2019年7月26日 更新

タサダイ族とは?世界十大詐欺事件と言われた真相と騙した理由!

世界には詐欺事件によって巨額の富を得た人もいます。フィリピンの少数民族、タサダイ族は20世紀になって発見された文明を持っていない原始人として世界の注目を集めました。しかしこれは後に資金目的の詐欺であったと明らかになります。今回は事件の真相や経緯を紹介します。

目次

タサダイ族は1960年代に発見され、約30年後に国を挙げて世界を騙した重大詐欺事件として扱われるまで、そこに本当に少数民族が存在するかのように振る舞ってきました。

発見された当時はまだ原始的な生活をしている民族がいると世界が驚き、彼らの写真が「ナショナルジオグラフィック」の表紙に選ばれたほどです。

では発見から終わりまで何が起こっていたのでしょうか。時系列に沿って出来事を見ていきましょう。

1960年代に猟師によって発見され世界から注目を集める

Deer Stag Hart - Free photo on Pixabay (506066)

タサダイ族は1960年代後半に偶然発見されました。地元の猟師であるデファルが野ブタを捕まえようと罠を設置していたところ、見慣れない足跡を発見しました。それを辿って歩いていくと、木の根を掘り起こしている、木の葉の腰みのを纏っている3人に出くわしました。

逃げる3人を追いかけ、彼は民族が暮らす地域にたどり着きました。言語が通じなかったため、ジェスチャーのみで何とか会話をし、危害を加えないことを伝えました。

彼は帰った後この出来事を環境庁に報告し、その報告を元に政府が調査団を派遣し、民族が確認されました。世界の報道局も詰めかけ、これまで孤立していたタサダイ族が一気に世に知られたのです。

1974年タサダイ族居住区への侵入を禁止する

Fence Post Barbed Wire - Free photo on Pixabay (506061)

1974年には、当時の大統領フェルディナンド・マルコスによって、タサダイ族の居住地域を含む190平方kmにも及ぶ土地が保護区に認定されました。国全体で少数民族の保護活動を行う姿に感銘を受け、世界のセレブ達もこぞって基金へ寄付金を贈りました。

進入禁止地区の周囲は壁で囲まれ、周りには兵士が監視しているという異例の監視体制におかれており、これに対して過剰ではないかと反対する声と少数民族の本格的な保護を称賛する賛成意見に分かれました。

保護の目的のため、多額の資金を募集

Environmental Protection Nature - Free photo on Pixabay (506057)

タサダイ族を保護するためには資金が必要だと、当時の環境大臣であったマヌエル・エリザルデ Jr.は「PANAMIN US Foundation」を設立しました。フィリピンの財政状況では全てをまかなえないため、世界に寄付金を呼びかけたのです。ここに世界中から活動に賛同する人たちが寄付金を贈りました。

チャールズ・リンドバーグやジョン・ロックフェラー4世もこの基金に寄付金を贈ったことからさらに注目度が高まり、3,500万ドル(約12億円)もの巨額な資金が彼の元へと集まりました。

エリザルデが国外逃亡

Silhouette Man Runners - Free image on Pixabay (506055)

1986年にマルコス政権が崩壊したことで厳重に監視されていた保護区は開放となりました。政権が崩壊する直前、エリザルデ環境大臣が3,500万ドルの資金を全て持ち出し、25人の少女たちとともに国外へ逃亡していたことが明らかになりました。

発見された当時は「偉大な男、タサダイの神」とも呼ばれていた彼ですが、実際にミンダナオ島の民族問題に深く関わり、厚い信頼を得ていたようです。そのため、彼がタサダイ族の保護に力を入れる事に関して疑問を持つ人はいませんでした。

しかし基金を着服したことが明らかになると反発する勢力が強くなり、2年後に国外逃亡から帰国しますが重度の薬物中毒を患っていたようです。

1986年ジャーナリストにスクープされる

Press Journalist Photographer - Free photo on Pixabay (506051)

政権が崩壊しそうな時期、国内が混乱していたため、保護区の監視も以前までの厳しさは無く、隙を見つけて進入禁止区域に突入したスイス人ジャーナリストがいました。彼らはオズワルド・イテンとジョーイ・ロザノです。

実際に見た光景とニュースなどでタサダイ族の生活として紹介されている光景があまりに違うことから、これは世界を巻き込んだ詐欺事件としてスクープしました。発見当時から嘘ではないかという噂は常にあったため、これに便乗して多くのジャーナリストが駆けつけました。

タサダイ族がやらせであったと認める

Sign Sorry Character - Free image on Pixabay (506046)

タサダイ族が報道と違う生活をしているとスクープされてからも、エリザルデを始めとして国の関係者は一貫してやらせ疑惑を否定し続けていました。

しかし、タサダイ族の人たちはジャーナリストからの問いかけにあっさりとやらせであったことを認めました。エリザルデが逃亡したことで、きちんと指示が通っておらず、政権の移り変わりや保護区の開放などで混乱した時期だったので気が動転したのでしょう。

この発言がきっかけで、タサダイ族が嘘であるという説が非常に有力になり、スイス人ジャーナリストのスクープの信憑性が増した結果となりました。

世界十大詐欺事件と言われるようになった

Paving Stones Concrete Flooring - Free photo on Pixabay (506044)

タサダイ族が世界十大詐欺事件として扱われるようになったのには理由があります。エリザルデが着服した基金の総額は3,500万ドルであり、高額ですが、世界を見てみるとその何百倍ものお金を騙していたケースはいくつもあります。

金額だけを見るとさほど大きくなく、本来であれば世界十大詐欺事件に入るものではありません。タサダイ族の場合、国単位で世界を動かしたことが驚きなのです。結局嘘は暴かれましたが、何年もの間民族学者や言語学者などの専門家をも騙していたのは凄いことでしょう。

今でも語り継がれているのは、今後起こりそうにないパターンの詐欺事件だからです。

タサダイ族がやらせを疑われた理由

Binoculars Looking Man - Free photo on Pixabay (506040)

本来、厳重に保護されていたタサダイ族は外部に生活を監視されることがないため、熱帯雨林の中に閉じ込めてしまえば調査の手が及ぶこともなく、基金に十分なお金が貯まるはずでした。

一時期は世界を騙すことに成功していたフィリピン政権ですが、やはり嘘の民族は思わぬところから綻びが出てくるようです。では、タサダイ族がやらせと疑われた理由について見ていきましょう。

洞窟に生活の跡が見られない

Fantasy Cave Mystical - Free photo on Pixabay (506037)

洞窟で暮らしている場合、洞窟内には必ず生活の跡が残ります。食べた後のかすや使い古した腰みの、寝るスペースにひかれた藁など、たとえ狩猟採集で暮らしているタサダイ族でもそこで人間が生活するのを証明するには十分なものが散見されるはずです。

しかし、彼らが住んでいるとされる洞窟内はとても綺麗で、ごみ1つ落ちていなかったのです。家具などはもちろんなく、本当に自然の洞窟に彼らがいるだけで、不自然に感じた学者も多かったようです。

何千年もの間、この地に定住して来た彼らがごみ1つない環境で暮らしていたのは信じがたいですよね。また、洞窟で生活していたら見られるはずの壁画も1つもなかったそうです。

ジーンズとTシャツを着ていた

Jeans Pants Trouser Buttons - Free photo on Pixabay (506035)

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