2019年7月14日 更新

反出生主義とは?正しいと考える人の理由や反論も

反出生主義は仏教の教えに通じる部分があるとされていて、正しいと考える人もいれば反論する人もいます。反出生主義を肯定する有名人や名言についてご紹介します。現代では少子化が進んでいて結婚を選択しない人も多くいるので反出生主義が広まる可能性があります。

目次

Buddhist Ritual Water - Free photo on Pixabay (479727)

反出生主義と仏教は通ずる部分がありますが相違点も見られます。反出生主義では人は生まれてこない方が良いとしていますが、仏教では輪廻転生の考えから人が生まれ変わってこの世に現れます。

また、反出生主義では親や環境を選べないことが苦痛だとしている一方、仏教では苦しみの原因は煩悩だとしています。相違点を知ることで反出生主義に対しても仏教に対しても理解が深まります。

反出生主義と仏教の相違点を見ていきましょう。

輪廻転生

Monk Walking Rose Petals - Free photo on Pixabay (479728)

輪廻転生とは死んであの世に還った魂が生まれ変わってこの世に現れることを言います。輪廻は車輪が回転し続けるように人が何度も生死を繰り返すこと、転生は生まれ変わることです。

古代インドに伝わる考え方で再生思想とも呼ばれています。また、転生は生前の行為により種類が異なり地獄へ行く場合もあれば人間になる場合もあるのです。

反出生主義では生まれてこない方が良いとした考え方なので、何度も生まれ変わる輪廻転生とは相違があると言えるでしょう。

この世の苦しみを作るのは煩悩

Bagan Myanmar Burma - Free photo on Pixabay (479729)

仏教では人の苦の原因を煩悩だとしています。煩悩とは欲望のことを指し、根源は貪欲、瞋恚、愚痴の3つがあります。貪欲とは欲の心、瞋恚は怒りの心、愚痴は恨みや妬みの心のことです。

人間は煩悩の塊だとされていて煩悩の数は108もありますが煩悩を消す方法はなく、苦しみの根本的な原因は煩悩ではなく別にあるとしているので苦痛の根本をなくさないと幸せにはなれません。

反出生主義では苦しみの原因は煩悩ではないので仏教とは相違があります。自分自身のせいなのか環境のせいなのかは永遠にわかることはないでしょう。

反出生主義への反論

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反出生主義は世間の一般常識とは正反対であるため考え方に対して批判が多いです。特に多いのは「生物の目的は子孫を残すことだ」と「少子化を加速させることになる」でしょう。

言い分は理解できますが反出生主義者は反論に対してさらに反論をしています。どちらが正しいということはなく個々人が何を信じるかで主張は変わります。

反出生主義への批判を詳しく見ていきましょう。

出生前の同意という行為は絶対的に得られない事柄

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出生前の同意は現実的には不可能な話です。子どもが生まれてきたくてこの世に誕生したかは絶対にわかりません。しかし反出生主義への反論はすでに生まれてきた子どもに対しての見方です。

反出生主義では生まれてこなければ苦痛を感じる可能性を消去できるので、生まれて幸せになれる可能性よりも生まれずに苦痛を感じない方を推奨していることになります。

生まれてきた子どもに対してなのか、生まれてくる前の子どもに対してなのかという論点のズレが生じています。

生物の目的は子孫を残すこと

Baby Feet Father - Free photo on Pixabay (479734)

生物の目的は子孫を残すことだと反論する人がいます。しかし子孫を残すことに意味があるわけではありません。環境に適応できた遺伝子が残って子孫を残しているだけで、必ずしも子孫を残すために生きているのではないのです。

特に人間は子孫を残すためだけでなく快楽を目的として性行為を行います。作る予定ではなかった子どもを産んで本当に親も子どもも幸せなのでしょうか。

生物の存在に意味はないとするのが反出生主義です。

日本の少子化を加速させる

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日本の少子化を加速させると反論する場合があります。しかし政府が少子化を食い止めようとしているのは単に国のためです。

労働力の不足や財政の破綻など日本の人口が減ることで生じる苦難を防ぐためだと政府は言いますが、現在労働力が足りていないのは雇用環境がいつまでも改善されないからです。

財政が破綻するのは日本が借金ばかりするためであり少子化とは関係がありません。給料を上げて雇用環境を良くすればたくさんの人が雇用を希望して応募してくるはずです。

反出生主義の名言

Tulip Yellow Bright - Free photo on Pixabay (479737)

反出生主義の名言は多く、旧約聖書に書かれている言葉や反出生主義の人の言葉など様々です。どのような人が名言を残しているのか見ていきましょう。

既に死んだ人を幸いだと言おう/コヘレト

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「既に死んだ人を、幸いだと言おう。更に生きて行かなければならない人よりは幸いだ。」は旧約聖書の一文献であるコヘレトの言葉です。

コヘレトの言葉の著者は古代イスラエル王国第三代王ソロモンです。一文には続きがあり「いや、その両者よりも幸福なのは、生まれて来なかった者だ。太陽の下に起こる悪い業を見ていないのだから。」となります。

生まれてこなければこの世の悪い業を見ないで済むから幸福だとする考え方はまさに反出生主義だと言えます。

自分の子どもの苦しみ全てを防ぐのに保証された一つの方法は/デイヴィッドベネター

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「善良な人々は、自分の子どもを苦しみから逃れさせるためにどんなことでもするわけだが、自分の子どもの苦しみ全てを防ぐのに保証された一つの方法は、そもそもまず第一に、その子どもを存在するようにしないことである。」はデイヴィッド・ベネターの言葉です。

ベネターは2006年に「生まれてこない方が良かった、存在してしまうことの害悪」という本を出版して世界的に有名になりました。

子どもが存在しないようにするのが一番ですが、既に存在してしまった人間は存在が今以上に悪くならないよう努力するべきだとしています。

他の人間にとってはこの世はまっとうなものに思われる/ジョルジュバタイユ

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