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桔梗の花は、特に強く主張せずとも凛として力強さを感じさせる花なので、平安時代の陰陽師『安倍晴明』が使用した『五芒星』の別名『清明桔梗印』とされますが、他にも武士から『桔梗紋』として愛されました。
格子状の印は、中国に伝わる呪いの力を持つ9つの漢字を唱えながら、手で印を結ぶか指を剣になぞらえて空中に線を描くことで災いから身を守る『九字護身法』として、陰陽道だけでなく密教や修験道寺でも護身のための呪文として使われました。
2つを併せ持つことで、海女たちは安心して海に潜って仕事することができました。
格子状の印は、中国に伝わる呪いの力を持つ9つの漢字を唱えながら、手で印を結ぶか指を剣になぞらえて空中に線を描くことで災いから身を守る『九字護身法』として、陰陽道だけでなく密教や修験道寺でも護身のための呪文として使われました。
2つを併せ持つことで、海女たちは安心して海に潜って仕事することができました。
セーマンドーマンが守ってくれる魔
via pixabay.com
セーマンドーマンについて、かなり理解されていただけたと想いますが、伊勢志摩の海女たちはどんな『魔』から命や仕事を守ってほしかったのでしょうか?
海に入ってしまえば、とうぜん酸素を吸うことができなくなり息ができなくなることは誰でも知っています。自然の力は、人間にどうにかできるものではなく、どうにかしたつもりでもまたたく間に自然の力で命に関わる惨事にもなりえます。
海に住む魔物を見たことのある海女たちが、代々「気をつけるように」と心を込めて祈願したのです。
海に入ってしまえば、とうぜん酸素を吸うことができなくなり息ができなくなることは誰でも知っています。自然の力は、人間にどうにかできるものではなく、どうにかしたつもりでもまたたく間に自然の力で命に関わる惨事にもなりえます。
海に住む魔物を見たことのある海女たちが、代々「気をつけるように」と心を込めて祈願したのです。
山椒ビラシ
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伊勢志摩の海女が海へ入ると、稀にシマ(海中の岩礁)などでチクリと刺してくるもを『山椒ビラシ(さんしょうびらし)』という魔物であると捉えていました。刺された瞬間は針で突かれたような感覚で、次第に痛みが全身へ回り、呼吸も苦しくなり、気の弱い者は正気を失ってしまうとされました。
昭和10年代に医者の注射で回復が早くなることがわかり、海女が磯シャツを着用するようになり被害が減少したそうです。山椒ビラシの毒は、皮膚の柔らかな部分に激しく作用し、目の粘膜や臀部等や咽喉が充血し、吐血した者もいました。
志摩では、海藻の陰などにいるクラゲの様な毒虫を『サンショクラゲ』と呼び、刺されると疼痛、発熱を生じ、海女からは最も恐れられていました。山椒ビラシは『モヂラ』や『カギノテクラゲ』とする説もあり、海女は山椒の葉を揉んで作った汁を体中に塗り、山椒の枝を簪のように髪へ挿して海へ潜っていました。
昭和10年代に医者の注射で回復が早くなることがわかり、海女が磯シャツを着用するようになり被害が減少したそうです。山椒ビラシの毒は、皮膚の柔らかな部分に激しく作用し、目の粘膜や臀部等や咽喉が充血し、吐血した者もいました。
志摩では、海藻の陰などにいるクラゲの様な毒虫を『サンショクラゲ』と呼び、刺されると疼痛、発熱を生じ、海女からは最も恐れられていました。山椒ビラシは『モヂラ』や『カギノテクラゲ』とする説もあり、海女は山椒の葉を揉んで作った汁を体中に塗り、山椒の枝を簪のように髪へ挿して海へ潜っていました。
トモカヅキ
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トモカヅキとは、「同一の潜水者」という意味で、「かづく(潜く)」=「潜水する」を意味する古語で方言です。トモカヅキは、海に潜る者にそっくりに化ける妖怪で、曇天の日海に潜ると遭遇するが、鉢巻の尻尾を長く伸ばしているのでトモカヅキだとわかる=ドッペルゲンガーとも言われます。
トモカヅキは、暗い場所へと誘いアワビを差し出し、誘いに乗ると命が奪われると恐れられており、後ろ手でアワビを貰えば良いとされるが、トモカヅキに遭った海女がその通りにしたところ、蚊帳のようなものを被せられましたが、とっさに持っていたノミで蚊帳状のものを破り助かったという話もあります。
トモカヅキに遭った海女はそれ以降、ほとんど海に潜る仕事はできず、その話を聞いただけの海女でも「日待ち」と言って2、3日は海に潜らないほど恐れたそうです。
トモカヅキは、暗い場所へと誘いアワビを差し出し、誘いに乗ると命が奪われると恐れられており、後ろ手でアワビを貰えば良いとされるが、トモカヅキに遭った海女がその通りにしたところ、蚊帳のようなものを被せられましたが、とっさに持っていたノミで蚊帳状のものを破り助かったという話もあります。
トモカヅキに遭った海女はそれ以降、ほとんど海に潜る仕事はできず、その話を聞いただけの海女でも「日待ち」と言って2、3日は海に潜らないほど恐れたそうです。
尻コボシ
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尻コボシは「尻を破壊し削り取る者」を意味し、「こぼす(毀す)」は「壊す」「削り取る」を意味する古語で方言で『小法師』『子法師』の意味するとも言われます。海にもぐる海女を襲い、人間の尻子玉を抜き取る『河童』とも言われ、襲われた死体は必ず尻の穴が開いているそうです。
鉄が嫌いで、海中に鉄を落とすと尻コボシの祟りに遭うとされ、三重県志摩郡の布施田村では「天王祭の日に海に入ると尻こぼしに生き胆を奪われる」が、海女が海に入らなければならない場合は、山椒の枝を糸でまとめて首にかけると、尻こぼしを除けるお守りになると言われます。
志摩町越賀の伝承では、川に住むコボシが馬に悪戯し、蹴られて頭の皿を割られ、人間に化けて普門寺で働いていたが住職に正体を見破られ、海から大きな石を2つ運んで来て石が朽ちるまで悪戯をしないと誓ったそうです。石は、普門寺の境内と、中の浜の北東の堤防の上に『小法師石(こぼしいし)』として残されています。
鉄が嫌いで、海中に鉄を落とすと尻コボシの祟りに遭うとされ、三重県志摩郡の布施田村では「天王祭の日に海に入ると尻こぼしに生き胆を奪われる」が、海女が海に入らなければならない場合は、山椒の枝を糸でまとめて首にかけると、尻こぼしを除けるお守りになると言われます。
志摩町越賀の伝承では、川に住むコボシが馬に悪戯し、蹴られて頭の皿を割られ、人間に化けて普門寺で働いていたが住職に正体を見破られ、海から大きな石を2つ運んで来て石が朽ちるまで悪戯をしないと誓ったそうです。石は、普門寺の境内と、中の浜の北東の堤防の上に『小法師石(こぼしいし)』として残されています。
龍宮からのお迎え
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龍宮からのお迎えとは、昔話で有名な『浦島太郎』の話から来ていると言われています。浦島太郎がある日、他の子供達にいじめられていた亀を助けたことから、感謝して海に戻った亀が、今度は海に溺れた浦島太郎を助けるという物語です。
浦島太郎が溺れた時の亀のお迎えは「あの世からのお迎え」とされ、海で急に足がつって泳げなくなったり、潜った海女が潜水病にかかったりというような、急な症状のことを言ったものとされるそうです。
浦島太郎が溺れた時の亀のお迎えは「あの世からのお迎え」とされ、海で急に足がつって泳げなくなったり、潜った海女が潜水病にかかったりというような、急な症状のことを言ったものとされるそうです。
ボーシン
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ボーシンとは『舟幽霊』のことだと言われたり『海坊主』のことだと言われたりします。志摩地方だけで語られている妖怪なのか、他の地方でも語られている妖怪なのか、調べても著しく記載が少ないそうです。
舟幽霊は、全国区の海の幽霊で、海上の浮遊霊が集まった姿だとも伝えられています。『ボーシン』とは、伊勢志摩の方言か独自の表現であることには違いないそうです。
いずれにせよ、見ると良くない事が起こる『魔物』であるので、海に潜ることが仕事の海女からは特に恐れられました。
舟幽霊は、全国区の海の幽霊で、海上の浮遊霊が集まった姿だとも伝えられています。『ボーシン』とは、伊勢志摩の方言か独自の表現であることには違いないそうです。
いずれにせよ、見ると良くない事が起こる『魔物』であるので、海に潜ることが仕事の海女からは特に恐れられました。
引モーレン
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引モーレンは「海の亡霊者」と呼ばれる魔物です。ある日、船人が漁から帰る途中で、騒がしく無数に火が燃えているのを目撃します。近づくと火は消え、静寂な暗闇に戻ったそうです。
この現象は、海で遭難して死んだ亡霊が乗っている船が怪事件を起こすものだとされ、この「亡者船」は海をさまよい人をたぶらかせて岸につかせないようにすると言われます。
盆の夜に、お気から船をこぐ音が聞こえるので待っていると、音が聞こえるだけでいつまでたっても船は着かないそうです。
この現象は、海で遭難して死んだ亡霊が乗っている船が怪事件を起こすものだとされ、この「亡者船」は海をさまよい人をたぶらかせて岸につかせないようにすると言われます。
盆の夜に、お気から船をこぐ音が聞こえるので待っていると、音が聞こえるだけでいつまでたっても船は着かないそうです。
海女さんを襲う海の災い
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身ひとつで海に潜り、呼吸を止めながら漁を行う『海女』という仕事は、まさに死と隣り合わせで命がけの仕事です。ウェットスーツなどが登場し、漁が行いやすくなった現在でも、海の魔物の伝説は伝わり、災いから身を守り無事に戻ってこられるよう『セーマンドーマン』の風習や信仰は変わらずに受け継がれています。
雪が降る日も漁に出て必死になって潜ったり、17~18歳で、3月~8月の海女漁期間中に対馬や伊豆などに「出稼ぎ海女」として向かい、見ず知らずの海女仲間たちと船に乗り、対馬に滞在しながら海女漁に励んだそうです。
雪が降る日も漁に出て必死になって潜ったり、17~18歳で、3月~8月の海女漁期間中に対馬や伊豆などに「出稼ぎ海女」として向かい、見ず知らずの海女仲間たちと船に乗り、対馬に滞在しながら海女漁に励んだそうです。
岩に手が挟まってとれない
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海女は、海の中で一人孤独にしなければならない仕事です。酸欠状態になり息が絶える寸前までいったり、海藻に引っかかったり、岩礁の割れ目に手が挟まり浮き上がれないこともあります。
また、アワビやサザエなどの獲物は、水温の変化や餌となる海藻の生育に左右されるので、好機漁の年と不好機漁の年があります。危険や不漁をまぬがれたいという気持ちや、安全で大漁を願う気持ちから、海女の祈りが『セーマンドーマン』などのさまざまな形になって今も生き続けています。
また、アワビやサザエなどの獲物は、水温の変化や餌となる海藻の生育に左右されるので、好機漁の年と不好機漁の年があります。危険や不漁をまぬがれたいという気持ちや、安全で大漁を願う気持ちから、海女の祈りが『セーマンドーマン』などのさまざまな形になって今も生き続けています。
呼吸ができなくなる
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