2019年2月17日 更新

お里が知れるは差別用語?お里が知れるの意味と使い方

今回は、昔の人がよく使っていたお里が知れるということわざの意味と使い方について、語源や類語、実際に言われた人の体験談などを紹介しながら説明します。また差別用語や放送禁止用語に該当するのかどうかについても、差別用語の例を上げて考察していきます。

体験談その5(Eさんの場合):わたしは夫の実家へ帰ると、ことあるごとに「お里が知れるわね」といわれます。最初はそれがどういう意味か分からずに、「はい、わたしの里は○○です」と答えてきました。最近になってこのことばの本当の意味を知りましたが、正直いってあまり気にならないんです。わたしを教育しようとして言ってくれていると思えばありがたいことだし、目くじらを立てることもありません。

「お里が知れる」ということばも、Eさんのように屈託のない気持ちでとらえることができると、何ごとにおいても角が立つことはありません。相手も、例え悪意をもって「お里が知れる」といったとしても、暖簾に腕押しで、いじめがいがなくなるのではないでしょうか。

お里が知れるは放送禁止用語?

Microphone Radio Broadcast · Free photo on Pixabay (63031)

この「お里が知れる」ということばに関して、差別用語ではないのかという意見があることは前述のとおりです。このように、このことばを差別的だと感じる人が存在するとしたら、公共の電波にのせてこのことばを流すことはいかがなものか、つまり、放送禁止用語に指定する必要があるのではないか、という意見もあります。

放送禁止用語とは、ラジオやテレビなどの放送において使用が禁止されていることばのことですが、現在、日本では、一部電波法で定められているものを除いて、法律で放送を禁止されている放送禁止用語はなく、各放送局が独自でルールを設けて「放送注意用語」や「放送自粛用語」といった意味で使用を規制しているにとどまっているようです。

各放送局では、視聴者からクレームが入った場合にそのことばを自主的に放送禁止用語として定めているようですが、その中にこの「お里が知れる」は入っているのでしょうか。正確なところは各放送局に聞いてみないとわかりませんが、調べた限り、現在、放送禁止用語リストの中にこのことばを見つけることはできませんでした。

意外と知らない!使う時には注意が必要な言葉

Surprised Blue Eyes Freckles · Free photo on Pixabay (63143)

昔は何気なく使っていたことばでも、今では、差別用語や放送禁止用語になってしまったものがたくさんあります。「えっ、いつのまにこんなことばまで放送禁止用語になってしまったの?」と驚くものも少なくありません。

多くのことばは、差別的なニュアンスを含んでいたり視聴者に不快感を与えたりするために、使い方に注意が必要だという理由から放送禁止用語に指定されているようですが、中には、それが世間一般でも使ってはいけないことばとしてひとり歩きをはじめたものもあります。

ここでは、そういった視点から使い方に気をつけた方がいい、あるいは、ほかのいい方をした方がいいことばをあげて、どうして放送禁止用語に指定されたのかその理由を説明します。

外人

Head Face Loss · Free image on Pixabay (63192)

「外人(ガイジン)」は、外国の人(主に欧米人)を指していうことばとして使われていましたが、現在では、放送禁止用語のリストに入っていることばです。

昔から、「外国の人」という語源のほかに、「外部の人、ほかの人、よその人、無関係な人」を語源にしている使い方もあって、差別的なニュアンスを含むとして、使用する際には注意が必要であることから放送禁止用語となったようです。

現在は「外国人」ということばで言い換えられています。

キチガイ

Woman Face Contour · Free image on Pixabay (63199)

この「キチガイ」ということばも放送禁止用語リストに入っていることばです。語源は「気が違う」ですが、「精神状態が尋常でなく異常な言動をする」意味と、「趣味や好きなことに異常にのめり込む」意味の2つがあります。後者の場合は、「車キチガイ」や「釣りキチガイ」などのような使い方をされています。

現在ではこの「キチガイ」ということばは使わずに、精神状態に異常がある場合を表すときには「精神障害者」ということばで、趣味や好きなことにのめり込む場合を表すときは「マニア」ということばで言い換えられます。

スチューワーデス

Aircraft Stewardess Mockup · Free photo on Pixabay (63576)

「スチュワーデス(stewardess)」は「スチュワード(steward)」に「ess」がついた女性名詞です。ではこの「スチュワード(steward)」の語源はどこにあるのでしょう。2つほど説がありますが、5世紀~12世紀にかけてイングランドで使われていた古英語の「stigweard」に語源があるという説が有力です。

この「stigweard」は、「stig=城・屋敷・囲われた空間」に「weard=管理人・番人」がついてできていて、これが後に、「管理責任をもつ執事のような人物」としてスチュワードを表す単語になったのです。

現在では、男性を表す「スチュワード」の女性形であることから、性差別用語ととらえられることも多く、放送禁止用語に指定されています。航空会社によって異なりますが、「キャビンアテンダント」、「フライトアテンダント」、「キャビンクルー」、または「客室乗務員」ということばで言い換えられています。

八百屋や魚屋

Fruits Vegetables Market · Free photo on Pixabay (63814)

「八百屋(やおや)」や「魚屋(さかなや)」も差別用語になるので放送禁止用語に指定されていることばです。ほかに、「本屋」、「肉屋」、「床屋」など「屋」をつけた使い方はマスコミでは使用を自粛しているということですが、これには驚かれる方も多いのではないでしょうか。

元々「屋」の語源は、それを売買している人や家といったその漢字の意味にあるのですが、昔は、魚屋や八百屋など「〇〇屋」と呼ばれる人たちは、日銭を稼いでいて安定した収入がなかったこと、また、お屋敷にご用聞きで出入りをしていた召使い的職業だったということで、商売人の中でも一番身分が低いとされていました。

これが、今ごろになって「〇〇屋」という呼び方を差別的だととらえるようになった根拠だといわれています。
Fish Catch Box · Free photo on Pixabay (63816)

ではどういう呼び方だったらいいのでしょうか。同じ「魚屋」や「八百屋」でも、「魚屋さん」とか「八百屋さん」のように末尾に「さん」のついた使い方だったら問題ないようです。あるいは、「魚屋」は「鮮魚商」、「八百屋」は「青果商」で言い換えるかのどちらかのようです。あなただったらどちらを選びますか?

ハーフ

Michelangelo Abstract Boy · Free photo on Pixabay (63822)

混血を意味する「ハーフ」は、70年代に登場したことばで、「混血」よりも聞こえがいいということで、当時はよく使われていました。この語源は「半分」を意味する英語の「half」で、片親が日本人でもう一方の親が外国人を表すことばですが、今では放送禁止用語に指定されています。

どうして放送禁止用語になってしまったのかというと、理由はこの語源の「half=半分」にあります。つまり、「半分」という意味のことばを使うことで、人間性が半分しかない、とか、半人前の人間とかいったような差別的なことばになるととらえられたからです。

言い換えとしては、「混血」、「混血人」、「ダブル」などがあげられています。

障害者

Man Old · Free photo on Pixabay (63852)

「障害者」ということばが放送禁止用語に指定されたのは2014年のことです。放送禁止用語に指定された理由は、「障害者」ということばに「害」という字が使われているからです。つまり、その人が害を及ぼす人であるかのようなイメージを与えるのではないか、という配慮からです。

「障害」ということばは、ものごとのスムーズな進行や成就をさまたげる事象や存在を語源としているもので、障害者の持つ身体的な障害そのものを語源にしているのではないのですが、いろいろな視点から誤解や混乱を招くおそれを懸念した結果の規制のようです。

言い換えに関しては、身体障害者の場合は「身体が不自由な方」を使います。なお、精神障害者や心身障害者の場合は、省略をせずにフルでそのまま使う、といった使い方に関しての取り決めがあるようです。また表記に関しては、「害」という漢字を使わずに「障がい者」と表記する、となっています。

部落

England Shaftesbury United Kingdom · Free photo on Pixabay (64188)

「部落」は、「集落」や「村落」などと同様に、人々が集まって一か所に落ち着くという意味を持つ「落」を語源としたことばです。現在でも、村などの代わりに「○○部落」という地名を使っている地域もあって、これ自体にはもともと差別的な意味はありません。

しかし被差別部落と混同されるケースも多々あり、使い方にはとても注意を要することばだということで、今では放送禁止用語になっています。

言い換えとしては、「集落」や「地区」が使われています。

4 / 5

関連する記事 こんな記事も人気です♪