2019年2月17日 更新

お里が知れるは差別用語?お里が知れるの意味と使い方

今回は、昔の人がよく使っていたお里が知れるということわざの意味と使い方について、語源や類語、実際に言われた人の体験談などを紹介しながら説明します。また差別用語や放送禁止用語に該当するのかどうかについても、差別用語の例を上げて考察していきます。

Carnival Venice Eyes · Free photo on Pixabay (59566)

次にあげる類語は、よく言われたり耳にしたりすることがある「化けの皮がはがれる」です。「うまくだましたつもりだったのに、ばれてしまった」といったときに使われるこの類語は、知られて困るものを隠すためにかぶっていたものがはずれてしまうことを語源にしています。

この類語は、「いつも上品な彼女がけんかをすると、化けの皮がはがれるわね」のような使い方をします。意味は「いつも上品な彼女がけんかすると、化けの皮がはがされて本性が出るね」となって、「隠していたお里が知れてしまった」と同じ意味を表します。

尻尾を出す

Whales Ocean Diving · Free photo on Pixabay (59838)

この類語は、「隠していた悪事やごまかしがばれる」という意味で、人間に化けていたキツネやタヌキが尻尾を出したことでその正体がばれることに語源があるとされています。

この類語は、「彼女はずっとインテリぶっていたけれど、とうとう尻尾を出してしまった」というような使い方をします。意味は、「彼女はずっとインテリのふりをしていたけれど、とうとううそだったことがばれてしまった」となって、「隠していたお里が知れた」と同じ意味になります。

「お里が知れる」という言葉を知らない人が多い

Reading Surprised Children · Free photo on Pixabay (59899)

今の若い人たちの中で、「お里が知れる」ということばを言われたり耳にしたりしたことがある人は非常に少ないようです。

しかし、昔は、日常生活において、常識や礼儀を知らないことをいましめるために、ことに、嫁ぎ先で姑が嫁を教育するために、その嫁の生まれ育った実家を持ち出して説教するときの常套句として用いられていました。

使い方はさておき、明治・大正を経て昭和初期まではよく使われていたこのことばも、今では、せいぜい。親がいうのを聞いたことがある人がいるくらいでしょうか。
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そもそも実家を否定されるということは、その人の今までの人生を否定されるということですから、今時、そんなことばを言われたらみなさんだまってなどいないのではないでしょうか。

昔は、目上の人に何かいやなことを言われたとしても我慢をしていましたが、時代は変わり、教育も進んで、人々の問題意識も高くなるにつれて自分の人生を否定されるようなことを言われたり、言っているところを目にしたりした場合に反発を覚える人も多くなっていきました。

その結果、このことわざを口にする人は徐々に減っていきました。このことばを言われたり使っていたりするのは大正から昭和初期生まれまでの人に多く見られ、実際に口にはしなくても、聞いたことがある、知っているというのは昭和20年~30年代生まれまでの人に多く見られるようです。

「お里が知れる」は差別用語?

Dog Pet Cute · Free photo on Pixabay (60057)

今では言われたことも口にすることもほとんどなくなったこの「お里が知れる」ですが、いくら常識や礼儀に関して教育するためとはいえ、親や家庭や環境や、さらには学歴などを暗にけなすこの「お里が知れる」ということわざは、差別用語ではないのか、といった声も多く耳にします。

では差別用語とはどういうことばなのでしょう。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/30 12:28 UTC 版)によると「他者の人格を個人的にも集団的にも傷つけ、蔑み、社会的に排除し、侮蔑・抹殺する暴力性を持つ言葉」が差別用語と言われるようです。

何をもって差別用語と考えるのか、人によってそれぞれかもしれませんが、参考のために、差別用語だととらえる人の意見と、差別用語ではないと考える人の意見を以下に紹介します。

差別用語だという意見

Dog Angry Aggressive · Free photo on Pixabay (60143)

以下に、差別用語であると考える方の意見を紹介します。

まず、同和問題の観点から差別用語だとする意見があります。これは、「お里が知れる」の「お里」は、人に知られたくないところ、つまり同和地区を指していることばで、明らかに差別用語であるという考え方に基づいている意見です。

また、出身地をいっているのではないとしても、生まれ育った場所によって人のできが違ってくるといった考え方が根底にあるので差別用語になるのではないか、という意見もあります。
Dog Cat Pets · Free photo on Pixabay (61676)

さらに、相手を侮蔑してはずかしめることばだという観点から差別用語だとする意見もあります。これは、育ちのよい人が上から目線で相手を蔑み精神的虐待を与えることばであるために差別用語である、といった考え方からきています。

差別用語ではないという意見

Dog Friendship Nature · Free photo on Pixabay (61615)

次に、差別用語ではないと考える方の意見を紹介します。

最も多く見られたものは、「お里が知れる」ということわざは、生まれた場所などをいっているのではなくあくまでも常識や礼儀を問題にしていることばであって、差別用語ではないという意見です。

また、同和問題の観点から差別用語ではないかという意見に対して見られたものは、特定の地区を指しているわけではないので差別用語には当てはまらないという意見です。
Man And Dog Countryside · Free photo on Pixabay (61682)

相手を侮蔑してはずかしめることばだという観点から差別用語だという意見に対しては、差別用語とまではいかないにしても侮蔑用語だとする考え方と、ひとつの比喩としてとらえて、あまり神経質になる必要はないのではないか、という考え方が見られました。

お里が知れると言われる可能性のある行動

Cat Sad Cute · Free photo on Pixabay (61711)

常識のない、あるいは礼儀を知らない言動をたしなめる場合に言われるこの「お里が知れる」ですが、実際にどういうときにいわれることが多いのでしょうか。

ここでは、ことばづかいはさておき、「お里が知れる」といわれる可能性のある行動を5つあげて、その理由や根拠について解説します。

挨拶ができない

Girl Sad Desperate · Free photo on Pixabay (61691)

挨拶は、礼儀作法に欠かせないことばと動作です。朝起きたときは「おはよう」、昼間に出会ったときは「こんにちは」、夜寝るときは「おやすみなさい」、初対面のときは「はじめまして」など、TPOによって決まったパターンがあります。わたしたちはこの挨拶を、幼いときから、家庭におけるしつけによって身につけていきます。

その挨拶ができないということは、その人が極度にシャイだったり対人恐怖症だったりする特殊な場合を除き、家庭でそういうしつけがなされていないか、親も挨拶ができない、または挨拶の大切さを感じていない親だ、と思われて、「お里が知れる」と言われたりするのです。

他人の家に上がる際に靴を揃えない

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