2019年8月19日 更新

集団心理は危険?集団心理が引き起こした事件や実験とは

「日本人は集団的主義だ」「女性は集団行動が好きだ」など集団についての通説は多々あります。集団において特別な心理が働くことを集団心理・群集心理と呼び、時として大きな力を発揮します。その怖さをメリットとともに例と実験を挙げてご紹介いたします。

集団心理ってなに?

Together Earth Human - Free image on Pixabay (370593)

集団心理とは、集団になることで個人でいるときとは違った特別な心理が働くことです。集団になると目には見えない力により、自分が自分ではいられなくなってしまうことがあります。

個が確立されていない社会、精神的に成熟していない子供などは他人の行動に引きずられてしまう可能性がさらに高くなります。
Meeting Together Cooperation - Free image on Pixabay (370595)


スポーツイベントなどで周りが熱狂的に応援していると、ファンではなかったにも関わらず一緒になって応援し、興奮するのも集団心理のひとつの例です。

集団心理は無意識に働いている場合もあります。「みんながやっているから」というだけでやってしまう行動はありませんか。好きでもないファッションだったのに、流行した途端に可愛く見えて買ってしまうのもそうです。

株価や貨幣価値など、経済の動向により変動するものもすべて集団心理が働いているのです。このように集団心理は私たちの生活の一部となっており、知らず知らずに集団の流れに乗ってしまっています。
Articulated Male Meeting Together - Free photo on Pixabay (370596)

集団心理はメリットもありますが、それを上回るデメリットがあります。時として事件を引き起こすこともあるほど危険なものにもなります。

集団心理をしっかり理解することで、集団に入ったときでも集団心理に流されずに自分の意思で行動できるようにしましょう。

集団心理とは

Team Teamwork Together - Free photo on Pixabay (370598)

集団心理とは、集団の中に入り本来の自分とは違った心理が働き行動してしまうことです。集団になった時に働く力について疑問に思う学者により様々な研究・実験が行われてきました。

研究では学者たちも驚く程の結果が出たものもあります。ここでは代表的な学者たちと研究内容についてご紹介いたします。

集団において発生する特殊な心理

Conference Team Office Dining - Free image on Pixabay (370601)

人は集団になると個人の時では考えられないような行動をとる可能性があります。詳しくは後述の「集団心理の法則」で説明しますが、決して良い方向へ働く心理だけではありません。

個のときには自分の責任により保たれている理性が集団によって麻痺し、悪い方向へ進んでいってしまうことが歴史上でも度々見受けられます。

そこで学者たちが集団における人間の心理について研究を始め、今では集団心理によって人間は簡単に善にも悪にも変わる可能性があると結論づけられるようになりました。

S・シゲーレとル・ボンが基礎を固めた

Flowers Texture Flower Carpet - Free photo on Pixabay (370608)

集団心理の学問的基礎はイタリアの社会心理学者S・シゲーレとフランスの社会心理学者ル・ボンが固めたと言われています。

社会が変革しようとしていた19世紀末、労働力としてずっと抑圧されてきた民衆が力をつけてきました。民衆は集団になり政府に驚異を与える存在にまで成長したのです。

シゲーレもル・ボンも、民衆が集団となり巨大な力を持ったことに対して否定的な見方をしました。実際に抑圧から解放された民衆は暴動を起こすことも多かったため、抑制すべき存在であったのは事実です。

マクドゥーガルがあげた集団心理の特徴

Action Collaborate Collaboration - Free photo on Pixabay (370613)

シゲーレやル・ボンの後、イギリス生まれの心理学者ウイリアム・マクドゥーガルが2人の研究・業績から大きく反れることなく、集団心理の特徴として以下14個あげました。

1.過度の情動2.衝動性3.暴力性4.移り気性5.一貫性の欠如6.優柔不断7.極端な行動8.粗野な情動と情緒の表9.高度の被暗示性10.不注意性11.性急な判断12.単純かつ不完全な推理13.自我意識、自己批判自己抑制の喪失14.自尊心と責任感の欠如による付和雷同性

見てわかるように14個すべてにおいて集団はデメリットしかないという結論に至っています。研究者たちは集団心理に対して負のイメージを持っていることがわかります。

集団心理の法則

Startup Meeting Brainstorming - Free photo on Pixabay (370614)

集団心理の基礎を固めたと言われるル・ボンは1895年に刊行された「群衆の心理」において古典的な集団心理の法則を提唱しました。

後の学者ウイリアム・マクドゥーガルがあげている14個の集団心理の特徴とも一致するものがほとんどですが、ル・ボンの法則はより実生活で起こる集団心理をあげているのが特徴です。

道徳性が最低レベルにまで低下

Workplace Team Business Meeting - Free photo on Pixabay (370615)

道徳とは、人が善悪を把握し正しい行為を行うために守らなくてはならないルールのことです。ルールと言ってもしっかりと定められている訳ではありません。

道徳は生活していく中で培われる、社会を上手く渡り歩くための規範です。最も基本的なことであれば「他人が嫌がることをしない」「相手の気持ちを考えて行動する」などでしょう。

しかし集団において、個人では実行できていた道徳性が低下してしまいます。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という皮肉にもあるように、みんながやっているからいいだろう、という心理が働くからです。
People Girls Women - Free photo on Pixabay (370617)

女子トイレが並んでいて男子トイレが空いている場合に、男子トイレに入っていく女性がひとりいると、その後なんの抵抗もなく女性が男子トイレに入っていくようになります。

本来なら道徳的に男性用のトイレに女性が入るのはいけないことです。しかし他の人がやっているのであれば、自分だけ我慢をする必要性を感じなくなってしまいます。

暗示にかかりやすい傾向に

Urban People Crowd - Free photo on Pixabay (370616)

1 / 6

関連する記事 こんな記事も人気です♪