2019年9月19日 更新

暗黒舞踏とは?暗黒舞踏を作った土方巽や歴史について紹介!

あなたは『暗黒舞踏』という言葉を聞いたことがありますか?いかにも、おどろおどろしい感じのする響きですが、実はこの『暗黒舞踏』は日本人が生み出した踊りなんです!今回は日本人とはかけ離れたイメージのする日本発祥の『暗黒舞踏』について、詳しくご紹介します!

『暗黒舞踏』が人気の理由として、まず第一に他のダンスにはない狂気を感じられるからということが挙げられます。暗黒舞踏とは踊っている人と踊らせている人、両者が意図したわけでもないのに、舞台を見ている人の心に狂気と恐怖を呼び覚ますダンスで、踊る姿はまるで邪悪な存在へその身を捧げているようにさえ見えると言います。

古来よりダンスとは、日本の盆踊りのように人々の一体感を向上させたり、神楽のように神様に捧げる大事な神事として存在してきました。しかし、日本にある伝統的な踊りや西洋のバレエやモダンダンスなどで狂気を感じるということはまず無いでしょう。

ホラーを感じられるのがいい

Zombie Horror Monster - Free photo on Pixabay (644424)

『暗黒舞踏』が人気の2つ目の理由として、ホラーを感じられるのがいいということが挙げられます。映画のジャンルの一つにホラー映画または恐怖映像というのがありますが、こういったジャンルが誕生するということは、それだけ恐怖感を味わって楽しむことを望んでいる人が世の中に存在するということです。

ただ、ホラー映画と『暗黒舞踏』が違うのは、ホラー映画は見ている観客に恐怖を与えるために、あえてゾンビや殺人鬼・幽霊などの素材や題材を選びますが、『暗黒舞踏』の場合は「次にこうなる」というパターンが存在しないため、その場所やパートナー次第となり、先の読めない展開にホラーを感じることが出来るのです。

明るいダンスを暗く表現できる才能が凄い

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『暗黒舞踏』が人気のある理由として、3つ目に明るいダンスを暗く表現できる才能が凄いということが挙げられます。

『暗黒舞踏』はこの世で起こるあらゆる出来事や人間の感情を濃縮して体で表現するダンスです。ですが、元々暗黒を表現する存在であるため、『暗黒舞踏』の舞踏家は明るいダンスを暗く表現することが出来ます。

土方巽の舞台作品の中には『バラ色のダンス』という文字通り暗黒舞踏でありながらも明るい作品がありますが、「バラ色のダンスも暗黒舞踏も全て悪の体験の名の元に血を噴き上げねばならぬ」という土方の方針のもとに、舞台に登場する人も犬も背を向けた状態で舞台奥に並べられ、まるで無機物の様にレイアウトされていたと言います。

他のダンス以上に想像が膨らむため

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『暗黒舞踏』が人気のある4つ目の理由として、他のダンス以上に想像が膨らむためということが挙げられます。

『暗黒舞踏』には「何を表現するのか」具体的なテーマが提示されることがありますが、そのテーマと言うのが『自身の体の中でカレイ(魚)が泳いでいる』『郷愁をまっすぐ歩くことだけで表現する』『花火の家族の一致団結』と言った実際の所何を意味しているのか全く分からないものもあり、そのため舞台上で踊り手は手探りで演技を始めます。

そして、それを見ている観客たちは「何か宗教的な意味合いがあるのではないか?」「この部分はどういう思いでその動きをすることになったのだろう」といった想像力を膨らませることが出来るのです。

言葉にはできない表現があるから

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『暗黒舞踏』が人気のある5番目の理由として、言葉にはできない表現があるからということが挙げられます。土方巽は、言葉だけではなく、フランシス・ベーコンやアンリ・ミショーの絵画やオブジェなどの芸術作品から着想を得る事もあったと言われています。

そもそも暗黒舞踏とは言葉で表現することが難しく、西洋の伝統舞踏であるバレエとは対極に位置するダンスとされているのです。土方自身も『暗黒舞踏』とは、頭で考えるものではななく、身体が身体のままに動く身体表現であると述べています。

『暗黒舞踏』は、言葉にできない、普通に人間が頭で考えてすることのない動きをあえてすることで、理性と言う秩序の中に組み込まれない肉体の言語を表現するダンスであり、言語化できないということは理解できないということでもあるので、人によっては恐怖を感じることもあるのでしょう。

暗黒舞踏は海外でも人気!

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『暗黒舞踏』があまりにも奇妙で受け入れられないと感じている日本人が多く存在するのに対し、『暗黒舞台』の虜になっている人が海外に沢山いることは特筆すべきことです。また海外では『暗黒舞踏』を見たことがキッカケとなり表現者の道を歩むことを決意した人が増えていることも注目に値する事実です。

同じ『暗黒舞踏』を見ても日本人と海外の人でこうまで評価が分かれるのは、一体どうしてなのでしょうか?暗黒舞踏が特に人気があるとされる国についてご紹介します。

アメリカ

New York Skyline City - Free photo on Pixabay (644448)

ダンスの本場と言われるニューヨークでは、ブロードウェイミュージカルはもちろんのこと、モダンダンスやバレエ、コンテンポラリーダンス、タップダンスやヒップホップなど、様々なジャンルのダンサーたちが競い合いシノギを削っていると言われています。

そんなニューヨークでは、土方巽が創設した『暗黒舞踏』が『BUTOH』という名前で広まってきているのだそうです。ニューヨークでそれまで盛んだったダンスは観客を楽しませ感動してもらうための工夫に溢れたものでした。しかし『BUTOH』は観客を楽しませるものではなく、踊り手が内面で感じていることを感じるままに体で表現するダンスです。

海外で活躍する『とりふね舞踏舎』の公演に関してニューヨークタイムズは1994年にこのように述べています。「(舞踏家の)三上賀代は、確かに非常に強く激情と救済という感覚を創出する。あまねく部分に鮮烈なイメージがあった。明らかに誠実な作品である。」

パリ

Paris France Bridge - Free photo on Pixabay (644450)

フランスパリには、コンテンポラリーダンスを中心として世界中から集められた優秀な作品を上演する市立劇場があります。日本の舞踏団である山海塾は、この市立劇場を拠点として『暗黒舞踏』を世界に対して発信し続けています。

また、暗黒舞踏といダンスを海外に知らしめる先駆け的な存在で、女性だけの舞踏グループ「アリアドーネの会」を同じく舞踏家の室伏鴻さんと立ち上げた池田カルロッタさんも、フランス・ボルドーを拠点として活動していました。

このようにフランスパリは日本の『暗黒舞踏』が一番最初に大きな衝撃を持って受け入れた都市であり、多くの日本の舞踏家が活躍する地でもあるのです。

暗黒舞踏が出てくるゲームを紹介!

People Religion Flame Day Of The - Free photo on Pixabay (644539)

実は、暗黒舞踏が出てくるゲームがあると言われているのですが、ご存知でしょうか?あるシュミレーションゲームのオープニングは、真黒な背景に何かを訴えかけるような瞳をした少女達が、必死に腕を振り、謎の飛翔を繰り返す、まるで『暗黒舞踏』を見ているような映像と言われています。

ある人はその動きを見て拳法のような構えに暗黒太極拳と言ったり、霊的な何かを感じ取った人は死霊の盆踊りと呼んだりしているようですが、真偽のほどは定かではありません。それでは、『暗黒舞踏』が出てくるゲームをご紹介します。

センチメンタルグラフティ

Peacock Butterfly Insect - Free photo on Pixabay (644540)

センチメンタルグラフティは、1998年1月22日に発売された恋愛シュミレーションゲームで、ある日主人公の元に差出人不明の手紙が届くことから始まります。

かつて小学校4年生から中学校卒業までの約5年半、日本全国の12都市を転校生として転々としていた主人公は、その12都市の中で出会った少女の一人ではないかと思い、手紙の差出人を探す旅に出るというストーリーです。

しかし、肝心の内容であまり良い評価をされていない作品と言われており、中でも時代を先取りしすぎたと言われるまるで暗黒舞踏の様な前衛的オープニングが致命的とされています。

暗黒舞踏はこれから世に引き継がれていく日本の文化的な踊り

Gang Dark Gloomy - Free photo on Pixabay (644588)

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