2019年3月16日 更新

障害者の性事情は?当事者が抱える悩みと性介護の実態

障害者を対象にした「性介護」といったサービスに、注目が集まっています。自身で性欲を満たすことができない障害者にたいして、女性介護士が性的行為の手助けをするのです。この記事では、知られざる障害者の性や、それらをサポートする性介護の実態についてご紹介していきます。

意外と知らない障害者の性事情

Wheelchair Disability Injured - Free photo on Pixabay (105926)

通常の人とは違い、生活に何らかの支障をきたしている人たちのことを「障害者」と呼びます。「害」という漢字が不適切だと言われることもあり、「障碍者」「障がい者」と記載する場合もあるでしょう。

障害の種類としては、身体的要因によって障害のある「身体障害者」、知的要因によって障害のある「知的障害者」、精神的要因によって障害がある「精神障害者」に別れています。

また、成長スピードが通常の人と違ったり、一部の発達が見込めないなど、それらが要因となる「発達障害」などもあり、聞いたことがある人も多いでしょう。
Wheelchair Spacer Child Care - Free photo on Pixabay (105927)

障害者には、それぞれにできないことや、他人と大きく違う点があります。同じ障害名であっても、全ての人たちに等しい症状として現れるわけでもありません。しかし、障害者であっても、通常の人たちと同じ部分も多数存在しています。それは、三大欲求の一つでもある、性欲などです。

数十年前までは、障害者と「性」を切り離して考える傾向が強く、障害者の性欲に注目される機会はほとんどありませんでした。しかし近年、障害者の生活環境や人権に注目する機会も増え、社会進出へのサポートや生活へのサポートも充実し始めたと言えます。

そして、生活サポートのさらに充実を目指した結果、障害者の「性」にも注目する必要があり、それらにたいするサポートが必要だとも言われるようになったのです。

3大欲求が満たされないもどかしさ

Woman Desperate Sad - Free photo on Pixabay (105955)

人間には、さまざまな欲求が存在しています。人に認められたいという欲求である「承認欲求」や、お金が欲しい、物が欲しいなどという感情も、人間が持つ欲求です。

そういったさまざまある欲求の中でも、特に強い欲求として表れ、それらが十分に満たされていないと生活が円滑に進められない欲求が「三大欲求」と呼ばれる欲求になります。「三大欲求」と認知されている欲求の一つが、性欲であり、障害を持った人たちはそれらが満たしにくいといえるのです。

三大欲求は、その一つ一つが十分に満たされることも大切ですが、3つ全てのバランスも非常に重要だと言えるでしょう。どれか一つが過多に満たされている状態も、どれか一つが満たされない状況も、理想的ではないのです。つまり、食欲と睡眠欲を満たしていても、性欲が満たされなければ、充実した生活とは言えません。

身体的障害者の性の悩み

Action Adult Paralympics - Free photo on Pixabay (106403)

持っている障害によって、「性」にたいする悩みも異なっていきます。つまり、身体に何らかの障害がある、身体障害者の性の悩みと、知的部分に障害を持つ知的障害者の抱えている性への悩みは、違うということです。

障害者の性を充実させたり、性介護サービスを議論するためには、まずこういった違いを理解することが必要でしょう。ここからは、身体障害者の性の悩みについて、ご紹介していきます。

セックスができない

Bed Bedroom Blanket - Free photo on Pixabay (106404)

身体障害者と一括りに呼んでいても、実際の状況は個人によって大きく異なっています。例えば、足だけが動かせない障害者もいれば、手足が十分に動かせない障害者もいるのです。また、下半身に感覚がなかったり、欠損している障害者もいます。

こういった理由から、セックスすることが難しい場合もあるのです。下半身の感覚がなかったり、鈍かったりすると、異性に触れられても感覚がありませんし、勃起しない場合もあります。また、身体を思い通りに動かせないことから、セックスが難しい障害者もいるのです。

パートナーとのセックスレス

Bed Sleeping Couple - Free photo on Pixabay (106405)

前項でご紹介したように、障害の度合いや程度によって、セックスが難しい場合があります。そのため、パートナーがいたとしても、セックスが行えず、セックスレスになることもあるのです。

パートナーが障害を正しく理解していない場合、適切なサポートができませんし、障害者とのセックスを誰かが教えてくれるわけでもありません。セックスや性に関する事柄は、パートナーであっても言いにくい部分があるでしょう。

しかし、障害者とのセックスはより綿密なコミュニケーションをとることが必要になります。それらが十分にできていない場合、セックスレスに陥るケースも少なくありません。

自慰行為ができない

Banana Breakfast Colorful - Free photo on Pixabay (106408)

障害の部位や程度によって、自分で思うように身体を動かせない障害者もいます。そのため、性欲が溜まっても、自分自身で解消することが難しいのです。手のひらや腕が思うように動かせない場合や、握力がない障害者なども、自慰行為が難しいでしょう。

夢精をしても処理できない(男性)

Sperium Cum Sperm - Free photo on Pixabay (106410)

身体障害者の中には、自分の身の回りの事柄が、自分自身で処理できない人も大勢います。起き上がることや、立ち上がること、何かを運んだり、家事を行うことも難しい身体障害者もいるのです。

そのため、性欲が溜まり夢精してしまっても、それを自分で処理することができません。下着を変えることも、着替えることも難しい場合があるのです。

知的障害者の性の悩み

Mental Health Psychology - Free image on Pixabay (106411)

身体障害者の性の悩みの次は、知的障害者が抱えている性の悩みについてご紹介していきます。知的障害者も、身体障害者と同様に、個人個人によって障害の程度は大きく異なるのです。そのため、性を正しく理解することや、性行為を正しく行うことが難しい場合もあります。

性欲はあるのに対処法が分からない

People Couple Elderly - Free photo on Pixabay (106412)

知的障害者といえば、両親に手を引かれていたり、ヘルパーに手を引かれているようなイメージを持っているでしょう。おぼつかない足取りや、不安定な外見的要素から、年齢よりも幼く見られがちです。しかし、知的障害者であり、幼く見えているとしても、身体の成長とともに性欲は一般人と変わらず芽生えます。

しかし、知的障害者への性教育は充実しているとは言えません。避妊や妊娠、出産など性行為に関する事柄を正しく理解することが難しい場合もあり、そういった懸念があることから、性行為について触れさせないようにしたり、性教育を行わないこともあるのです。

そのため、知的障害者が性欲を感じても、それらの欲求をどのように解消したらいいか分かりませんし、具体的な行動をとることもできません。性欲があるのに、対処法が分からないというのが、知的障害者の性に関する悩みの一つなのです。

自慰や性行為の仕方を教えてもらえない

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