2019年2月17日 更新

お里が知れるは差別用語?お里が知れるの意味と使い方

今回は、昔の人がよく使っていたお里が知れるということわざの意味と使い方について、語源や類語、実際に言われた人の体験談などを紹介しながら説明します。また差別用語や放送禁止用語に該当するのかどうかについても、差別用語の例を上げて考察していきます。

お里が知れるの意味や語源は?

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あなたは誰かから「お里が知れる」と言われたことがありますか?言われたことがなくても、「お里が知れる」ということばを耳にしたことはありますか?そのときどのような気分になりましたか?この「お里が知れる」は昔の人々の間ではよく使われていたことわざなのですが、どんなときにどんな意味で使われていたのでしょうか。

このことわざで使われている「お里」は、「ふる里、郷里」が転じて、その人が育った家庭や環境、つまり生まれや育ちを意味しています。昔の人は、行儀が悪かったり言葉づかいが悪かったりする人を見ると、よく「そんなことをして(言って)、お里が知れますよ」と言っていました。

つまりこれは、ものの言い方や立ち居振る舞いからその人の育ちの悪さがわかる、といった、どちらかというとあまりいい意味で使われることのないことわざなのです。そのために、時には、差別用語や放送禁止用語になるのではないか、と指摘される場合もあるようです。
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このように「お里が知れる」は、「里」という言葉を語源にしてできあがったことわざです。もともとこの「里」は、「田」と「土」の2つの漢字を語源として、「区画化された田圃があってそこに人が住める土があって人家が集まった場所」を意味することばですが、その「里」が「育ち」や「素性」として使われたのはいつ頃からだったのでしょう。

「お里が知れる」は、かなり昔から民間で使われていたことわざのようですが、江戸時代中期(1769年頃)に流行っていた「談義本・当世穴穿(とうせいあなさがし)」という風刺本の中では、すでにこの「お里」が「素性、生い立ち、育ち」の意味で使われていました。

以下では、このことわざについて、使い方や類語やその語源なども含めて詳しく解説していきます。

「お里が知れる」の使い方例文

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「お里が知れる」というのは、言動、つまり言葉づかいや態度でその人がどういう家庭環境で生まれ育ったのか、どのような教育を受けてきたのかがわかる、という意味のことわざですが、ではそれはどういうときに使うのでしょう。

ここでは、この「お里が知れる」ということわざの使い方の例文とそこにこめられた意味を、3つのケースに分けて紹介します。

高級品を身にまとって見るからにいいところのお嬢さんなのに、人に対してそんな口をきくようじゃお里が知れるわね

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身にまとうものは、お金さえあればすぐに用意できますが、言葉づかいは即席で身につくものではありません。というのも、言葉づかいとは、単に「品のあるきれいなものいい」というだけのものではなく、その人の性格や考え方や教養もにじみでるものだからです。

そういった言葉づかいとは、幼い頃から自分の周りの人々や環境によって培われていくものです。これが、言葉づかいでその人の育ちがわかる、といわれる所以です。

この例文は、人は、お金のあるなしや見た目ではなく、言葉づかいで、その人の生まれ育った環境、人柄、そして教養などがわかるものなんだよ、という意味を表しています。

彼はいいところのお坊ちゃまらしいんだけど、箸の使い方を見たらお里が知れてがっかりだよ

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昔から日本人は箸文化の中で暮らしてきました。そのために箸に関しては、持ち方だけでなく、迷い箸やねぶり箸、立て箸など忌み嫌われる使い方もあって、自分だけでなく周囲の人たちが心地よく美味しく食事をするための作法を身につけておく必要があります。

このように周囲の人への礼儀や配慮といったものから自然と築かれてきたこの箸の作法は、一夜漬けで覚えられるものではなくて、幼い頃から家庭できちんとしつけられることで自然と身につくものです。つまり、そういった世間の常識や礼儀や他人への配慮を大切にする家庭の存在があってこそ身につくということです。

この例文は、いくらお金持ちかもしれないけど、箸の使い方を見れば彼の親や家族が世間の常識や礼儀に無関心で、きちんとしたしつけをしてこなかったことが分かって残念だよ、といった意味を表しています。

きれいなドレスを着ていても、そんな座り方をしていちゃお里が知れるね

Girl Portrait Hotel · Free photo on Pixabay (59349)

人間は、立ち居振る舞いで相手や周囲の人々にいい印象を与えたり悪い印象を与えたりします。意識して美しく高感度の高い立ち居振る舞いをすることもできますが、人には、ふっとしたときに無意識に見せる立ち居振る舞いというものがあります。そしてそれこそが、その人の育ちを物語るものとしてとらえられることが多々あるのです。

この無意識に出てしまう立ち居振る舞いは、生まれ育った環境で体にしみついたものです。行儀の悪い、他人が目のやり場に困ってしまうような立ち居振る舞いは、家庭において、その都度注意されたり矯正されたりしてこなかった、つまり、そういった家庭で育ったのだ、ということなのです。

この例文は、立ち居振る舞いが悪ければ、どんな家庭でどんなしつけをされてきたか分かるというもんだよ、そしてそれはどんなおしゃれをしても隠すことができないんだよ、という意味を表しています。

お里が知れるの類語

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「お里が知れる」は今ではあまりなじみがなくなってしまったことわざですが、これと同じような意味を表す類語には、今でもよく耳にすることばがあります。ここでは、「お里が知れる」の意味をよりよく理解できるように、今でもよく耳にする5つの類語を例にあげて、その使い方と意味などについて解説していきます。

親の顔が見たい

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まず最初の類語として、日常よく言われたり耳にしたりする「親の顔が見たい」をあげて説明します。

この類語は、しつけがなっていなかったり言動に問題があるような他人の子を見て驚いたときに口にすることばです。この類語には、こんな子に育てた親は一体どんな人間なんだろう、といった非難の気持ちがこめられています。

この類語は、「そんな言葉づかいをするなんて、親の顔が見てみたいもんだわ」のような使い方をします。この例文の意味は、「そんな言葉づかいをするなんて、親は一体どんなしつけをしてきたのかしら」となりますが、これは、暗に、「育ちやしつけが悪い」、つまり「お里が知れる」ということを表しています。

ぼろが出る

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次の類語「ぼろが出る」もよく言われたり使われたりすることばです。この類語は、人には見せたくないボロ着が語源になっています。

表面をきれいにつくろっていても、ふとしたことで、中のぼろ着が出てしまう、つまり、いいかっこしていても、ふとしたことで、隠していた都合の悪いことや知られたくないことが表面に出てしまう、という意味のことばです。

この類語は、「彼女、会食中に箸をなめたりして、ぼろが出たわね」のような使い方をします。意味は、「彼女ったら、会食中に箸をなめたりして、育ちの悪さが出てしまったわね」となります。つまり、「お里が知れるわね」と同じ意味を表しているといえます。

本性を露にする

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三番目にあげる類語は「本性を露にする」です。「本性を現す」と言われたりもします。この類語は、隠れていた本当の性格が現れるという意味が語源になっているのですが、なぜか、隠していたよくない本質や悪い面が露呈されるという意味に使われます。

この類語は、「彼女、いつもおしとやかだけど、機嫌が悪くなるとゴミ箱をけとばしたりして、本性が露になるわよね」のような使い方をします。意味は、「いつもおしとやかな彼女も、機嫌が悪くなるとゴミ箱を蹴飛ばしたりして、隠していた本当の性格がまるわかりよね」ですが、これは「隠していたお里が知れてしまった」というのと同じです。

あとこの類語と同じように、隠していた悪事がばれるという意味の類語「馬脚をあらわす」ということばもあります。この語源は、芝居で馬の脚の役をやっていた役者がうっかり脚の中から姿をあらわしてしまったという失敗談にあります。

化けの皮がはがれる

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