目次
- 世界が騙された!タサダイ族
- タサダイ族とは?
- 20世紀になってもなお原始人の生活をしている
- 愛の民族と呼ばれた
- 狩猟採集で暮らしている
- 文明は発達していない
- タサダイ族の集落へはヘリコプターのみのアクセス
- 独自の言語を話す
- わずか27人の民族が洞窟で暮らす
- タサダイ族の発見から終わりまで
- 1960年代に猟師によって発見され世界から注目を集める
- 1974年タサダイ族居住区への侵入を禁止する
- 保護の目的のため、多額の資金を募集
- エリザルデが国外逃亡
- 1986年ジャーナリストにスクープされる
- タサダイ族がやらせであったと認める
- 世界十大詐欺事件と言われるようになった
- タサダイ族がやらせを疑われた理由
- 洞窟に生活の跡が見られない
- ジーンズとTシャツを着ていた
- スクーターに乗っていた
- 葉巻きタバコを吸っていた
- 「モルタル」「屋根」などの単語が存在する
- ミンダナオ島は古くから外部との接触が盛んな地域
- ヘリコプターの着地点付近でしか彼らに会えない
- 読み書きができる
- タサダイ族の真相
- 黒幕はエリザルデ
- 地元民がタサダイ族を演じていた
- 取材が来る時だけ洞窟で過ごしていた
- タサダイ族は最初から存在していなかった
- タサダイ族が世界をだました理由
- 当時の政局不安
- 独裁政権のための資金集め
- 世界から注目を浴びたかった
- 麻薬を買うための資金集め
- ニュースが真実とは限らない
タサダイ族を演じていたとされる地元民によると、取材が来るときは事前に連絡があり、その時だけ洞窟で過ごしていたようです。彼らとはヘリコプターの発着場付近でしか会えないようにされていたのも、洞窟内に生活の跡が見られなかったのも納得です。
彼らとの交流手段を制限することで、嘘だということがばれないように細心の注意を払っていたことがうかがえます。全てエリザルデが行動を指示していたことから、彼がマスコミの行動を把握し、保護活動をしていたことが分かります。
彼らとの交流手段を制限することで、嘘だということがばれないように細心の注意を払っていたことがうかがえます。全てエリザルデが行動を指示していたことから、彼がマスコミの行動を把握し、保護活動をしていたことが分かります。
タサダイ族は最初から存在していなかった
via pixabay.com
「タサダイ族」という民族が全く存在していなかったという明確な証拠は未だに発見されていません。もう消滅してしまったけれど、昔は実際に原始人のような生活を孤立した環境で営んでいた少数民族がこの地に棲みついていた可能性も考えられます。
しかし、今回のタサダイ族に関しては最初から存在していなかった民族を演じていたという説が有力視されており、フィリピンは研究者も含めて人々を騙し、金を巻き上げていたことになります。
エリザルデが真実を語らないまま亡くなってしまい、本当の目的や基金に集まった寄付金がどのように使われたかは想像するしかできませんが、私用ではなくせめて国のために使われていたら、と願う人は少なくありません。
しかし、今回のタサダイ族に関しては最初から存在していなかった民族を演じていたという説が有力視されており、フィリピンは研究者も含めて人々を騙し、金を巻き上げていたことになります。
エリザルデが真実を語らないまま亡くなってしまい、本当の目的や基金に集まった寄付金がどのように使われたかは想像するしかできませんが、私用ではなくせめて国のために使われていたら、と願う人は少なくありません。
タサダイ族が世界をだました理由
via pixabay.com
この詐欺事件では、黒幕が当時の環境大臣であったことや寄付金として集っていたお金を持ち逃げしていたことから大きな事件として取り上げられました。
では、どうしてタサダイ族という少数民族を作り出し、世界を騙さなければならなかったのでしょうか。
では、どうしてタサダイ族という少数民族を作り出し、世界を騙さなければならなかったのでしょうか。
当時の政局不安
via pixabay.com
タサダイ族が発見されたころ、フィリピン国内は政治の面で重要な局面をむかえていました。マルコス政権はフィリピンの政治史においても重要視されており、見逃すことはできない出来事です。
彼はマルコス独裁国家を構築することに尽力し、20年にもわたってフィリピン政治に関わっていました。しかし独裁のあまり公的資金を私的に使用したり汚職の温床となっていたりしたため、エドサ革命によって亡命しました。
これに反発してミンダナオ島では少数民族が独立運動を繰り広げるなど、各地で暴動が起きており、政局は不安な状態だったことが、今回の詐欺事件の要因になっていると考えられます。
彼はマルコス独裁国家を構築することに尽力し、20年にもわたってフィリピン政治に関わっていました。しかし独裁のあまり公的資金を私的に使用したり汚職の温床となっていたりしたため、エドサ革命によって亡命しました。
これに反発してミンダナオ島では少数民族が独立運動を繰り広げるなど、各地で暴動が起きており、政局は不安な状態だったことが、今回の詐欺事件の要因になっていると考えられます。
独裁政権のための資金集め
via pixabay.com
独裁政権とは、ある個人や党が政権を握り、独占的に政治を行う政治体制を指します。古代ローマで統治のためにとられていた手法で、現在でも内戦などによって国内が混乱状態にある場合、一時的に独裁政権で国民をまとめることがあります。
メリットとしては発展途上国ではトップの意志が直接国民に伝わるため、正しい方向に持っていければ国の大幅な発展が望めることです。しかし政治には国を動かすほどのお金が必要となります。
今後経済的に大幅に発展するであろうと予測されているフィリピンですが、当時は財政的に余裕がなかったため、国のお金が必要であり、タサダイ族で注目を浴びてお金が集まれば、それを国のお金として使うことができると考えたとする説もあります。
メリットとしては発展途上国ではトップの意志が直接国民に伝わるため、正しい方向に持っていければ国の大幅な発展が望めることです。しかし政治には国を動かすほどのお金が必要となります。
今後経済的に大幅に発展するであろうと予測されているフィリピンですが、当時は財政的に余裕がなかったため、国のお金が必要であり、タサダイ族で注目を浴びてお金が集まれば、それを国のお金として使うことができると考えたとする説もあります。
世界から注目を浴びたかった
via pixabay.com
タサダイ族を使って世界を騙そうとしたのには、フィリピンが注目を浴びたかったということも要因の1つかもしれません。世界にはたくさんの国があり、先進国は世界のニュースにのることも珍しくありません。その一方で発展していない国は滅多にニュースにはなりません。
ニュースになることで世界から注目され、国への関心度が高くなればそれは国の発展にも繋がります。そのため、注目されるきっかけにタサダイ族という架空の民族が作られ、世紀の大発見としてあたかもそこに何千年もの間いたように振る舞わせたのかもしれません。
ニュースになることで世界から注目され、国への関心度が高くなればそれは国の発展にも繋がります。そのため、注目されるきっかけにタサダイ族という架空の民族が作られ、世紀の大発見としてあたかもそこに何千年もの間いたように振る舞わせたのかもしれません。
麻薬を買うための資金集め
via pixabay.com
黒幕とされるエリザルデが多額の資金を持ち出し、国外亡命から帰国する頃には重度の麻薬中毒になっていたことから、麻薬を買うために集まったお金を使われたのではないか、最初から麻薬を買うことが目的だったのではないかという噂もあります。
彼がフィリピン国内にいたころに既に麻薬を使用していたかは明らかになっていませんが、重度の麻薬中毒になったという事実からすると、麻薬のために高額のお金を使用したことは容易に想像がつき、持ち出したお金が使われた可能性も高いと見られています。
彼がフィリピン国内にいたころに既に麻薬を使用していたかは明らかになっていませんが、重度の麻薬中毒になったという事実からすると、麻薬のために高額のお金を使用したことは容易に想像がつき、持ち出したお金が使われた可能性も高いと見られています。
ニュースが真実とは限らない
via pixabay.com
結局、タサダイ族は地元民が装っていたということが真相でないかとされています。これは最終的には詐欺事件として扱われましたが、最初は少数の学者や研究者を除いて彼らの存在を信じ、保護のための寄付金まで贈っていました。
国をあげて作り話をでっちあげるというのは珍しいですが、ネットで気軽にニュースを見られるようになり、私達は無意識にニュースだからと信じる傾向にあります。しかし、この事件のように真実とは異なる報道がされていることも少なくありません。
フェイクニュースに左右されないよう、自身ができる範囲で真相を見極め、ニュースが必ずしも真実とは限らないという姿勢で向き合うことで、より世の中の流れが分かるようになるでしょう。
国をあげて作り話をでっちあげるというのは珍しいですが、ネットで気軽にニュースを見られるようになり、私達は無意識にニュースだからと信じる傾向にあります。しかし、この事件のように真実とは異なる報道がされていることも少なくありません。
フェイクニュースに左右されないよう、自身ができる範囲で真相を見極め、ニュースが必ずしも真実とは限らないという姿勢で向き合うことで、より世の中の流れが分かるようになるでしょう。
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