2019年8月21日 更新

ルッキズムの意味とは?日本や韓国にこの傾向が強い?理由は?

ルッキズムとは外見の善し悪しによって人を判断する外見至上主義を意味する言葉です。韓国の影響を受けて、最近では日本でもルッキズムの傾向が強まってきました。この記事ではルッキズムの具体例や、女性嫌悪(ミソジニー)との関わりについて解説しています。

目次

意外に感じる方もおられるかもしれませんが、実は制服にも日本社会のルッキズムが陰に陽に反映されています。制服とは本来、ある集団に一体感や仲間意識を持たせるために着用するものです。

しかし、ルッキズムが浸透した日本社会においては、たとえば女子高生の着る制服は女子高生の「可愛さ」や「魅力」を引き立てるファッションアイテムのようなものとして位置づけられています。

本来は機能的であるべきの制服が、このような社会的な風潮から、より可愛くファッショナブルなデザインを追求するようになっているというのも、日本にルッキズムが根付いていることの表れなのかもしれません。

「見かけで判断してはいけない」という教育と逆行する日本

Man Woman Composing - Free photo on Pixabay (572877)

小さいころから、日本では「見かけで判断してはいけない」と教えられ育つものですが、実際にはそれとは逆行する傾向が強く存在しています。

確かに外見によってある程度人となりを判断することは可能かもしれませんが、外見だけにフューチャーしてしまうと、その人物の内面を見る機会を失ってしまうことになります。

日本人の多くがあまり自覚をしていないものの、海外の人から見ると「なぜ日本人はここまで外見で判断してしまうのだろう?」と疑問に感じるケースも多いことでしょう。そこでここからは、日本社会における容姿差別の事例をご紹介していきます。

タトゥーへの批判

Henna Tatoo Mehandi - Free photo on Pixabay (572878)

日本社会における容姿差別の事例としてまずご紹介したいのが、タトゥーへの根強い偏見です。もちろん、日本には歴史的・文化的に刺青を忌避するバックグラウンドがあったのは事実であり、昭和においてまで、タトゥーを入れるということはアウトローであることを意味していました。

ですが、時代は変化していくものです。グローバル化が進む昨今では、欧米の影響を受けてファッション感覚でタトゥーを入れる人も増えてきています。

また、宗教的・文化的な背景によってタトゥーを施す人もいることでしょう。にも関わらず、タトゥーを入れているだけでその人の中身を知りもせずに「ろくな人間ではない」と判断してしまうのは、立派な容姿差別と言えるのかもしれません。

セクシャルマイノリティへの拒絶反応

Rainbow Colors Symbol - Free image on Pixabay (572881)

セクシャル・マイノリティ(性的少数者)への拒絶反応や差別的なリアクションも、日本にルッキズムにもとづいた容姿差別が根強く存在していることの事例として挙げられるでしょう。

たとえばアニメや漫画などでは、女性の心を持って生まれ、心の性に従ってメイクをしたり女装をしている男性のことを「オカマ」や気持ち悪い存在として、あるいは面白い笑いの対象としてコミカルかつ差別的に描いているケースがよく見られます。

「男に生まれたのならば男らしい見た目をすべきだ」といったように、性別によって固定的かつ画一的な容姿の基準が人々に押し付けられ、そこから少しでも「逸脱」してしまうと、とたんに差別や嘲笑の対象になってしまうのは日本社会の問題だと言えるでしょう。

性別への固執

Yin Yang Emblem - Free vector graphic on Pixabay (572882)

性別によってあるべき容姿が固定化されているというのも、日本社会におけるルッキズムや容姿差別の事例のひとつに数えられるでしょう。

日本社会は欧米諸国と比べても性的な規範に関してとても保守的であり、旧来的な「女らしさ」や「男らしさ」が人々の行動や思考に強く影響を与え、それらを縛り続けています。

たとえば女性は長髪でも許されるのに、男性は長髪をしていると「だらしない」「常識がない」と批判的に見られてしまうのも、性別への固執の表れだと言えるでしょう。現に、中学・高校で男子生徒が髪の毛を女子生徒のように伸ばすと、かなりの確率で生徒指導の対象になってしまうのではないでしょうか。これは性差別だとも言えます。

企業の採用

Analytics Computer Hiring - Free photo on Pixabay (572883)

本来、社会人に求められるべきはビジネスパーソンとしての内面的な能力であって、芸能界などの特殊な世界に足を踏み入れない限りは、容姿を過剰に評価基準とすべきではないでしょう。

しかし、企業の採用においても容姿差別は確かに存在します。同じ能力の候補者が二人いれば、容姿がより優れている方に面接官は好感を抱き、その人を採用する傾向が明確にあるからです。

とりわけ女性に関してはその傾向が顕著だと言えるでしょう。男性候補者よりも女性候補者のほうが、本来の業務内容とは関係ないルックスを面接官に品定めされることが多く、いわゆる「顔採用」の対象にもなりやすいとされています。

障害者差別

Wheelchair Disability Injured - Free photo on Pixabay (572886)

見た目で判断をしてはいけないと小さい頃から教えられてきたのに、私たちの多くは無意識のうちに、障がい者の人々をその外見によってネガティブに判断してしまっているところが多々あります。

病気や生まれ持った障害によっていわゆる「普通」の見た目とは異なる容貌をしている人がいると、その人に対して心無い言葉を浴びせたり、あるいは「可哀そう」と傲慢にも見下してしまう人々も少なくありません。

また、車いすに乗っているというだけで「労力にならない」と勝手に判断し、その人の能力や学力をきちんと吟味することなしに、面接で却下してしまうケースも多いでしょう。

人種での決めつけ・固定概念

Toddlers Babies Children - Free vector graphic on Pixabay (572887)

「肌の色が違うからと言って差別をしてはいけない」というのはいわば常識であり、私たちは道徳の授業や人権教育などを通じて、このことを幾度も教えられてきたはずです。

にもかかわらず、日本社会では依然として人種での決めつけやステレオタイプが確かに存在します。アメリカなど一部の国と比べると、暴力的な人種差別はさほどないかもしれませんが、それでも悪意のない人種差別は確かに存在していること、悪意がないからこそかえってたちがわるい側面もあることを忘れてはなりません。
Racism Race Ethnicity - Free vector graphic on Pixabay (573526)

たとえば、日本人とは違う見た目をしているからというだけで「あの人は日本人ではない、外国人に違いない」と決めつけしまったり、英語で話しかける人も多いことでしょう。

ですが、肌や髪の毛が日本人的な特徴をしていなかったとしても、日本人である場合もあります。日本に帰化した人物であったり、あるいは外国人と日本人との間に生まれたダブルであるかもしれません。

また「白人はこうだから」「黒人はそうだから」といったように、相手の人格や個性を全く無視して、人種という大雑把なカテゴリーで相手のことを決めつけてしまうのも、日本人にありがちな無意識の人種差別やステレオタイプだと言えるでしょう。

日本はフィロジニー傾向も強い

Fashion Beautiful Woman - Free photo on Pixabay (572888)

以上で見てきたように、私たちが普段自覚することがあまりないだけで、実は日本社会にはさまざまな形でルッキズムがはびこっており、それによって私たちは無意識的に容姿差別を行っています。

このようなルッキズムはフィロジニーとも密接に結びついており、現に日本は先進国の中でも特にフィロジニーの傾向が強いことで知られています。

ここでは、フィロジニーの意味や具体例に加えて、そのルッキズムとの結びつきについて見ていきましょう。

フィロジニーとは

Dress Girl Beautiful - Free photo on Pixabay (572889)

まずは、フィロジニーという言葉の意味について確認しておきましょう。フィロジニーとは、旧来的・保守的な「女らしさ」や女性像を好むことを意味する言葉です。

フィロジニーを内面化している人々であるフィロジニストは、女性に限らず、男性にも多くいます。このような人々は、「女性は女らしい外見であるべき」「女性がボーイッシュ、あるいはメンズライクな格好をするのは下品である」と、自分たちの描く理想の女性像とは異なる女性たちに対してしばしば抑圧的な言動を取ります。

そして、女性はスカートやワンピースを着用し、髪の毛を長くのばして華やかなメイクを施し、常に自分の外見を磨いてエレガントでキュートであるべきだと考えているのです。

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