2019年6月14日 更新

ソーカル事件の詳細!事件の目的や影響と各所からの批判

ソーカル事件とは、当時ニューヨーク大学の教授であったアラン・ソーカルが起こした事件です。ソーカルが作成したでたらめな内容の論文が学術誌に掲載されたことで大きな話題となりました。類似事件は日本でも起きています。ソーカル事件の詳細を見ていきましょう。

ソーカル事件とは?

Thought Idea Innovation - Free photo on Pixabay (348945)

ソーカル事件とは1994年にニューヨーク大学の教授であったアラン・ソーカルが、でたらめな内容の論文を専門誌に投稿したことで起きた事件です。

アラン・ソーカル自身のでたらめな内容の疑似論文と同様に、ポストモダンの思想家が数学や科学用語をでたらめに使用していると主張したのです。その後もフランスのポストモダンの思想家を批判する著書を出版して大きな話題となりました。

ソーカル事件により論文の検証がきちんと行われているかについて議論が巻き起こり、査読制度に影響を及ぼしたのです。

ソーカル事件の詳細

Knowledge Book Library - Free photo on Pixabay (348949)

ソーカル事件はアラン・ソーカルがでたらめな論文を学術誌に投稿したところから始まります。疑似論文が学術誌にそのまま掲載された後に、アラン・ソーカル自身が論文はでたらめであることを発表したため話題となったのです。

学術誌がでたらめな論文であることを見抜けなかったため社会的に注目を集める事件となりました。疑似論文を投稿したことについては批判が起こるなど様々な議論が巻き起こりました。事件の詳細を見ていきましょう。

アランソーカルが論文を投稿

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事の発端はアラン・カーソルが1994年、現代思想系の学術誌「ソーシャルテキスト」に論文を投稿したことです。「ソーシャルテキスト」は当時アラン・ソーカルと同じニューヨーク大学の教員であったアンドリュー・ロスが編集長を務めていました。

論文はポストモダンの哲学者の言葉を引用して賞賛しているように見せかけていたものの、実際はでたらめで意図的に無内容とした論文でした。論文のタイトルは「境界線を侵犯すること、量子重力の変換解釈学に向けて」です。

論文の内容

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「境界を侵犯すること、量子重力の変換解釈学に向けて」の内容はポストモダンの哲学者の言葉を引用して賞賛しているように見せかけていました。

文体はポストモダンの思想家を真似ていたものの科学用語や数学の理論はでたらめだったのです。アラン・ソーカルはでたらめであることが見抜かれるかを試す意図がありました。

でたらめな内容としては放射性物質のラドンと数学者のヨハン・ラドンを混用するようなものでした。少し調べれば嘘がわかるような内容であったにも関わらず気づかれることはありませんでした。

疑似論文がそのまま掲載される

Paper Romance Symbol - Free photo on Pixabay (348959)

でたらめな内容の疑似論文は専門家がきちんと読めばいい加減であることがわかるものでした。しかし論文は1995年に受理されて1996年5月に発行された「ソーシャルテキスト」にそのまま掲載されてしまったのです。

論文が掲載されたのはポストモダンの哲学を批判する内容に対しての再反論や科学論の社会構築主義における批判への再反論をまとめた特集号でした。特集号のタイトルは「サイエンスウォーズ号」と題されていたことが皮肉な結果を表しています。

論文はデタラメだと発表

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「ソーシャルテキスト」への掲載後、別の雑誌を通して論文がでたらめな疑似論文であることをアラン・カーソル自身が発表しました。専門誌に投稿することで編集者が本当に論文の内容を理解しているか試した結果、見抜くことができなかったことが露呈したのです。

専門誌が疑似論文だと見抜けずそのまま掲載したことは大きな話題となりました。アラン・カーソルは見抜けなかった編集者について自身の論文が「サイエンスウォーズ号」で掲載されたことに対して「考えられるかぎり最悪の自滅行為」だったと嘲笑しています。

「ソーシャルテキスト」は当時の発行部数が800部ほどでしたがニューヨークタイムズなどの有力紙でカーソル事件は取り上げられることになりました。

ソーカル事件の目的

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アラン・ソーカルの目的はポストモダンの思想家が科学用語や数学をでたらめに使用しているという事実を主張することでした。

疑似論文が掲載されたのはポストモダンへの批判について再反論する内容を特集した号だったため、アラン・ソーカルの論文がポストモダンを批判する内容だと見抜けなかったことがより際立ったのです。

社会的な注目を集めることになったのでアラン・ソーカルの目的は果たされたと言えるでしょう。アラン・ソーカルはのちに「一般向けのジャーナリズムと専門家向けの出版界に嵐のような反応を引き起こした」と発言しています。

ソーシャルテキストがイグノーベル賞を受賞

Albert Einstein Portrait - Free photo on Pixabay (348968)

アラン・ソーカルの疑似論文を掲載した専門誌「ソーシャルテキスト」の編集長であるアンドリュー・ロスはその後1996年にイグノーベル賞を受賞しました。

受賞理由は論文を著した人物さえ意味がわからず無意味と認めた内容の論文を掲載したことです。皮肉が込められたイグノーベル賞を受賞したことで、編集長は査読制度を設けていなかったことを深く反省したと言われています。

イグノーベル賞とはどのような賞なのか、受賞した際の編集長の反応はどうだったのかについて見ていきましょう。

イグノーベル賞とは?

Learning Hint School - Free image on Pixabay (348969)

イグノーベル賞とは1991年にノーベル賞のパロディーとして科学ユーモア誌の編集者であったマーク・エイブラハムズが創設しました。「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞です。

イグノーベルとは造語で、下品や見下げたを意味する「ignoble」という単語とノーベル賞を掛け合わせて作られました。物理学や化学だけではなく、ノーベル賞にはない心理学賞などもあります。

批判や皮肉を込めて与えられることが多いため、かつては水爆の父と呼ばれたエドワード・テラーが平和賞を受賞しています。皮肉を込めるだけではなくユーモアのある研究に対しても与えられる賞であり日本人も数多く受賞しています。

ソーシャルテキストの編集長の反応

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