2019年7月25日 更新

触れたもの全てを凍らせるブライニクルの恐怖!氷の原理や特徴

海のなかにつららができる現象、“ブライニクル”。触れたものすべてを凍らせてしまうことから、“死のつらら”とも呼ばれています。どのようにして海中につららが生まれ、すべての生物を凍らせてしまうのでしょうか?その原理や特徴をご紹介いたします。

ブライニクルが海底に到達するために必要な条件

Graphic Icicle Icicles - Free vector graphic on Pixabay (508621)

前項では、海底に到達する部分まで解説いたしましたので、ここでは、ブライニクルが海底に到達するために必要な条件を解説していきます。また、その理由についても説明をしていきます。条件が整わないと成立しないため、映像として記録するのも非常に困難なものだとわかります。

海底に到達するための条件

Antarctica Paradise Bay Cold - Free photo on Pixabay (508630)

海氷から塩水が流れ続け、周囲の水はこの塩水よりも塩分濃度が大幅に低くなければいけません。そして、海底に届くには、水深が深すぎず、海氷も流れておらず、周囲の水流は無い、もしくはあっても極めて弱いものである必要があります。これが主な条件といえます。

もし水深が深すぎると、ブライニクルは海底に到達する前に、自身の重みで自壊してしまいます。また、海氷が流れているか水流が強すぎる場合も、変形により破壊されてしまうのです。

2011年にBBCが映像撮影に成功

Fryxellsee Antarctica Blue Ice - Free photo on Pixabay (508632)

初めて撮影されたBBCの映像について解説いたします。どのような状況下での撮影だったかや、映像に写っている内容の詳細説明いたします。ブライニクルの現象は瞬時に凍るというわけではないため、人間が触っても瞬時に氷るわけではないため、撮影ができたわけですが、長時間その場にいる事は危険です。

BBCの撮影映像

Iceberg Ice Floe Antarctica South - Free photo on Pixabay (508636)

南極大陸ロスエーゲ海の近くにある小さな島ラゾールバック。凍てつく寒さの中、なんとイギリスのテレビ局BBCのカメラクルーは、驚異の自然現象の撮影に世界で初めて成功したのです。この映像撮影時の海中の温度は驚愕のマイナス1.9度でした。しかも、海面の温度はなんとマイナス20度だったそうです。

この寒さの中、カメラクルーは5~6時間も海底に座り続けていたというのです。これだけを聞いても、かなり困難でリスキーな状況下で、身の危険を呈して撮影された貴重な映像であることが分かります。

逃げ遅れたヒトデやウニ

Vacations Beach Summer - Free photo on Pixabay (508663)

映像では、早送りで5分ほどの映像でまとまっているため、非常に気軽に拝見することができます。動画サイトなどで、「ブライニクル」と検索すればすぐに出てきます。ヒトデなども、動きが遅いため、体の一部でも捉えられてしまうと、もう逃げる事ができず、凍るのを待つしか無い状態になります。

逃げ遅れた生物がどんどん氷漬けになっていく映像は、非常に恐ろしくもあり、まるで映画のワンシーンかのようです。海底でこのようなことが起こっているとは、多くの人が予想だにしない出来事です。一度は拝見しておくことをお勧めいたします。

熱湯が吹き出る海底もある?

Background Blue Floor - Free photo on Pixabay (508669)

ブライニクルは冷たいものというイメージですが、それとは逆に、熱湯が吹き出す海底があります。熱水噴出孔というもので、チムニーなどと言われることもあります。ここでは、その熱水噴出孔について詳しく解説をしていきます。

熱水噴出孔

Jellyfish Medusa Wildlife - Free photo on Pixabay (508670)

チムニーとも呼ばれる熱水噴出孔ですが、英語でチムニーは「煙突」という意味を持つ言葉です。海洋学では、煙突状の構築物の一つである「熱水噴出孔」を意味する言葉として使われています。つまり、煙突のように海底からつき出しているそのかたちから、「チムニー」と呼ばれているのです。

チムニーから噴き出される熱水には、黒、灰、白、透明と様々な物がありますが、墨汁のような真っ黒い色をしているものをブラックスモーカーといい、非常に多くあります。成分としては、硫黄の化合物が多く含まれているため、黒い色がついているのですが、この黒い熱水が出る様子も、まるで黒い煙を勢いよくはき出す煙突(チムニー)を連想させます。

熱水噴出孔の温度

Thermometer Summer Heiss - Free photo on Pixabay (508683)

陸上では水は100℃で沸騰して蒸発します。つまり、100℃以上の熱水はできないはずですが、水の中に何かが解けこんだり、大きな圧力がかかったりすることで、その水の沸点は上がります。チムニーがある海底付近は、海水によって地上の200倍程度もの大きな圧力がかかっています。

さらに、チムニーから噴き出す水には塩分や金属成分がたくさんとけているのです。そのため、200~400℃という地上では考えられない温度の水が存在するのです。重金属など、通常の生物にとっては有害な物質が多く含まれているのですが、チムニーの周りを調べると、他の海底域よりも多くの生物が集まっていました。

チムニーを見てみると、噴き出される熱水に含まれている化合物を食べて、有機物を合成する微生物がいることが判明しました。太陽光が届かなくても、熱水に含まれる化合物をもとに有機物をつくる微生物がいるため、その有機物を求めて、多くの生物がチムニーに集まってくるというわけです。

熱水噴出孔付近に生息する生物

Coral Reef Sea - Free photo on Pixabay (508676)

チムニーは、今から30年前の1977年に、赤道直下のガラパゴス諸島沖の太平洋海膨で米国の潜水調査船「アルビン号」により発見されました。それ以来、太平洋、大西洋などのプレート境界部分といった、地殻変動が活発な場所でたくさん発見されています。

しかし、チムニーがたくさん発見されても、その周辺で見られる生物の種類はだいたい同じだったのです。なぜ同じ生物がそこまで広く分布しているのか、謎はまだ解決されていませんが、年代の古い太平洋からインド洋を経由して大西洋の海嶺を伝って散らばっていった説が有力です。

また、チムニー周辺の環境は、地球が誕生して間もない頃の環境とよく似ています。チムニーやそこに集まる生物を研究することは地球上に生息する生物がどのようにして生まれてきたのかを考えるうえでもとても重要なことだとして、注目されています。

世界で起こっている恐怖の自然現象

Earth Globe Moon - Free photo on Pixabay (508697)

ここでは、世界で実際に起こっている他の自然現象を紹介いたします。海底など、まだ探索されていない部分もあるため、これから新しく発見される現象も期待されています。紹介しきれないほどの自然現象があるなかで、代表的な現象として、3つご紹介いたします。

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