2019年9月30日 更新

障害者の性の悩みとは?性処理の方法やホワイトハンズについても

障害者の「性」や「性欲」に関する話題はタブー視されてきた傾向があります。しかし障害の有無にかかわらず、一人の人間として愛する人と一緒にいたい、肌を重ねたいと願うのは当然のことです。表に見えにくい障碍者の性の悩み。ホワイトハンズの存在とも合わせてご紹介します。

近年、日本では「新しい性の公共をつくる」ことを目的として「ホワイトハンズ」という、障碍者の性欲求を助けるサービスが出来ています。テレビでも度々取り上げられてくるようになり、今やっとその存在が広まってきたところと言えます。
具体的には「射精介護」のサービスとなります。

「ホワイトハンズ(WHITE HANDS)」は本来、英語で「無罪」を表す言葉ということから、社会的な偏見によって、これまで目をつぶられてきた「性」に関するサービスを、社会の貢献性を有した無罪の存在にしよう、という思いが込められていると言われています。

しかし、現状はまだこのサービスの在り方に、世間の声は寛容ではありません。

利用対象者

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ホワイトハンズはあくまで「福祉」の一環として提唱されているサービスのため、身体的・精神的に異常が見られない「一般の健常者」は利用することは出来ません。そのため、利用対象者も事細かく規定されています。

まず第一に「二次障害の進行により、自力での射精が困難になった脳性まひの方」です。先天性の障害ではなく、成長する過程で事故や病気の後遺症として、身体の自由が利かなくなるほどの障害を患うことになって人が対象となります。

次に「難病による筋萎縮・拘縮・麻痺のために、自力での射精が困難である方」です。具体的な病名としてはALS、SCD、SMA、髄膜炎、関節リウマチ、筋ジストロフィーなどが挙げられます。これら以外にも、知的・発達・精神障害の方も含まれます。

利用料金

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福祉サービスとはいえ、存在しなければ直接対象者の命を脅かすものとはいえないため「無料」とはもちろんいかず、それ以外の通常の福祉サービスに比べても利用料金は割高になります。一般の風俗店などと同様、入会や会員登録をする必要がありますが、これは無料になります。

サービスの利用料金自体は、15分3,500円 30分5,500円  45分7,500円 60分9,500円、というように、長時間になるほど最初の15分単位の単価は安くなっていきます。しかしこれに、サービス者が訪問する際の交通費や移動費が加算されるので、結果的にこれ以上になることがほとんどです。

ケアの手順

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まず大前提として、介助者(以後「ケアスタッフ」)は介護用手袋を着用して行います。まずはケアスタッフがお湯で絞ったタオルで 陰部清拭を行い、陰部を清潔にしていきます。その後、ローションを用いて 陰部周辺のマッサージを行い、陰部周辺の血行が良くなり勃起が確認されたら、コンドームを装着してあげて、射精の介助にうつります。

本人の気持ちを気遣うのと、腹部の体温を下げないようにするため、タオルをかけながら行うことが殆どです。射精に達するまでの時間は、個人差はありませうが平均して10分~15分です。

日本発の性介助サービスは海外へ

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日本で始まったこの「性介助」のサービスは世界各国にも広まり、その実態をイギリスの「BBC」が大々的に取り上げたことからも、更に話題性と注目が高まってきています。

文化や習慣が異なる国々では、日本のこうした新しい試みはどのように映っているのでしょうか。

スウェーデン・台湾などで始まる

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高福祉社会の国として名高いスウェーデン。医療や教育の面からも、税金は高くてもそれ以上の福祉の恩恵を受けられるとして「幸福の国家」とも言われています。このスウェーデンでは介護の一環として、障害者が自慰行為をするために補助具をつけたり、セックスする際に服を脱がせたりすることが認めらるようになりました。

また、新日で有名な台湾では、その国家の大きさだけにスウェーデンほど大々的な制度は出来上がってはいませんが、良心的な小さなNPO団体が気持ちの面から優しく障害者の心と体に寄り添う動きが注目されています。

批判の声も多い

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日本から発祥したこの「想い」を受け継ごうと福祉の一環として懸命になる人が増える中でも、「風俗と何ら変わらない」という批判の声も決して少ないわけではありません。いくら性欲が人間の本能だとしても「愛情」のない性行為はもはや自分の欲情を見たす以外のなにものでもない、という非難も声が多いのも事実です。

しかし、ホワイトハンズの重要性を訴える事業主やケアスタッフも「障がい者も健常者と同じように性的欲求が沸きあがる。これを否定することは、人権を否定することと変わらない」と熱く反論の弁を述べています。

障害者の性に関する親の悩み

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障害を持つ子供に対して親がまず思うことは「もし自分が変わってあげられるなら…」という悲痛の想いです。ましてや、「性」に関わる悩みは、人間である以上死ぬまで本人が抱え続けなければならない苦痛となることもわかっています。

障碍者を一番そばで支える親(特に母親)のにとって、具体的にどのようなことが大きな不安となっているのでしょうか。

性処理をしてあげなければならない

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身体障碍者であれ知的障碍者であれば、体の反射的反応として「射精」は起こります。体のコントロールが効かない状態なのであればなおさら、無意識に起こしてしまうことは少なくありません。日常のもの周りの洗濯や整頓を普段からしているのであれば、当然その光景も目の当たりにしてしまい、その後の後始末までが母親の役割となります。

知的障害者でなければ、母親に気づかれたということで苦い想いをしていることも伝わってくるでしょう。その想いをくみ取るのであれば、なおさら平然を装う必要が出てきます。

また、もし「射精」に達することが自力で出来ずストレスが溜まっているのであれば、母親によってはその手伝いまでも自分で行ってしまう場合もあります。決して性的な行為が母親側にあるわけではなく、子供の願いをかなえてあげたい一心で、苦渋の決断を迫られる母親もいます。

性犯罪への心配

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障害者の中でも知的障碍者のケースで一番多いのが「加害者」となってしまうということです。物事の判別や善悪の認知に障害があるため、人前で公然と体を触ってしまったり、欲望のまま見知らぬ人の顔に自分の顔を近づけるという行動も頻繁に出てきてしまうこともあります。

小さい間や家の中だけであれば問題はありませんが、ある程度の年齢以上になったら、たとえそれが障害のせいであったとしても被害者からみたら「怖い」「襲われた」と捉えられてしまい、大事な子供が性犯罪の加害者となってしまう可能性も、特に男性の知的障碍者を子供にもつ親にとっては深刻な問題となります。

知的障害者施設で起きた妊娠中絶事件

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