2022年4月4日 更新

真言は唱えてはいけないのか?真言の種類と唱える際の注意点

自身を清めるため、世界の平和を願うため、日々真言を唱えている人も少なくありません。「恋人と復縁したい」「お金が欲しい」など私的理由から真言を唱えている人もいるかもしれませんね。何かしらの欲求を満たすため唱えることも多い真言ですが、種類が多く秘められた力も様々。さらには「唱えてはいけない真言がある」とまことしやかな噂まで…。真言とはいったい何なのか、また唱えてはいけない真言とはどういったものなのか、徹底解説していきましょう。

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前項の十三仏御真言と同じように、複数の仏の真言を表す六観音観自在菩薩御真言。聖観音(しょうかんのん)や千手観音(せんじゅかんのん)、十一面観音(じゅういちめんかんのん)など複数の仏が含まれています。

そのためご利益・功徳も様々。病気の治癒や財福授与、地獄に落ちないなど多々あります。ちなみに、六観音観自在菩薩御真言に名を連ねる仏は、”観音(かんのん)”と呼ばれる仏ばかりです。

仏には階層があり、位の高い順に”如来(にょらい)””菩薩(ぼさつ)””明王(みょうおう)””天部(てんぶ)”の順番となります。観音は、菩薩に成る前の修行の身とされているので、菩薩と認識して問題ありません。

四天王

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四天王の真言の中には、持国天(じこくてん)・増長天(ぞうちょうてん)・広目天(こうもくてん)・多聞天(たもんてん)の真言が該当します。戦勝祈願や国家を守護・安定させるご利益・功徳が期待される真言です。

多聞天は別名”毘沙門天(びしゃもんてん)”とも呼ばれるので、財福のご利益・功徳も期待できるでしょう。ちなみに四天王は、仏の位では天部に該当します。仏の世界観にある須弥山(しゅみせん)を守る守護神であり、それぞれに守る方角が定められている仏です。

七福神

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日本でも非常に馴染み深い七福神にも、真言が存在します。恋愛成就や商売繁盛、家庭円満など日常生活に直結するような身近なご利益・功徳が多い印象です。

ちなみに七福神には、日本・インド・中国の仏が存在します。恵比寿天(えびすてん)のみが日本の仏であり、寿老人(じゅろうじん)や福禄寿(ふくろくじゅ)、布袋尊(ほていそん)は中国の仏。それ以外は、インドの仏です。

また七福神には8番目の仏も存在しますが、地域ごとに仏の名称が異なります。

ご宝号(ほうごう)

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ご宝号とは非常に短い真言であり、仏へ感謝を伝える時や困った時、他者の幸福を願う時などに使用されます。特徴としては、仏の名称を唱えるところ。ご宝号には、聖徳太子や弘法大師(こうぼうだいし)など、学校の授業で見聞きしたことなる人物が名を連ねています。

真言では人物の名前を使用し、南無帰命頂礼聖徳太子救世菩薩(なむきみょうちょうらいしょうとくたいしぐぜぼさつ)と唱えるんです。弘法大師の真言では、南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)と唱えます。

天部・その他

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天部とは仏の位では4番目にあたる、仏や仏法を守る守護神たちのことです。仏の慈悲や力に屈服し、菩薩や明王を守る存在になったと言われています。

また、天部や上記で解説した真言の他に、数多くの仏と真言が存在するのでご紹介しましょう。愛染明王(あいぜんみょうおう)や法相如来(ほうしょうにょらい)、日光菩薩(にっこうぼさつ)などです。健康長寿や良縁・結婚成就、無病息災がご利益・功徳となっています。

閻魔大王や字体に恐怖を感じる鬼子母神(きしもじん)にも真言があり、盗難除けや災難除去がご利益・功徳です。

唱えてはいけない真言の噂と真実

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真言のご利益・功徳を見てみると、そのどれもが私たち人間にとって幸福をもたらすもののように感じますね。しかし真言を調べていくと「唱えてはいけない」とされる情報も散見されるのです。どうして唱えてはいけないのか、そしてそれらの噂は本当なのか詳しく解説していきましょう。

天部の真言は唱えると魔が差す

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天部の真言は、唱えると魔が差し、危険だという口コミがありました。天部と呼ばれる存在は、如来や菩薩、明王の下に位置づけられた仏です。上位3つには煩悩がないとされ、天部には煩悩が存在すると言われています。

つまり、私たち人間と同様または類似した欲を持っているということです。仏教の世界観では、6つの世界(六道・六界)が存在し、天部も人間も六道の住人とされています。天部は人間と違い、上位仏の世界である天道に近い場所に住むとされていますが、人間と同じようにまだ仏の世界にたどり着いていない仏です。
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人間と同じように苦しみや欲が存在することから、真言を唱えると思わぬ魔が差す可能性があります。特に聖天やダキニ天の真言は、注意が必要です。聖天の真言は、強い効果を発揮するだけに素人には扱いが難しいとされています。

ダキニ天は元々が夜叉と呼ばれる存在だったことから、賞罰がハッキリと出やすく注意が必要です。これらのことから「天部の真言は唱えると魔が差す」という噂は、当たっていることになります。天部全ての真言ではなく、注意すべき真言が含まれていると理解しておきましょう。

光明真言は唱えると地獄に落ちる

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絶大なご利益・功徳を発揮するとされる光明真言には、唱えると地獄に落ちるという噂が存在します。実際に真言を唱え、不可思議な声を聞いたという口コミも見られました。

しかし光明真言は、密教層の多くが唱える真言です。一説で光明真言は、あらゆる厄災を取り除くとされる観音の真言とされています。ですから、幸福に導くことはあれど、誰かを地獄に落とすような真言ではないのです。
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また光明真言には、唱えると霊が寄ってきて同じように唱え始めるという噂も存在します。真言は「私の道を照らし導いてください」と伝える言葉ですから、霊が近づいて一緒に唱えたとしても、問題ありません。霊とて、極楽浄土へ導かれたいだけなのです。

光明真言を唱えることに対して、様々な災いが噂されている理由の一つに、宗教間の認識の相違が考えられます。日蓮宗や浄土真宗は、法華経や念仏といった真言以外の呪文を唱えるんです。真言に対して否定的になってしまうのも、宗派の違いが考えられます。

こうした理由から、”光明真言は唱えると地獄に落ちる”という噂は間違いだと言えるでしょう。

ご利益目的で光明真言を唱えると罰が当たる

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ご利益目的で光明真言を唱えると罰が当たるという噂は、100%ウソというわけではありません。そもそも光明真言に限ったことではありませんが、突然思い出したように呪文を唱え、都合のいい利益を求められれば仏であってもいい気分はしませんね。

神社にお参りに行ったとき「お願い事をしてはいけない」とされるのも同様の理由です。信仰心も敬う気持ちもなく生活していて、困った時だけ助けて欲しいは失礼極まりない行為となります。

またご利益・功徳で真言を選んだり、最も効果がありそうな真言を見聞きし選ぶ方法もNGです。真言は、仏への信頼と帰依を文字にしているので、効果を疑っていたり効果だけで選んでしまうと非常に罰当たりとなります。真言を選ぶ時は、自身や家族と縁のある仏・真言にしましょう。

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