2019年8月8日 更新

ハリネズミのジレンマの意味とは?恋愛で陥る心理やヤマアラシとの違い

あなたは「ハリネズミのジレンマ」という言葉を聞いたことがありますか? 言葉は聞いたことがあるけれど、どういった意味なのかはよくわからない。 そんな人も多いのではないでしょうか? ここからは、ハリネズミのジレンマとは、どういった意味を持つ言葉なのか、詳しく説明していきます。

目次

ハリネズミのジレンマの意味とは

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あなたは「ハリネズミのジレンマ」という言葉を聞いたことがありますか?
言葉は聞いたことがあるけれど、どういった意味なのかはよくわからない。
そんな人も多いのではないでしょうか?

ここからは、ハリネズミのジレンマとは、どういった意味を持つ言葉なのか、詳しく説明していきます。

どのような理論か

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まずは、ハリネズミのジレンマとは、人間関係における心の距離をハリネズミに例えた、哲学者ショーペン・ハウエルの寓話を元に、フロイトが考案し、アメリカの心理学者ベラックが名付けた理論になります。
あなたもハリネズミはご存知だと思いますが、ハリネズミは長い針を身にまとった小動物です。

ハリネズミも動物なので、寒いときは暖を取るために、仲間のハリネズミに身を寄せようとしますが、お互いの針が邪魔をして体を寄せ合うことができません。

相手に近づけば自身と相手の針によって、お互いの身体を傷つけてしまいます。
お互いに身体を寄せ合いたいと思っていても、近寄ることはできない。

身体を寄せ合えば、お互いの針が刺さってしまい痛みによって離れたいと思う。
しかし、針がお互いに刺さってしまうと、刺さった針によって離れることができない。

相手に寄り添いたいのに、針が邪魔をして近寄れない。
寄り添えば針が刺さってしまい、苦痛によって離れたいのに離れることができない。

こういった状態を、人間関係に例えたのが「ハリネズミのジレンマ」というわけです。

人間関係では、お互いに針が刺さらない距離が違います。
そういった距離感を保って付き合うことが、人間社会では求められるということを提唱した理論になります。

元となった寓話とは

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「ハリネズミのジレンマ」は元になった寓話があります。
それが、ショーペン・ハウエルが書いた随筆集『余禄と補遺(パレルガ・ウント・パラリポメナ)』になります。
この随筆集の第二巻にあった寓話をフロイトが引用したものになります。

詳しい経緯は後述しますが「ハリネズミのジレンマ」と「ヤマアラシのジレンマ」は同様の意味を持つ言葉になります。

ショーペン・ハウエルが書いた随筆集においては「ヤマアラシ」となっています。
ハリネズミのジレンマにおいて、2匹のハリネズミを想像する人も多いかと思いますが、ショーペン・ハウエルが書いた随筆集の中では、2匹という限定はなく一群だとされています。

ショーペン・ハウエルが書いた随筆集は日本語訳でも発売されております。
秋山英夫 訳『ショーペンハウアー 随想録』白水社

こちらの本にヤマアラシの原典となる『余禄と補遺』が収録されていますので、気になる方は原作を読んでみることをお勧めします。

心理学の理論に発展した経緯

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ハリネズミのジレンマについて初めに論じだのはフロイトですが、精神分析として心理学の見地から名付けたのは、アメリカの精神分析医ベラックになります。

ハリネズミのジレンマは、近づきたくても近づけない。という否定的な意味で捉えられることの多い言葉ですが、心理学的には紆余曲折の末に、お互いにとってちょうど良い心理的な距離に気が付く。という肯定的な意味としても使われます。

心理学のひとつであるので、指数を図ることもできます。
アメリカの精神分析医ベラックが提唱しているのが「ハリネズミ(ヤマアラシ)指数」です。

P.I(ヤマアラシ指数)=刺激の数×強度×持続

これがどういったものかというと、3人の友人に1週間に平均して1回、一人につき100分間会っていたとします。

その場合、
P.I=3×1×100=300と計算します。

3人の友人に1週間で10回、それぞれ10分間会った場合は、
P.I=3×10×10=300となります。

結果として導き出される数字は同じものですが、前提条件が違うこの二つは違った意味を持ちます。

この二つのパターンを比較すると、1週間に1回それぞれ100分会っているよりも、1週間で10回それぞれ10分会ったパターンの方が、人間関係は表面的であると言えます。

ヤマアラシのジレンマとの違いは?

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ハリネズミのジレンマに似た言葉で「ヤマアラシのジレンマ」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。
ハリネズミのジレンマと、ヤマアラシのジレンマ。

なぜ、似た言葉が二つ生まれて定着しているのでしょうか?

ここからは、ハリネズミのジレンマとヤマアラシのジレンマについて、詳しく説明していきます。

もともとは「ヤマアラシのジレンマ」

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ハリネズミのジレンマとヤマアラシのジレンマは同じ意味を持つ言葉になります。
アメリカの精神科医レオポルド・ベラックが名付け親なのですが、ベラックが名付けた際には「ヤマアラシのジレンマ」と名付けていたのです。

ベラックの代表的な著書のひとつに『山アラシのジレンマー人間的過疎をどういきるかー(The Porcupine Dilemma, Reflections on the Human Condition,1970)』というものがあることからも、もともとは「ヤマアラシのジレンマ」だったことがわかると思います。

では、いつから「ハリネズミのジレンマ」という言葉が定着していったのでしょうか?

次に「ハリネズミのジレンマ」が定着した経緯について、説明していきます。

アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」で「ハリネズミのジレンマ」が定着

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「ハリネズミのジレンマ」という言葉が定着した背景には、社会現象にもなった大人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の影響があります。

アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」において「ハリネズミのジレンマ」という言葉が初めて登場したのは第4話「雨、逃げ出した後」でした。

この話のワンシーンで、登場人物たちの会話にでてくるのが「ハリネズミのジレンマ」でした。

新世紀エヴァンゲリオンは、主人公の少年の心の成長にもフォーカスした作品であり、主人公の心情や性格について登場人物たちが会話をしているシーンにおいて、「ハリネズミのジレンマ」は使われたのです。

新世紀エヴァンゲリオンは、平日の夕方に放送されていたアニメで平均視聴率は7.1%でしたが、その後、再放送や映画化などで社会現象となり、多くの人に「ハリネズミのジレンマ」という言葉を定着させたのでした。

「ハリネズミのジレンマ」という言葉を日本に定着させたのは新世紀エヴァンゲリオンであるといっても過言ではないでしょう。


現在はどちらも同じ意味で使われている

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「ハリネズミのジレンマ」と類似した言葉に「ヤマアラシのジレンマ」がありますが、意味はどちらも同じです。

どちらが先に生まれた言葉かといえば、ヤマアラシのジレンマが先に生まれた言葉ではありますが、社会現象にもなったアニメ新世紀エヴァンゲリオンよって、ハリネズミのジレンマが定着したこともあり、言葉が持つ意味は同じものを指すようになりました。

ハリネズミのジレンマを感じたことがある?

ハリネズミのジレンマは一見変わった現象だと思われがちですが、実は日常的によくありがちな現象です。

ハリネズミのジレンマを感じたことがあるか、男女200人を対象に独自にアンケート調査を行いました。
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アンケートの結果、「ある」が69%、「ない」が31%と、約7割の男女がハリネズミのジレンマを感じたことがあると回答しました。

多くの方が感じたことのある現象ですが、実際どのような場面で感じるのか見つけていきましょう。
・ありのままの自分をさらけ出したら嫌われると思う。(26歳、男性)

・距離ができるのが怖くて本当の気持ちを言えない。(24歳、女性)

・自分の何気ない一言で相手を傷つけたくない。(30歳、女性)

・プライド的に素でいられないことがある。(36歳、男性)

・好きな人の前では変にキャラを作ってしまう。(18歳、女性)
ハリネズミのジレンマを感じてしまう原因は様々なものがあるようです。

特に恋愛が絡んでくるとより顕著に表れる現象ですが、ハリネズミのジレンマの特徴とその対処法についてみていきましょう。

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