2019年6月14日 更新

ソーカル事件の詳細!事件の目的や影響と各所からの批判

ソーカル事件とは、当時ニューヨーク大学の教授であったアラン・ソーカルが起こした事件です。ソーカルが作成したでたらめな内容の論文が学術誌に掲載されたことで大きな話題となりました。類似事件は日本でも起きています。ソーカル事件の詳細を見ていきましょう。

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日本でもソーカル事件と類似した事件が起こりました。当時理化学研究所に勤めていた小保方晴子さんが2014年に起こしたSTAP細胞騒動です。2014年、Nature誌にSTAP細胞に関する論文が掲載されたことが始まりです。

STAP細胞とは刺激惹起性多能性獲得(Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency)の略称です。哺乳類の体細胞に、外部から刺激を与えることで未分化で多能性を有するSTAP細胞に変化するというものでした。これまでに発見されていたES細胞やiPS細胞よりも作製が容易であることから再生医療に大きな期待が持たれました。

しかし論文を出した小保方晴子さんは一躍時の人となりましたが論文に盗用や不正が見つかったこと、研究自体に疑いがあることが発覚し論文は撤回されたのです。
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疑義がかけられたことでSTAP細胞の検証実験も行われましたが細胞の存在を証明することはできず小保方晴子さんは理化学研究所を退職しました。STAP細胞騒動により当時小保方晴子さんの上司であった人物が自殺する問題も発生しました。

研究所はSTAP細胞の存在を否定したものの、現在でも小保方晴子さんはSTAP細胞が本当にあったと主張しており真実は明らかになっていません。

再生医療に大きな期待が寄せられていたにも関わらずSTAP細胞の研究が白紙になったことや自殺者が出たことで社会に衝撃を与える事件となりました。小保方晴子さんは大学時代の論文も問題があると指摘を受けて博士号を取り消されています。

日本のイグノーベル賞受賞者

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人々を笑わせ考えさせてくれる研究に対して授与されるイグノーベル賞は多くの国で蔑視されていますが日本とイギリスでは受賞を誇りにする風潮があります。

創設者のエイブラハムズも「多くの国が奇人・変人を蔑視するなかで、日本とイギリスは誇りにする風潮がある」と発言してユニークな研究を行うことができる日本を讃えています。

日本では2018年時点で12年連続受賞者が出ています。日本のイグノーベル賞受賞者や受賞理由について見ていきましょう。

足の匂いの原因となる化学物質の特定

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1992年に日本人で初めて資生堂の研究員がイグノーベル賞の中の薬楽賞を受賞しました。受賞事由は足の匂いの原因となる化学物質の特定をしたことについてです。この研究で自分の足が臭いと思っている人の足は臭いが臭いと思っていない人の足は臭くないと結論づけられました。

受賞したのは神田不二宏、八木栄一郎、福田實、中嶋啓介、太田忠男、中田興亜です。イグノーベル賞の受賞は誇らしいいことですがノーベル賞とは異なり賞金が出ないという特徴があります。

たまごっち

Pug Dog Pet - Free photo on Pixabay (349057)

1997年に数百万人の労働時間を仮想的ペットの飼育に転換したことに対して経済学賞を受賞しました。受賞事由には少し皮肉が含まれていますがバーチャルのペットを開発したことが大きな功績であることは間違いありません。

受賞したのはウィズ株式会社の横井昭裕とバンダイ株式会社の真板亜紀です。同様におもちゃがイグノーベル賞を受賞した例としては2002年のバウリンガルがあります。

バウリンガルは犬の首にマイクを取り付けて鳴き声を分析することで犬の気持ちを日本語に翻訳するというものでした。人と犬に平和と調和をもたらしたとして平和賞を受賞しています。

単細胞生物の真正粘菌のパズルを解く能力

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2009年に真正粘菌にパズルを解く能力があることを発見したことに対して認知科学賞を受賞しました。受賞したのは北海道大学と理化学研究所に勤める中垣俊之、広島大学の小林亮、東北大学の石黒章夫、北海道大学と科学技術振興機構に勤める手老篤史、名古屋大学と理化学研究所に勤める山田裕康です。

粘菌には餌を求めて餌と餌の最短距離をつなぐ形に変形することと、光を当てることでに任意の形に変形するという性質があります。この性質を利用してパズルのような組み合わせ最適問題を解かせることに成功しました。

中垣俊之は2010年にも真正粘菌を用いて輸送効率に優れた最適なネットワークを設計する研究で交通計画賞を受賞しています。

座位で行う大腸内視鏡検査

Operation Theatre Hospital - Free photo on Pixabay (349070)

2018年には昭和伊南総合病院の消化器病センター長を務める堀内朗が座位で自身の大腸内視鏡検査をした論文に対して医学教育賞が授与されました。

椅子に座り少し股を開いた状態で内視鏡を肛門に入れると痛みや不快感があまりないことを調べたことが評価されました。しかし座った状態で大腸内視鏡検査を受けることは恥ずかしいと感じる人が多く病院では採用されていないと言います。

普通は横向きになって検査を行いますが、患者の痛みの取り除くためにどうしたら良いかを考える姿勢は医者として素晴らしいと言えるでしょう。

科学者たちの論争はいつの時代でも起こっている

Artificial Intelligence Brain - Free image on Pixabay (349076)

科学者と科学論者の論争はサイエンスウォーズと言われています。ソーカル事件や第二のソーカル事件では学術誌の編集者が論文の内容をきちんと検証しなかったことが事件を巻き起こすことになりました。

科学用語を理解しないまま権威付けのために濫用することは「知」の欺瞞につながります。アラン・カーソルの真意を理解しないまま、単にでたらめな内容の論文を書いたことを批判する人にも同じことが言えるでしょう。科学において大切なことは自分の頭で考えてきちんと理解することだと言えます。

皮肉が込められたイグノーベル賞を受賞するのではなく、ユニークな研究を評価されて受賞したいものです。日本人が十年以上受賞し続けていることは素晴らしいことです。皮肉が込められたものではなく真っ当な研究をして評価されているからです。

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