2019年3月13日 更新

「甘んじて」の意味と正しい使い方は?日大のコメントが問題視された理由

今回は、ニュースを騒がせた日大の「甘んじて」コメントを取り上げて、「甘んじて」という言葉の本当の意味を考察しながら、類語なども挙げてこの言葉の正しい使い方を検証していきます。日大のコメントがどうして問題視されたのか、その理由が見えてくるはずです。

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この「受容する」の意味は、『広辞苑第6版』では、「受けいれて取りこむこと」となっています。用例としては、「ヨーロッパ文明を受容する」が挙げられています。「ヨーロッパ文明を受け入れて(日本文明に)取り込む」ということですね。

『デジタル大辞泉』では、「受け入れて、とりこむこと」となっていて、「外国文化を受容する」という用例が挙げられています。「外国文化を受け入れてとりこむ」という意味です。

『大辞林第3版』では、「うけいれること」となっていて、用例としては、「西欧文明を受容する」と「受容性に富む」が挙げられています。

受け止める

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この「受け止める」の意味は、『広辞苑第6版』では、ボールなど衝撃を受け止めるといった意味以外で、「そらさずに、引き受ける。きちんと対応する」となっていて、用例としては、「批判を受け止める」が挙げられています。「批判にきちんと対応する」という意味です。

『大辞林第3版』でも、衝撃などを受け止めるといった意味以外では、「 外からの働きかけを受けてそれに対応する。取り組む」としていて、用例としては、 「自分自身の問題として受け止める」を挙げています。つまり「自分自身の問題として取り組む」という意味の文章です。

甘んじての例文を紹介!

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ここでは、「甘んじて」を使った例文を挙げて、その例文においての「甘んじて」の意味を考察していきます。

今の環境に甘んじている

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この文章の意味は、「今の環境が最高だとは思わないけれど、まあ、そこそこに満足している」といった意味でしょうか。つまり、この「甘んじて」には、「与えられたものを仕方なく受け入れる」とか「不満はあるが、まあ、よしとしようか」といった意味が含まれています。

ほかの類義語で言い換えると、「今の環境を甘受する」という表現が最も近いといえます。

ただ、前後の文章によっては、「快く思っている、満足している」といった肯定的な意味にとることができます。例えば、「多くの人のおかげで今の環境に甘んじていることができる」といったような文章の場合は、「今の環境に満足できるのは、多くの人のおかげだ」といったような意味になって、肯定的な意味で使われていると考えることができます。

その処分を甘んじて受けざるを得なかった

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この文章は、「くだされた処分に納得がいかないけど、それを受け入れるしかなかった」といっています。つまりこの場合の「甘んじて」も、「納得がいかないけれど、不満があるけれど、仕方なく受け入れる」といった意味で使われています。

この例文の場合、「ざるを得なかった」という否定的な意味につながっていることを考えると、肯定的な「快く思って、満足して」といった意味が含まれていると考えることは難しいといえます。

先方の提案に甘んじて妥協することにした

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この例文は、「先方が出してきた提案は、満足いくものではなかったが、欲をいえば切りがないから、まあこの辺でよしとしよう」という意味を表しています。

つまり、この場合の「甘んじて」も、「満足いかないが、納得いかないが」といった否定的な意味を含んだ使われ方をしています。

以上のように「甘んじて」には、「もっと頑張れるのにそれをしない」、「そこそこでよしとしよう」といった意味が含まれているのがわかります。

日大で使われていた「甘んじて」

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日大(日本大学)と関学大(関西学院大学)のアメリカンフットボールの試合において、日大の選手が悪質なタックルをして関学大の選手に負傷を負わせた事件で関学大が行った記者会見に対して、日大の企画広報部がコメントを発表したのは2018年5月26日のことです。

その日大のコメントで不適切な言葉が使われていたとしていろいろなところで批判が勃発して問題になりました。その不適切な言葉というのが「甘んじて受け入れる」でした。

以下では、そのコメントを取り上げて、どういったところが不適切だとされて、多くの方から批判を受けることになったのかを考察していきます。

「ご批判は甘んじてお受けいたします」と言った会見内容

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この問題に関して、関学大は、送付した抗議文に関して日大が返してきた回答書に誠意がないといったコメントを記者会見で発表しました。それに対して、日大企画広報部は、次のようなコメントを発表しました。

「本学と関西学院大学とのアメリカンフットボール定期戦で、本学選手が違反プレーにより関西学院大学の選手を負傷させた件で、本日、関西学院大学フットボール部が記者会見を行い、本学アメリカンフットボール部からの回答書に対し、強い疑念と不信が表明されました。関西学院大学から示された厳しいご批判は甘んじてお受けいたします。(以下省略)」

そして、このコメントの中で使われていた「甘んじてお受けいたします」という表現が問題となって、ツイッターをはじめとする一部の媒体で炎上してしまったのです。

炎上した理由

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では、どうしてこの「甘んじてお受けいたします」が炎上してしまったのでしょうか。みなさんもよくご存知のように、このアメフトの問題は日大側に非があったわけです。日大はそれを真摯に受け止めて誠意ある回答を関学大にしなければならない立場にあったのです。

しかし日大は、その回答に「関西学院大学から示された厳しいご批判は甘んじてお受けいたします」といってしまったのです。つまり、この一文が、「関西学院大学から示された厳しいご批判は、納得はいかないけれども、お受けいたします」というニュアンスで伝わってしまったのですね。

そうなると「まったく反省していないではないか」といった反論が生じてもおかしくはありません。それでなくても、非難の真っただ中にいる日大です。火に油を注いでしまったわけです。

日大が本来使いたかった甘んじての意味

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おそらく日大は、「関西学院大学から示された厳しいご批判は、ごもっともだと納得して、受け入れます」といいたかったのではないでしょうか。つまり、この「甘んじて」を文句や異論などなく受け入れるといった意味で使いたかったのではないでしょうか。

ただ、この「甘んじて」に、肯定的な「満足して」と、否定的な「納得がいかないけれども、不満はあるけれども」といった意味があることを理解したうえで、あえて肯定的な意味「満足して=もっともだと納得して」というように使ったのかどうかは定かではありません。

この件きっかけで甘んじてのネタ化する風潮も

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