可能だと主張します。

しかし、ズボンの製造業者は、アルファベットのBは色味を表していると証言していました。この証言は、数十年たってようやく開示されます。

静岡県警察の嘘

Blue Light Siren Police - Free image on Pixabay (693880)

袴田事件では、静岡警察の数々の嘘も発覚しています。事件の数十年後に判明した、証拠品のネガフィルムの存在や、自白調書の内容など、袴田巌の有罪に大きな影響を与えました。

担当した警察官たちは、非情な取り調べを行い自白を強要しただけではなく、アリバイ証人の隠蔽や、袴田巌の実家から等事件の証拠品が発見されたという嘘もついています。担当にあたった警察官たちは、数々の冤罪事件を作り上げた紅林麻雄警部に指導・感化された警察官たちでした。

再審請求が却下された理由

Justice Right Case-Law - Free image on Pixabay (694162)

袴田事件では、逮捕直後から有罪とは言い難い数多くの証拠品、証言が存在していました。また、逮捕された袴田巌自身も、無罪を主張しつづけ再審請求を度々行っています。

しかし、40年以上という長い年月がたち、新たな証拠品が見つかったにも関わらず、2018年再び再審請求は棄却されます。ここからは、数多くの証拠品があるにも関わらず、再審請求が棄却された理由について、解説していきましょう。

日本での再審請求は「開かずの扉」とも呼ばれている

Doorknob Open Door Entrance - Free photo on Pixabay (694229)

再審請求が度々棄却されたのは、袴田事件に限ったことではありません。過去には、再審請求中に死刑が執行され、のちに冤罪であったことが判明した人物もいますし、再審請求によって冤罪が証明された事件は数える程度しかないのです。

日本の再審制度は、存在しているものの、「開かずの扉」と呼ばれるほどハードルが高く、ほとんどの事件で開かれることはない扉となります。本来、重要な新証拠があれば、再審請求は採択されるものですが、袴田事件は重要な新証拠があっても再審請求は、棄却されました。

重大な証拠の発見を認め静岡地裁は再審を認めるも最高裁で棄却

Human Silhouette The Door To Hell - Free photo on Pixabay (694230)

袴田事件は2014年3月、重要な新証拠の認定によって、静岡地裁により再審請求が認められ、袴田巌が釈放されることとなりました。しかし、検察側が控訴した東京高裁では、重要な新証拠を否定し、再び再審請求が棄却されます。

東京高裁は、事件発生当時より数段進歩した科学の証拠品に対して、「信頼性がない」と評価したのです。東京高裁が行った裁判には、評論家たちからも多くの批判が集まりました。また、判決のその後の様子についても、矛盾としか言いようのない対応をとります。

合理的な理由が明確にされていない

Judge Hammer Judgement - Free photo on Pixabay (694236)

2 / 5

関連する記事 こんな記事も人気です♪