2019年5月17日 更新

東大ポポロ事件の詳細と判決!大学の自治の重要性と類似した事件も

みなさんは、東大ポポロ事件という事件をご存知でしょうか?こちらの記事は、東大ポポロ事件について詳しく知りたい方に向けて、わかりやすく解説していく内容になっております。興味のある方は是非ご覧になってみてはいかがでしょうか。

一審目は、被告人である学生の行為が学問の自由と大学の自治に基づいた正当な防衛手段として、学生に無罪判決を言い渡しています。

学問の自由での観点では、学生の学問への集団活動の自由は憲法上保障されている、といったように学生側を保護する文面が多く見受けられます。また、大学の自治の観点でも、他からの干渉を受けない自由を指摘し、国において確立された制度でもあることから正当な行為であると主張しています。

学生も教育の観点から、学校当局の許可をもとに自治組織を持つことを認められますので、一定の規則に従った自治運動であれば許されるとのことです。と学生側を弁護する内容が目立ちます。

2審目

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二審目も、一審を支持したため学生側は依然として無罪となります。他から干渉されない保証が、大学の自治であるためそれを個人の思惑で自由に侵害出来てしまっては問題に発展するということでしょう。

組織的な介入であれば前もって厳粛に契約を交わしますので、未然に防ぐことも十分可能です。しかし、学生側も活動内容が穏やかなものではないということから自体は変化していきます。

警察が秘密裏に介入したというのも、その活動の異常性から未然にことを収める必要性があるとの判断からでしょう。結果的に暴力を振るっていますから、その場の人物は冷静な判断ができる人物ではなかった可能性も否定できません。

最高裁

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最高裁判所は、学生側の活動を当時日本が占領下にあったことから半植民地闘争デーの一環として行われた活動と認識し、演劇の内容も松川事件を取材したものなど、政治的社会的活動に当る行為と判断しました。

さらに、開演するにあたって資金募集を呼び掛けていた事、渋谷事件といった必要以上の報告といった収拾のつかない活動から、もはや学問的な研究と発表といった純粋な学問の探求ではない活動と指摘されました。

大学の学問の自由と自治は、これに及ぶまでの権利を有するものではないとされ、警察官が介入したことは大学の学問の自由と自治を犯すものではないと結論付け、一審および原審を破棄し差戻しの判決を下しました。

上告

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この上告は、学生の行った演劇活動は学問探求ではなく政治的活動にまで至っているので、そこまでは認められないということを指摘しています。

しかし、警察が行ったことは相手の理解なく事を進めたという、強行的な行為といった観点から不服とする人は多いとされています。一方的な思惑だけで相手を縛るというのは認められる行為ではありません。

もちろん、学生側の活動も社会を批判するような内容として民衆を煽る行為に違いないので批難される要素があると言えます。思想の対立ほど解決の糸口が見えないものはありませんね…。正当性はどちらにもあるように見えることから、誰かが仕組んで煽ったという可能性も否定はできません。

東大ポポロ事件に類似している事件

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集団思想の脅威・弾圧、権力行使の暴走、政治的に仕組まれた謀略など様々ですが、どれも人間の感情的な部分が働いていると言えます。確かに認めたくても認めたくないというのはありますが、無理やり事を起こしたところで収まりがつくとも言えません。

むしろ悪化してより醜悪なものに変わってしまうといったこともあるでしょう。こちらの項目では東大ポポロ事件に類似した事件についてご紹介していく内容となっております。どれも非常に難しい問題と言えますが、強行的な支配から事件に発展してることが伺えます。

京都学連事件

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京都学連事件は1925年に京都帝国大学や同志社大学で、マルクス主義といった社会主義の思想を題材にした研究サークルが警察に目を付けられ、家宅捜査といった公的な権力で押さえつけられた事件とされています。

国体(皇室)や私有財産制を否定する運動を取り締まる治安維持法が、国内で初めて適用された事件でもあります。マルクス主義とは、資本を全体で共有するべきと、階級のない共同社会を目指すといった社会主義思想体系のことを指します。

1600名にも及ぶ組織まで拡大したためその脅威は留まることを知らず、加えて労働争議や教育運動といったことも行われていた為、国から危険視され権力をもって排除されたという背景があります。

愛知大学事件

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愛知大学事件とは、1952年5月7日に学内に無断で侵入した警察官を学生が捕縛したことで、学生7名が逮捕されたという事件を指しています。学長以下全学教授会らは、権力者の不用意な学内侵入の不当性を無視した大学の自治を脅かす行為として警察署へ抗議文を提出しました。

これは、学生が公的権力者を捕縛することに意識が行き過ぎて、本来追求すべき点を履き違えていることを指摘しています。名古屋地検は、暴行による処罰として法律違反、不法逮捕、公務執行妨害の罪で学生9名、講師1名を起訴しました。一審目は、2名が無罪、7名に刑免除の判決を言い渡しました(1名は死去)。

二審目は、裁判官の令状がある場合を除いて、大学の立ち入りは大学側の許可を要するといった原則をもとに、公務執行妨害の罪は成立しないとしました。最高裁では、教授らの粘り強い共闘によって学生側の実質的な勝利を導きました。

早大事件

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早稲田大学事件とは、第二次世界大戦敗戦後による日本において、当時のGHQ総司令官ダグラス・マッカーサーによるレッドパージに反抗するといった、学生の暴動事件を指します。事の始まりは、大学側が講堂の使用を拒否したことから始まります。

当初、暴動を起こした全学連は、早稲田大学構内で「平和と大学擁護学生大会」と称した反対運動を予定していたのですが、大学側はこれを拒否しました。再度、講堂の使用許可を求めましたがこれも拒否され、学生ら反対運動を敢行するために講堂の不法占拠に乗り出しました。

大学側は管轄の警察署に出動を要請し、最終的に学生約2000人と警察との対立に発展してしまい排除活動を一時停止。その後も反抗が過激化し、お互いに重軽傷を負うなどして学生143名が公務執行妨害で検挙されました。以降は学生側が事の重大さを理解したのか自発的に反抗を中止し暴動は収まったとされています。

近代でも東大ポポロ事件に類似した事件が!

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みなさんは京大公安警察事件をご存知でしょうか?こちらの事件ですが、東大ポポロ事件と非常によく似た事件として近年話題になりました。大学の自治について不正を申し立てるだけではなく、国の仕組みに対して反発的な様子が伺えるといったように、事の解決には未だに至っていないのが見受けられます。

警察側も秘密裏に調査していたとのことで、東大ポポロ事件から何を学んだのかと悲しさすら覚えます。こちらの項目では、京大公安警察事件の説明を始め、警察の公安警察とはどういったものかを解説しております。

京大公安警察事件

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こちらは、デモによって逮捕されたことに対する抗議活動を学内で行っていたことにより、それに私服公安警察官が調査のため潜伏していたとのことで、学問の自由および大学の自治の侵害として警官を取り押さえたという、東大ポポロ事件と非常に酷似した事件になります。

大学側も抗議活動を公認するのはどうかという点はあります。それをやったら警察が視察に来ると予想できますから、正常であれば実行に移さないでしょう。

警察も許可を取らずに侵入したら不法侵入になりますので、正当に手続して入ろうとするのが正常です。共に自制が効かないのが理解に苦しむ点です。理解してやってるとすれば挑発や罠とも受け取れます。

公安警察とは

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